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超人ザオタル(83)求める者

2022.09.09 10:28

私は真実への道を歩んでしまった。

それで草原に行って自分の真実を理解したが、

明日の寝食にも困る有様だ。

この世界では褒められたことではない。


町には夜の帳が降ろされ、小さな窓明かりが灯される。

平和で静かな夜。

ここで私の真実など、どれだけの意味を持つというのだろうか。

実際にこの世界では何の役にも立たないのだ。


自分が誰なのかという真実は世界のものではない。

だから世界の役に立つものであってはならない。

だが、私はこうして世界で生きている。

それが悲しいというわけでも罪悪感を持っているわけでもない。


役立たずではあるが、私はいつも真実を携えているのだ。

私の真実を世界の役に立たせようとすれば、

それはきっと真実ではない何かに変容してしまうだろう。

人々はそれが何かの役に立つのではないかと期待する。


だが、真実には動きがなく、ただ静かに存在するだけだ。

そんな姿に、きっと人々は早々に見切りをつけるだろう。

何しろ世界で役に立つことは他にたくさんあるのだ。

普通に心配なく生きるための優れた手段を見つけようとする。


私はこの世界で真実を伝えるべきなのか。

いまここでアジタでさえ振り向かせることはできなかった。

普通を生きる人々にとって、真実は異物でしかない。

私も世界の異物なのだ。


ただ無害であれば、無視していることもできる。

そうであるなら、真実を伝える意味などないかもしれない。

それを伝えようとすることが、人々の期待を裏切っているのだ。

それならば、私はなぜ真実を知ろうと思ったのか。


私も普通の平和な生活を望んでいた。

それを捨てさせたのは、世界の意志としか考えられない。

世界が私にそうさせた。

ミスラのあの強い意志を通じて。


世界に生きる人々は真実を望んでいないが、

世界は人々に真実を望んでいる。

そこへの道を常に用意している。

だが、道を歩まなければ、それは景色でしかない。


真実を受け入れるための精神が成熟して、

道を歩もうとする意思を待たなければならないのだ。

それなら、なぜ私はここにいるのか。

無駄に真実を伝えることをしているのか。


それも世界の意思だ。

ここでは世界の意思に従うしかない。

それで真実が失われることもないのだ。

私は世界を信頼しなければならない。


部屋の扉がノックされる音にハッとした。

「ザオタルさま、まだ起きてらっしゃいますか」

扉越しにハルートの声がした。

私は真実を求める者が少なからずいるのを思い出した。