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棒高跳競技者の傷害を予防しよう!

2018.02.24 00:39

前回に引き続き、中京大学大学院の榎がお話しさせていただきます。 

『棒高跳競技者に発生しやすい怪我を知ろう!』がまだの方はぜひそちらも読んでください!!


今回は、棒高跳競技者に多く発生している「足関節、腰(腰椎/下背部)の傷害」をどのように予防したらよいのか考えていきましょう。


前回も紹介したRebella et al.の研究1,2)では、高校生において足関節、大学生において腰に最も傷害が発生しているとのことでした。

そして、高校生において足関節に傷害が多かった原因として、着地技術が未熟であることだとしています。そのため、臀部(お尻)や背中から着地することを指導者は最初に指導することが必要だと提言しています。


私たちが行った傷害調査の足関節傷害の発生は半数が踏切後の着地時に発生していたため、跳躍種目特有の着地があること、棒高跳はより高所からの着地であることが原因として考えられます。


また、大学生では腰の傷害である“脊柱分離症”や“腰椎捻挫”のほとんどが踏切時に発生していました。

踏切足がボックス側に入ってしまうことや、踏切角度が低いことで「脊柱が強制的に伸展(反ら)されること」が原因として考えられています。 

選手が握っているグリップに対する適切な踏切位置や踏切角度を指導者がコーチングすることは、パフォーマンスの向上に加えて「傷害を予防する」ために必要となっています。  


これらの研究に加えてGainor et al.3)が報告している棒高跳選手の脊柱分離症と跳躍動作の関連についてお話しします。

1983年と古い研究であり、問題点も多いですが・・・。


棒高跳の研究のなかでも「動作と傷害」の関連について報告している”唯一の研究”です。

その結果は、脊柱分離症がある競技者の動作分析を行い、踏切時の脊柱伸展方向の過度な角加速度が報告されています。 

つまり、先ほどの傷害調査と同じく「踏切時に腰を反ってしまうこと」が脊柱分離症の原因であると考えられます。


これらの研究から予防策のまとめ

 ①足関節傷害の予防

 1. マットがしっかりと管理されており、穴や間が空いているなどの欠陥がないこと

 2. 着地時にはお尻もしくは背中から着地すること  


足関節捻挫を良くしてしまう人は、しっかりとリハビリを行い、再発を予防しましょう。テーピングやブレース、インソールなども効果的です。


 ②腰痛の予防

 1. グリップにあった適正な踏切位置で踏み切ること

 2. 適切な踏切角度で踏み切ること  


また海外では、ボックスに落下してしまうことでの怪我が重症化することを防ぐために、多くの競技場や学校のボックスにカバーをつけています。

このような設備環境を整えるだけでも防げる怪我は多くあります。


怪我せず練習することはパフォーマンス向上への最大の近道です。

怪我することなく、競技を全うしましょう!!  


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!  

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あまり更新していませんが、跳躍動画をあげています。 

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【参考文献】

 1)Rebella GS et.al.A prospective study of injury patterns in high school pole vaulters.Am J Sports Med.2008;36(5):913-20.

 2)Rebella GS.A Prospective Study of Injury Patterns in Collegiate Pole Vaulters.Am J Sports Med.2015;43(4):808-815.

 3) Barry J. Gainor et.al.Biomechanics of the spine in the pole-vaulter as related to spondylolysis.Am J Sports Med.1983;11(2):53-57.