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WUNDERKAMMER

人を殺した

2018.02.17 11:25

小学生の頃、人を殺した。

使った道具の指紋を拭き、その場から逃げ去る。


次の日、学校に警察が大勢来た。

捜査官の声を背後に自分が疑われていない確信を持つ。

「勝った」

そんな優越感を覚え、密かにニヤけながら家に帰った。


一週間。

清々しい朝を迎えた。

「気持ちが良い。何か忘れている事は無かっただろうか…」

その瞬間に思い出す、殺害の記憶。

「ア゛ッ」

そうだ。人を殺したんだ。

あれは夢ではない。紛れもない事実。

胸が締め付けられる。手が震える。

あぁ少しでも証拠があればすぐにでも捕まるぞ。

警察はどうしているだろうか。

もう何かを掴んだのだろうか。

会話の中に私の名前は出たのだろうか。


苦しい・・・。


何故殺してしまったのだろうか。

いや、後悔はしていない。

大丈夫だ。あれは最善だった。それだけは間違いない。

何かあれば逃亡しよう。

それか自殺をしよう。

大丈夫だ。それが最善だ。


何食わぬ顔で外に出る。

学校に入ると警察官の姿が見える。

あああ、いつかばれるのだろうか。

この感情と何年も何年も付き合っていかねばならない。


という夢を見た。

何が怖いって全てがリアルだった。

血の匂いから道具についた血を拭い、家に帰ってそれを燃やしトイレに流す考えまで。

殺害が現実だったと確信したときの虚無感。

ばれていないと確信したときの湧き上がる喜び。

「最善」という脆すぎる心の支え。

これが何年も続くと確信した時の、まるで地面に穴が開いたかのような絶望感。


実際に犯罪を犯したらこんな感じなんだろうな。

自分に犯罪はむかないなと実感した。