コーチの勉強を始めた話
みなさんご無沙汰しています。久しぶりにブログを書きます。特に何か大きな結論に達したとか、広めたい情報があるとかそういう訳ではないのですが、最近ちょっとやっていることをお話ししたいと思います。
この話を始める前に僕の自転車競技の経歴を少し。
僕は日本の学校の部活での自転車競技を経験していません。中学生の頃からMTBで走り回り、高校生の時に学校とは関係のない地元のショップのクラブチームに所属させてもらいロードレースにも出始めましたが、周りに同年代の選手もいなかったので基本的には1人で練習していました。全日本等の全国大会で何度か入賞はしたりしていましたが、インターハイ等には出たこともなくナショナルチームにも参加したことはありませんでした。唯一と言っていいのは福島晋一さんが作ったBonneChanceというチームに所属させてもらっていたくらいでしょうか。
そして、高校卒業後は海外に渡り、そこでようやく本格的な選手の育成の仕組みを体験しました。自転車レースを本格的に始めた時に最初に所属する地域のクラブチームや、プロへの登竜門的クラブチーム、その国の有望な若手がたくさん所属するコンチネンタルチームに所属し、身をもって選手の強化とは何かを体験して、そこにはもちろんコーチの姿もありました。
そのころは、自分自身が強くなることに必死で、仕組み自体に興味を持つことはほとんどありませんでしたが、今思えば、伝統的な自転車先進国であるフランスや、選手強化を地道に続けてヨーロッパの国々に追いついたアメリカのようなところで経験を積めたのは、非常に恵まれていたと思います。
コーチングの内容は多岐に渡り、コーチによって細かい部分は違いますが、基本的に似たようなことをやっていたと思います。中高生までのレベルでは、体力的に追い込むよりもなによりもまずは楽しみながらバイクコントロールを身につける練習、そしてバイクフィッティング、トレーニングの指標になるフィジカルテスト、具体的なトレーニングメニューの提供、さらには実際に選手と走りながら指導、等です。
そしてそんな環境で育った高卒の僕ですが、ひょんなことから立命館大学のコーチを引き受けることとなり、(高卒なのに!)生まれて初めて日本の学生の「部活」に触れる機会が訪れました。そして、そこに関わっていくなかで、当然立命館の一校だけではなく、他大学の様子もこれまで以上に知ることができましたが、そこでは驚きの連続でした。
まずなによりも、自転車に乗るのが下手な人の多さです。僕も自転車に乗るのはそんなに上手だとは思っていませんが、速く走る以前の問題でとにかく落車が多い。大学生といえば年齢的には多くの選手はU23カテゴリーですが、レースの戦略やペース配分、集団走行の技術がジュニア以下な子の割合がかなり高い印象を受けました。機材は非常に良いものを使っているのですが、扱いが雑だったり間違った使い方をして壊してしまうよーと心配することも多いです。
それなのにパワーメーターを使ったトレーニング、例えばFTPとかTSSだったりそういう単語、に関しては妙に詳しかったりする。でもその理論もものすごく偏っていて、もっとやるべき基礎的な部分がすっかり抜けていたりします。
もちろんちゃんとした子も居ますし、以前より圧倒的にトップの方のレベルは上がっていると思いますが、圧倒的に上記のような子が多いと思います。学連の登録者数を見るに、日本国内のジュニアやU23の育成の主たる場所は間違いなく部活ではないかと思っていますが、「これは、何かがおかしい、僕が経験してきたものと全く違う」という印象を受けました。そこで、もともとコーチという役割に興味を持っていたのですが、その気持ちがさらに高まったので、将来的にも役に立つかもしれないなと勉強を始めることにしました。
僕自身もう10年以上自転車競技をすることでご飯を食べてきましたので、競技の経験はそれなりにある方だと思っています。しかし、人に教えるとなると話は別です。誰もが全日本で勝ったりプロレベルで走れる人ではありません。自転車を始めたばかりの子、レースが完走すら難しい子、そこそこ走れそうなのに落車ばかり繰り返す子、社会人で時間はないし年齢も重ねてきたけどレースを目標に頑張っている人、いろいろな人にどう接すべきか、そして今のトレーニング理論はどうなっているのか、これを機会に少し体系的に勉強してみようと思いました。
がしかし、ここで問題が。
国内の車連に問い合わせると、そんな学べる制度はないと。スポーツ協会のコーチ資格もありましたが、それもどちらかといえば例えば国体の引率等に必要な資格といった印象で、自転車のコーチングの勉強とはまた違ったものだと感じました。(間違っていたらすみません)なので、こういう資格は、「資格がないと参加できないとか何かしら必要になった時に取ればいいか」ということで、別の方向を模索することに。
現役で選手をやりながらなので、時間的にも金銭的にも現実的な範囲で色々と探っていましたが、けっきょく自転車競技の分野で日本よりも進んでいる国の制度を利用した方が良いんじゃないかとの結論に達しました。詳細は話せませんが、海外の自転車のコーチの資格がローレベルなものであれば取得させてもらえるという話になり、そのプログラムに参加することにしました。そこでは、テストや簡単な授業も全てオンラインで自由な時間設定でできるので、今の自分にはもってこいでしたし、コーチになればアクセスできる情報も増えるようです。
ちなみに一番緊張したのは、全てのテストに合格した後、ライセンスを発行する前に行うバックグラウンドチェック(犯罪履歴とかないかどうかをチェックする)でした笑
いや、やましいことは何もないんですけど、こういうのが一番緊張します。
というわけでライセンスは無事に取得して、いよいよ勉強がスタートしました。
もうかれこれ数ヶ月は毎日ちょっとずつ時間を作って勉強していて、これからその知識をちょっとずつ役立てていければ良いなと思っています。まずは実験台として自分で自分をコーチングして強くなれたら面白いですね笑
いつになるか分からないですが、もっとちゃんと勉強して実務の経験も積んでいって、少しでも自転車競技を楽しむ人の役に立てたら良いですね。