MBA留学準備ガイダンス(第5回)
出願戦略
1:出願校数
出願者の状況によりますが、5校前後に出願することをお勧めします。
出願先候補を幅広くリストアップしてロングリストを作成した上で、出願校の選定作業を継続しながらショートリストを作成することが望ましいと思います。
出願校の数が多くなると、1校あたりの準備時間や労力が分散し過ぎる可能性があるため注意が必要です。
出願校の数が少なくなると、不測の事態に対応することが難しくなる可能性があるため注意が必要です。
2:出願ポートフォリオ
出願準備の全体像を考慮しながら、出願ポートフォリオを組むことをお勧めします。
英語試験の最高点を更新したとき、能力試験の最高点を更新したとき、早いラウンドで出願したMBAプログラムから合格通知が届いたときなど、出願準備の進展状況に応じて、可能性とリスクのバランスを考慮しながら、出願ポートフォリオを更新することが望ましいと思います。
2-1:構成
ドリーム校、チャレンジ校、リスクヘッジ校から構成される出願ポートフォリオを組むことをお勧めします。
2-1-1:ドリーム校
ドリーム校は、合格可能性に関わらず、感動して進学できるビジネススクールになります。
2-1-2:チャレンジ校
チャレンジ校は、合格可能性が50%前後で、満足して進学できるビジネススクールになります。
2-1-3:リスクヘッジ校
リスクヘッジ校は、合格可能性が80%以上で、納得して進学できるビジネススクールになります。
2-2:種類
出願ポートフォリオの種類には、標準策、積極策、慎重策があります。
2-2-1:標準策
標準策は、可能性とリスクのバランスを適度にとるための出願ポートフォリオになります。
5校の出願ポートフォリオを組む場合、1校のドリーム校、2校のチャレンジ校、2校のリスクヘッジ校になります。
2-2-2:積極策
積極策は、可能性を積極的に追求するための出願ポートフォリオになります。
5校の出願ポートフォリオを組む場合、3校のドリーム校、1校のチャレンジ校、1校のリスクヘッジ校になります。
2-2-3:慎重策
慎重策は、リスクを積極的に軽減するための出願ポートフォリオになります。
5校の出願ポートフォリオを組む場合、1校のドリーム校、1校のチャレンジ校、3校のリスクヘッジ校になります。
3:目標設定
ドリーム校に合わせて目標を設定することをお勧めします。
英語試験、能力試験、レジュメ、エッセイ、インタビューなどについて、個別の目標を設定することが望ましいと思います。
3-1:英語試験
TOEFL®、IELTS™などの英語試験は、留学生にとって、英語のネイティブスピーカーの出願者と同じ土俵で審査を受けるための機会になります。
MBAプログラムによっては、英語試験の出願要件を設定していないことがあります。
トップ校のMBAプログラムを目指す場合には、TOEFL®については、目標スコアを110点(Reading:29点、Listening:29点、Speaking:24点、Writing:28点)に設定することをお勧めします。
IELTS™については、目標スコアを8.0点(Reading:8.5点、Listening:8.5点、Speaking:7.5点、Writing:7.0点)に設定することをお勧めします。
中堅校のMBAプログラムを目指す場合には、TOEFL®については、目標スコアを100点(Reading:28点、Listening:27点、Speaking:20点、Writing:25点)に設定することをお勧めします。
IELTS™については、目標スコアを7.0点(Reading:7.5点、Listening:7.5点、Speaking:6.5点、Writing:6.5点)に設定することをお勧めします。
TOEFL®とIELTS™の他にも、PTE®などの英語試験を出願要件として設定しているMBAプログラムもありますので、状況によっては検討に値すると思います。
3-2:能力試験
GMAT™、GRE®などの能力試験は、留学生だけではなく、英語のネイティブスピーカーも受験する必要があるので、全ての出願者が同じ基準で審査を受けるための機会になります。
MBAプログラムによっては、能力試験の出願要件を設定していないことがあります。
