Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

ハニー's Room

スンスクの春恋(スンスク) 1

2018.02.17 13:48

「今日から二週間、このパラン高校三年1クラスで教育実習をしますホン・ミラです。」

ホン・ミラ先生はパラン高校からパラン大学社会科学部に上がった先生だ。

事前に配布された教育実習生の資料に目を通したクラスメートたちは、ため息を吐いていた。

何故なら、パラン大学社会科学部は、パラン高校から上がる生徒の場合そのほとんどが成績下位クラスの7クラスから進学した人だから。

だけど、僕はそんな事は気にならなかった。

何故なら、僕の大好きな女性のオ・ハニも今は看護師として働いているが、元はパラン大社会科学部に進学したのだから。

「まっ!オレ達高三1クラスの人間には、教育実習の先生がいようといまいと変わらない。」

1クラスのこの時期は、受験のための勉強をしているから授業という名前の自習が殆どだった。

ホン先生は、僕の大好きな母とよく似ていた。

「先生!」

「はい!えっと・・・・キム・テヨン君・・・・・」

「字が違います・・・・・・」

「えっ?」

ホン先生はボードに書いた綴りも間違えていた。

焦ってボードを消そうとして教壇から落ちたり、教卓と共に転がったり・・・・・・・

見ていて飽きなかった。

僕は他の人たちと同じように、先生をバカにしたりする事が出来なかった。

あまりにも母と似ているから。

どんな事にも全力で向かっている先生は、健気で放っておけない。

「ハァー」

先生が裏庭の木陰で疲れたように木にもたれて座っていた。

「ホン先生・・・・・・・」

ホン先生は、びっくりしたように目を大きく開けて僕の顔を見た。

「君は・・・・・ペク・スンスク君?えっと・・・・学年一番の・・・・」

「よく御存じで・・・・・」

「私ね、頭がよくないくせに学校の先生になりたくて・・・・でもね・・・・人の名前と成績だけは覚えられるの。」

話している様子も、お母さんに似ている。

「ペク君のご両親って・・・・・自慢の息子を持って鼻が高いよね。」

「そうでもないですよ・・・・・僕の上にいる兄妹も、特に勉強をしたのを見た事はないですから。」

スンハ姉さんや、スンリ兄さんとスンミ姉さんはお父さんとお母さんに似ているけど、僕は成績がよくてもスチャンおじいちゃんに似て・・・・・・

「ペク君は、彼女とかいるの?」

「いません・・・・・・モテないですよ。太っているから。」

「私ね・・・・・・・もうすぐ結婚するの。」

「えっ・・・・・・先生結婚するんですか?」

「そうなの・・・・・こんな私でも結婚できるの。彼はね、これからの女性は仕事と結婚生活を両立して行くべきだと言ってね・・・・・・」

ホン先生の結婚相手が羨ましい。

「先生は僕の母とよく似ています。どんな事も手抜きをしないで、辛いと思った事もめげないでやり遂げるんです。先生は絶対に素敵な先生になると思います。」

行動が似ているのじゃない。

先生は笑った顔がお母さんに似ていた。

手を振って職員室に向かう先生は、何度も何もない道で転んでは起き上がって舌を出して歩く。

あっ!また転んだ。

あんなに転ぶから小さな子供みたいに、膝に痣がいくつもあるし、スーツが泥だらけだ。

そのホン先生が教育実習期間の途中で入院したと聞いた。

先生は難病だと言う事を担任から聞いた。

クラスのみんなは、あの先生がいなくても勉強は困らないし、綴りをあれほど間違える先生には呆れたと言っていた。

僕はパラン大病院の医師のお父さんに、無理を承知で頼み込んで先生のお見舞いに行った。

先生の病室のドアを開けようとすると、先生は声を抑えながら泣いていた。

そのそばに先生の婚約者の男性が労わるように付き添っている。

疾しい事などないのに、僕は病室に入る事も出来ず、先生と婚約者の話を聞いていた。

「ゴメン・・・・・・オレはミラと結婚をしたいけど、両親が難病の嫁は迎えられないと言って・・・・・・・説得が出来なかった。」

「ううん・・・・・気にしていないよ。私が両親でも、婚約は破棄するよ。それに、進行して苦しむ姿をあなたに見せたくない。」

病室を出て行った先生の婚約者の後を、無意識に僕は着いて行った。

先生と別れないでほしいとと言うために。

病院の外で先生の婚約者だった人が誰かに笑顔で手を振っていた。

赤い派手な車に乗ったいかにもブランドが好きそうな派手な女の人。

車が停まって、その女の人は降りて来た。

その姿に僕は驚いた。

お腹の大きなその女の人が、先生の婚約者だった人に人眼があるにもかかわらず抱き付いた。

「うまく行ったよ。」

「おバカさんが私たちの事を知る前に、病気になって良かったわね。生まれてくる子のためにも・・・・・・・・・」

僕はこんなに頭に来たことはなかった。

爪が食い込むほど拳を握っていたら、知らない間に血が出ている事に気が付いたのは、そばを通り過ぎた人に言われてから。