美術館に行く理由
私は美術館によく行きます。
美術館がたくさんある上野公園付近が大好きですし、こじんまりした私設の美術館には洒落たところが多く、こちらも大好きなプレイスです。
初めは展示品を鑑賞して、少しでも感性を磨きたいという立派な?心がけで、名画といわれる西洋画を観に行くことが多かったです。
名画をメインにした大きな展覧会はもちろん見応えあるのですが、ここ数年は多すぎて身も心も疲れるようになりました。
いつからか花鳥画や仏画に癒されるようになり、江戸時代以降に描かれたそれらを愛でることが好きになったのです。そのほか動物を描いたものや仏像鑑賞も好きです。
各美術館の建物や置かれている家具を見るのは、以前から最も興味あることでしたが、
学芸員の学びに入ってからは、照明や展示会場の設えなどの空間演出に浸るのも楽しみになりました。
そうしているうちに気がついたのですが、
展覧会の鑑賞や、美術館で過ごす時間は、自分と向き合う・内面に入っていく時間になりました。
瞑想の少し手前のひとつのことに集中している心地よい時間です。
ある時、私は美術館で心底癒され、はっきりと自分が見えたことがありました。
毎日たくさんの情報やモノの中にいて、あれをしたら、これをしてと常に段取りし、頭がごちゃごちゃして自分が見えなくなることがあります。
私はこの場所が、この時間が好き。これを見て感動する自分が好き。なぜこれが好きなんだろう。これのどこが自分を感動させるのだろうと、作品に入っていく時間です。
好きなものの前に立っている感動は、なぜか心身を軽くし自分を明らかにしてくれる。
いまはそう感じて、好きな画家の絵画が展示されていると知ると、いそいそと出かけています。
そうして好きな一枚、一作品に出会えた奇跡は心の宝物になると感じています。
好きなもの、感動するものは人それぞれですが、自分の家の空間に1カ所でも、見ればワクワクしたり、嬉しくなったり、癒やされたりする場所があると良いですね。
それが絵でもオブジェでも花でも食器でも、好きなものにはそんな効果があるのですね。
嵐山文華館