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棒高跳競技者に発生しやすい怪我を知ろう!

2018.02.16 06:16

初めまして。 中京大学大学院の榎将太です。 

私は棒高跳に対して、選手、研究者、将来は指導者として関わっていきたいと思っています。 

今回は研究している「棒高跳競技者の怪我」についてお話しします。  


1つ目のグループBoden et al.1,2)は障害が残る、もしくは死に至るほどの傷害に関する調査を行っています。 アメリカにおける16年間の重篤事故について調査し、体はマットに着地したが頭を地面に打っていた際や、マット外に着地した際に発生していたと報告しています。

そのため、マットの規格を大きくすることを推奨したところ、その後の研究において年1件起こっていた重篤事故が年0.22件へと減少したと報告しています。 

正式に報告はされていませんが、日本においてもボックスやマット外に落ちてしまって頭蓋骨骨折などの重篤事故が起こっているのではないでしょうか。 私も高校2年生時の大阪室内で直接地面に落ちてしまっていますが、幸い打撲のみで済みました。


2つ目のグループRebella et al.3,4)はアメリカの高校生と大学生100名以上を対象に縦断的な傷害調査を行いました。 高校生において足関節、大学生において腰椎/下背部いわゆる腰に最も傷害が発生していたと報告しています。 

日本に目を向けると、傷害調査は大学保健センターの受診歴5)より確認できました。そこでは、足関節、腰の順に多かったと報告しています。しかし、病院を受診することから比較的重症な傷害のみが記録されている可能性があります。


そのため、私たちは大学生個人選手権大会において参加した棒高跳競技者を対象に棒高跳による傷害歴に関する聞き取り調査6)を行いました。

(アンケートにお答えいただいた皆様、ありがとうございました!)

個人選手権は大学生の全国大会の1つであり、標準記録を突破した選手(男子:5m10)のみが出場します。

その結果は、足関節、腰椎/下背部、大腿の順に多く傷害歴がありました。  またもう1つの研究として、1年間の傷害調査7)を行ったところ、腰椎/下背部と足関節が同率で最も傷害が発生しました。


このような調査から棒高跳競技者に発生しやすい傷害とは・・・

「腰椎/下背部と足関節の傷害」

であるといえます!


継続的にトレーニングを行うには、これらの棒高跳競技者の障害に関する特徴を充分に理解し、また予防するための取組が必要です。


どのように予防すればいいのでしょうか?

第2話に続きます!!


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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【参考文献】

 1) Boden BP et.al. Catastrophic injuries in pole-vaulters.Am J Sports Med.2001;29(1):50- 4.

 2)Boden BP et.al. Catastrophic injuries in polevaulters:a prospective 9-year follow-up study.Am J Sports Med.2012;40(7):1488-1494.

 3)Rebella GS et.al. A prospective study of injury patterns in high school pole vaulters.Am J Sports Med.2008;36(5):913-20.

 4)Rebella GS.A Prospective Study of Injury Patterns in Collegiate Pole Vaulters.Am J Sports Med.2015;43(4):808-815.

 5)田渕健一.跳運動に伴う障害.Japanese journal of sports science.1983;2-(8):623-636.

 6)榎将太ら.日本における大学生棒高跳選手の傷害歴~2014年日本学生陸上個人選手権大 会出場選手を対象として~.中京大学体育学論叢.2016;56(1):17-24.

 7) 榎 将太ら.大学生棒高跳選手の障害発生に関する前向き調査.日本臨床スポーツ医学会, 印刷中.