トップ校のMBAプログラムを目指す場合には、GMAT™については、目標スコアを730点(Math:51点、Verbal:38点)、AWA:5.0、IR:7に設定することをお勧めします。
GRE®については、目標スコアを327点(Math:170点、Verbal:157点)、AW:5.0に設定することをお勧めします。
中堅校のMBAプログラムを目指す場合には、GMAT™については、目標スコアを650点(Math:50点、Verbal:30点)、AWA:4.0、IR:5に設定することをお勧めします。
GRE®については、目標スコアを317点(Math:167点、Verbal:150点)、AW:4.0に設定することをお勧めします。
GMAT™、GRE®の他にも、独自の能力試験を設定しているMBAプログラムもありますので、状況によっては検討に値すると思います。
3-3:レジュメ
レジュメは、MBAプログラムの入学審査委員会に、スペースの制約がある状況において、プロフィールを書き言葉で伝える機会になります。
トップ校のMBAプログラムを目指す場合には、完成度90%のレジュメを目指すことをお勧めします。
中堅校のMBAプログラムを目指す場合には、完成度80%のレジュメを目指すことをお勧めします。
3-4:エッセイ
エッセイは、MBAプログラムの入学審査委員会に、エッセイ数と文字数の制約がある状況において、エッセイの課題に応じてアプリカントとしての魅力を書き言葉で伝える機会になります。
MBAプログラムによっては、ビデオエッセイの提出が必要になることがあります。
トップ校のMBAプログラムを目指す場合には、完成度90%のエッセイを目指すことをお勧めします。
中堅校のMBAプログラムを目指す場合には、完成度80%のエッセイを目指すことをお勧めします。
3-5:インタビュー
インタビューは、MBAプログラムの入学審査委員会に、時間の制約がある状況において、アプリカントとしての魅力を話し言葉で伝える機会になります。
トップ校のMBAプログラムを目指す場合には、完成度90%のインタビューを目指すことをお勧めします。
中堅校のMBAプログラムを目指す場合には、完成度80%のインタビューを目指すことをお勧めします。
4:準備方法
準備方法には、シングルタスク型、マルチタスク型、ハイブリッド型があります。
4-1:シングルタスク型
シングルタスク型とは、英語試験、能力試験、レジュメ、エッセイ、インタビューなどについて、一つずつ順番に出願準備を進める方法になります。
4-2:マルチタスク型
マルチタスク型とは、英語試験、能力試験、レジュメ、エッセイ、インタビューなどについて、同時並行に出願準備を進める方法になります。
4-3:ハイブリッド型
ハイブリッド型とは、英語試験、能力試験、レジュメ、エッセイ、インタビューなどについて、状況に応じて柔軟に出願準備を進める方法になります。
5:出願時期
ビジネススクールにより異なりますが、秋入学のMBAプログラムの場合、第1ラウンドの出願時期は前年の9月頃、第2ラウンドの出願時期は1月頃、第3ラウンドの出願時期は3月頃になります。
十分に出願準備が出来ていることを基準にして、出願時期を決定することをお勧めします。
出願は早ければ早いほど良いといわれることがありますが、早いラウンドに出願することにはメリットとデメリットがあるので、出願準備の進展状況に応じて、出願時期を判断することが望ましいと思います。
早いラウンドに出願することのメリットは、多くの定員枠が残っていること、他の出願者とのバックグラウンドが重複する可能性が低いこと、奨学金に応募できること、熱意を伝えやすいこと、合格した時点で出願準備を終了できる選択肢があること、遅いラウンドに予定している他校への出願準備の予行演習になることなどがあります。
早いラウンドに出願することのデメリットは、遅いラウンドまでの時間を出願書類のクオリティを更に高くするための準備に活用できないこと、出願校のインタビューと遅いラウンドに予定している他校の出願準備が重複する可能性があること、遅いラウンドに出願した他校の結果が発表になる前に合格校にデポジットの支払いが発生する可能性があることなどがあります。