バーライト自作した話
前書き
まずこちらの写真をご覧いただきたい
スタジオの後輩のテスト写真だが、
これは天井一面に紗幕と呼ばれる半透明の布を張り、その上にストロボを4つ設置して撮影した写真である
天井に射幕を張り、その上にライトを設置するとなるとかなり大掛かりなスタジオで撮影する必要がある
こんな感じでD枠と呼ばれる昇降機能付きの設備が必要になる
同じ様な方法でバイクを撮影するとこんな感じ
タンク付近に注目して欲しいのだが、映り込みが非常に滑らかでカタログ写真っぽくなる
これは光源が均一で大きいからこそ得られる描写だが、
屋外でこれを再現しようとすると、この様な足付きの枠が必要になる
当然、バイクでは持ち運べない
さて、話を要約すると、
しかしながら私は屋外で大きな面光源を獲得したい
しかもなるべくコンパクトに
という我儘を実現させようとするのが今回の企画
現在のソリューション
下記の記事にて現在の撮影方法をまとめている
バーライト&長時間露光はストロボ用大型アクセサリーにも勝る光源の大きさを持っているので非常に綺麗な写真が撮影可能
バイクで走る際に大型アクセサリーなんか持ち歩きたくないし、何ならリュックすら背負いたくない
そんなわけで最近はバーライトによる定常光での撮影にはまっている筆者ですが、
使っているライトはNANLITEのPAVOTubeやGODOXのTL30など
どれもバッテリー内蔵でRGBカラーの発光ができる優れモノ
しかしながら私はもっと大きな面光源が欲しい
深夜のドンキで運命の出会いを果たす
長さが1mぐらいあるライトが欲しいなぁと思っていたある日
ふらっと立ち寄ったドンキでこんな製品を見つけた
インテリア用の角に設置するバーライトである
なんか海外のゲーム実況者の部屋にあるのを見たことあるような気がする
筆者はPCデスクの改造計画を実行中だったのでつい買ってしまった
深夜にドンキ行くと意味不明なものを買いがち
ちなみに長いバーライトで有名な物はキノフロの単菅等が挙げられる
この写真はその中でも一番長い8ft菅、メートル法では2.4mになる
勿論100v駆動だし、電圧を調整するバラストと呼ばれる機材も必要
これはこれで面白い写真が撮れる
あえて撮影機材を映しこみ、メイキング風の写真に仕上げた
さて話を戻して、ドンキで買ったライトは、
詳しく見てみると100Vの2Pコンセントから電源を拾うのだが、途中で12Vに変換していることが分かった(確認したら端子は通常のDC端子)
12Vといえば車やバイクのバッテリー、これなら出先でも使うことができる
バー型のライトでも長時間露光中に動かせば面光源が獲得できる!!
いやちょっと待てぃ
キノフロ8ft菅も然り、そもそも1.5m以上もある棒を持ってバイクに乗るのはさすがに世間様が許さない
暴走族のケツ持ちに間違えられるかもしれない
そして思いつく最適解
なんとか携帯性が高くて大きな光源を獲得できる妙案がないものか…
と思っていた翌日、閃いた
「LEDテープでいいじゃん」
これなら収納時は纏めてコンパクトにできる
しかし、こちらは光源が点になっているのでもし長時間露光した場合、線が映ってしまう
なのでもう少し探したら、こんな製品を発見した
これなら綺麗な面光源を作れそうだ
電源問題は長さ1mまでなら5Vで駆動するとの事
であれば通常のUSBのバスパワーで動きそう
演色性能はCRI>=90
消費電力は5v 2Aで10w
問題は出先でどのように使うか
考えた末に、自撮りの伸縮式棒にベルクロで装着できる機構を組むことにした
そうなれば早速Amazonで注文
その翌日には全ての材料が揃った
掛かった料金はLEDテープが2000円
ベルクロと伸縮式棒は手持ちのものを使用
↓届いたLEDテープ
なんか、ちょっとチープな感じがするが実際安いので仕方ない
そしたらLEDテープにベルクロを付け、脱着可能にしてから棒に貼り付け、バッテリーに繋いだら完成
↑遠近感狂って短く見えるが、長さは1mある
作業時間は15分ほど
ちょっと暗いかな...?と思ったりしたが、そこはなるべく暗いロケーションで露出時間を伸ばせば解決する
