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藤田晋 invitational RTDリーグ

合わせる巧者萩原! RTDリーグ2018 BLACK DIVISION 3-6回戦レポート

2018.02.18 10:00

2/12(月)および2/15(木)21:00よりAbemaTV「麻雀チャンネル」にて放送された、RTDリーグ2018 BLACK DIVISION 3-6回戦の様子をお届けします。

レポートは、鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)がお送りします。


▼▼▼BLACK 3回戦:小林トップの典型▼▼▼

前回までの成績はこちら↓

トータル2位の小林が、この半荘では若干ビハインドを背負う展開になるが、この形からすぐに2sポン、ドラの9m切りで1000点のテンパイを組んでいく。

これが、松本のリーチをかわす大きなアガリとなった。

負けていても軽い仕掛けをきっちり入れていけるところが小林の安定感につながっている。

そうやってかわしているうちに、小林が言うところの「誰でもアガれる早いリーチ」が入る。

正に小林がトップを取るときの典型的な形で、プラスを3桁に乗せた。


▼▼▼BLACK 4回戦:白鳥、持ち味の鋭い待ち取りで完全復活▼▼▼

今期の初戦、こんな一幕があった。

ホンイツチートイツをテンパイした白鳥は、国士模様の多井がいるため、いったん字牌単騎ではなく3p単騎に受けたのだが、5pを引いたところで4pを切ってしまったのである。

1pと東はともに1枚切れであるため、国士の多井が持っているとすると空テン。

このシャンポンが最終形ではなく、3p6p9p引きのカン2pや2p引きの3p6p9pという最終形を見たのだろうが、これが結果的にアガリ逃しとなった。

平常時の白鳥なら、3p単騎を継続してハネマンをツモっているイメージがすごく強く、メンツ手にするのは、あくまで1pか東を先に引いたときだけだろう。

これを見て、今期の白鳥は浮足立っていないだろうか、と少し心配したのだが、4回戦を観てそれは杞憂となった。

4回戦の東4局、オヤ番を迎えた白鳥は、2枚切れカン7mのリーチのみという、悪形・低打点の手で終盤にリーチを放った。

しかし、場を見れば、国士とピンズホンイツがいるため、7mの信頼度がかなり上がっているのがわかり、白鳥がここに照準を合わせたのもうなずける。

すると、追いかけリーチを振り払って7mをツモり、望外のウラ2で4000オール。

確かにウラ2で破壊力が上がったのはラッキーだが、そのパンチを当てた鋭さは実力といっていいだろう。

このアガリに、私の疑念は杞憂であったことが証明された。

この後、1本場でも珍しい4人リーチを制した白鳥が、今期初トップで完全復活を遂げた。


▼▼▼BLACK 5回戦:合わせるうまさが光る萩原のチートイツ▼▼▼

萩原を見ていて思うのは、「合わせるのがうまい」ということである。

合わせる対象は様々。

例えば、このチートイツテンパイ。

東単騎に受けてもいいところだが、確かに3s単騎も面白い。

2s 3枚見えでソウズが安く、全員ツモ切ってもおかしくない。

アガれる待ちに照準を合わせにいくと、すぐに内川からツモ切られた3sを捕まえた。


また、こんな局面もあった。

オヤの松本がペン7pをチーして一色手が明らかになった直後、萩原は自身で切っている9mを引くと、ノータイムで8pを打ち出した。

これは、スピードを合わせるためにピンズを外しにいったもの。

こういう局面では、自身の手に打点がなければスピードで上回るしかない。

仕掛けの利かないこの手牌で松本の仕掛けを追い越すためには、ピンズを外したチートイツしかないというわけだ。そのためには、テンパイまではフリテンの牌だろうとあまり関係がない。

