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童話作家|浜尾まさひろ

第11回 安房直子さんのインタビューから

2022.09.11 20:13

安房直子さんのインタビューから


童話塾通信には名作「きつねの窓」で知られる安房直子さんへのインタビューが掲載されてありました。

――これから童話を書く塾生にどんなアドバイスがありますか? という問いに安房さんは「私は本をいっぱい読んでほしいと思っています」と答えています。

「それは手とり足とり、教えられて書けるものではないですね。私の場合、いろいろ思いついたことをみんなノートにメモしといて、ほんと断片ですけど、それでそれが膨らんできた時に書きます(中略)ただ私はやっぱり絶対本を読まなくちゃだめじゃないかと思いますけど……。」

この言葉で安房さんの読書量が半端ではなかったことに今さらながら納得したものでした。ネットでいろんな情報が得られる昨今ですが、あらゆるジャンルの本を読みつくすことで、その情報源が記憶に蓄えられ空想の翼を広げることになるのではないでしょうか。

「私の場合は書く前にね、こんな感じの話、たとえばこんな色のお話とかって、はじめに決めておいた全体の雰囲気があって、その通りにならないと成功しないような気がします」

――気をつけている事に関しては?

「かなり何回も何回も読み返します。原稿用紙以前です。私ノートです。その時はまずメモでしょ、それからノート、大学ノートみたいなノートに書いて、それで、かなり書いたり消したりして、完璧になったところで原稿用紙ですから、原稿用紙はとってもきれいなんです」

――訂正が少ないという……。

「出入りがあんまりないんです。前ノートの段階がきたないですね。で、そのノートの時に時々音読みしたりします(中略)なめらかにながれているかどうかとか。そんなに大きな声で読むんじゃないですけどね(笑)」

「私が糸が好きなんです。だから糸屋さんに目的もないのに行って、いろんな色の糸見てたり、刺繍糸とか、たとえば――羊を飼ってその毛をかって、それを草木染めみたいに染めて、つむいで糸にして、それで編むとかそういうことをできればしてみたい……」


私にはできそうにありませんが、やはり安房さんは完璧主義者のように思えました。家庭の仕事と童話を書く仕事は邪魔しあわないものだともおっしゃっています。

メモ書きで人物の構成を整え、物語を膨らませていくのは、まさに卓越した職人技といえるでしょう。


安房直子――日本女子大国文科卒業。山室静に師事し、立原えりかと児童文学同人誌「海賊」に参加。一九七〇年短編「さんしょっ子」で日本児童文学者協会新人賞。一九七三年童話集「風と木の歌」で小学館文学賞。他に野間児童文芸賞など。一九九三年永眠。

浜尾


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