結局、松本のテンパイ後にこのイーシャンテンからオリていくのだが、色を外してスピードを合わせにいかなければ、もっと早くギブアップになっていただろう。

萩原がオリた直後に松本がツモアガり、トップ目に立った。


オーラス、多井が1p切りリーチといく。

これに対し、すでに2フーロしていたオヤの松本がポンしてテンパイ。

テンパイ料で順位が入れ替わるシビアな点差のトップ争いで、松本もオリることができない。


そこで、萩原にテンパイが入る。

マンガン条件の萩原は、ヤオチュー牌から切ってタンヤオを目指していたが、2人からの攻撃が入ったため、次局を見据えて守備的に打っていた。

そこにひょっこり入ったテンパイをどうするか。

萩原が長考に入った。

まず、攻めるのか、守るのか。

これについては、条件が整ったため攻める、でいいだろう。

ということはリーチになる。


では、次に待ち取り。

生牌の7pと1枚切れの3m、どちらの単騎に受けるのか。

見た目の枚数では7pだが、マンズは場に安く、ピンズは高い。

萩原が下した結論は、3m単騎のリーチ。

結果、松本が一発で3mを掴み、萩原が初トップを獲得した。

もし7p単騎に受けていたら、ヤマには1枚も残っていなかった。

見事、ヤマに残った牌に待ちを合わせにいった格好である。


萩原の麻雀について、捉えどころが難しいと思う方もいるのではないかと思う。

しかし、多くの場合、萩原は何かを強く合わせにいっているだけなのである。

それは、待ちだったり、アガれそうな色だったり、スピードだったり、参戦するために必要な打点だったり様々だ。

ただ、他のRTDリーグプレイヤーに比べて、1つの観点に強烈に合わせにいくことが多いため、これまでRTDリーグを観ていただいていた視聴者の方には、特異な選択に移ることがあるのかもしれない。

そんなときには、萩原が何を合わせにいっているのか、という観点で考察してみるのがおすすめ。

すると、その思考がだんだんわかってくるのではないかと思うのである。


▼▼▼BLACK 6回戦:リーチは手段である▼▼▼

3、4年ほど前、私が村上に抱いていたのは、「リーチが目的になってしまっていて、バランスが悪くないか?」という思いだった。

そのころの村上は、リーチというスタイルを磨きすぎたあまり、門前に偏向しすぎているように見えた。

つまり、効率よく打点を得るための手段であるはずのリーチが、リーチをかけるという目的にすり替わっているのではないかと危惧したのである。

ところが、一昨年辺りからだろうか。

村上のリーチ偏向が解け、リーチを中心に組み立てたバランスとして、かなり完成されたものになったように見えたのだ。

それが見えたのが、例えばこの仕掛け。

何の変哲もないホンイツ仕掛けなのだが、少し前の村上は、これさえも仕掛けをためらうことがあったように思えた。

これを1枚目から呼吸するように仕掛けられるのが、ここ最近の村上。

もう1度言うが、何の変哲もない仕掛けである。

しかし、強くリーチを軸にしたバランスを組み立ててしまうと、こういうのが鳴けなくなってしまうことがあるのだ。


一方で、その偏向がもらした恩恵もある。

これまで鳴かなかった村上が鳴くと、「高くて早い仕掛けなんじゃないか?」と他家が警戒し、終盤までもつれることが多くなるのだ。

今回も正にそのパターンで、他家をけん制しながら終盤にようやくテンパイを果たすと、ツモアガリまでたどり着いた。

リーチは効率よく点数を稼ぐための手段であり、目的にはなりえない。仕掛けたほうが効率よく点数を稼げる手牌なのであれば、仕掛けるべきなのである。

こういう普通が村上に戻り、リーチの鋭さがさらに活きるようになったというのが、ここ最近で磨きがかかったリーチ超人村上の強さであると、私は思う。

ラスが重なり、2人だけマイナススタートとなった瀬戸熊と内川の巻き返しに期待がかかる。


鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)


■次回2/19(月)21:00からWHITE DIVISION 7、8回戦をAbemaTV 麻雀チャンネルにて放送予定