この方法でバイクを撮っている人は他にいないのでおそらく世界初だろう
(筆者調べ)
テスト撮影
とりあえずテスト撮影、完成したものが余りにも簡素すぎてまともに撮れるのかちょっと不安
家のガレージにバイクを置いて撮影してみる
今回はLMLのスタデラを撮影
まずは素材撮影
と、言ってもバイクと背景の2枚のみ
↑何故か筆者は白い服を着て撮影に臨んだので白く写ってしまっている
グリッドが装着できないのでライトを動かす人物が映り込みやすいのも問題
それらを合成して調整をかけた写真はこちら
思ってたより悪くない
フロントのカウルやシート付近など面光源ならではの光となった
撮影してて気づいたメリットはもう一つある
バッテリー持ちである
LEDの特性上消費電力が少ないのと、モバイルバッテリーからの給電なので市販品のLEDに比べて電池持ちが圧倒的に良い
バッテリーは10000mAhだが軽く3時間は使うことができた
ついでにもう一カット撮影
今度は長い光源を生かして綺麗なハイライトを入れてみた
バイクであれば短い光源で動かさずともタンクのハイライトぐらいは入れられたが、車ではそうはいかない
下記のボンネットキャラクタラインの様なカットが撮りやすいメリットがある
素材撮りが終わったら配置
そしてPhotoshopで合成して完成
カタログの1ページみたいに仕上がった
ボンネットキャラクタラインも綺麗に入っているし、何よりグリルサイドの細いラインも表現することが容易にできた
またリップライトのフェード掛かった光も長い光源ならではの表現
車の撮影ではライトはほとんど動かさないで撮影を行った
1mの長さのライトとであれば車の寄りの撮影では動かさなくても撮影ができるみたい
動かさないということは、ライトの移動量や時間における露出のばらつきが無くなるので、合成の難易度が下りクオリティが上がる
さてここまででテスト撮影は終了、
改良点を洗って次は本番
本番撮影
さて、冬の冷え込みも厳しくなった11/27
千葉ツーリングへ、向かった
題目は、
「千葉のカレーを食し、峠道を走ろうの会」
ここへ、上記の機材に加え、自作バーライトにさらにロッドを足して延長してた物を用意、本番撮影を行うことにした
理由は、グリット装着不可な自作バーライトはロッドが短いと人物が写ってしまう、なのでさらに長くして、人物と発光体の距離を稼ぐことにした
下記のアイテムをロッドとロッドの間に装着、ロッドを延長するジョイントにしつつ、角度調整が可能になるようにした
最終的にライト機材は下記のようになった
(タバコはサイズ参考用)
展開サイズと収納サイズの比較
発光している部分の長さは1m
このサイズ感ならバッグの中身を圧迫しない
そして、とりあえず撮影
KATANA1100
Leica M10とSummilux 50 ASPH
カメラを三脚で固定してf5.6 8s iso100に、
上がった写真はこんな感じ
......!
良い!!
まるで天紗(天井紗幕)を張ったスタジオのような写真ではないか
この一枚でもかなり絵になっている
その後、暗かったエンジン部分の合成や上半分の光の軌跡を消すなどして完成
....!
とても良い!!!
そのままZX-6Rを撮影
素材カットは下記の4枚
そしてて合成した写真はこんな感じ
ついでに筆者のVitpilenも撮影
こちらは別日の写真
背景がやや明るい場面でもギリギリ撮影出来るが、光量がやや足りていない
その他の作例
纏め
本番撮影を終えて気付いた事を纏めると、
メリット
・圧倒的なサイズの面光源
これはストロボや小型のバーライトではできない芸当
・バッテリー
LEDテープの消費電力は10wほど、10000mAhのバッテリー使用を想定した場合、理論値であれば5時間の発光が可能
5vでUSBからの給電なので出先でも入手性が高い、またバッテリが発光体よりも手元に近いので軽く感じるのも大きい
・そもそも長い光源
テスト撮影の際の車写真のように長い映り込みを作る際に有利
・超絶コスパ
LEDテープ2000円
テープ固定用のロッドは手持ちのものを使ったので無料
市販品で1mのバーライトは安くても3万円はするので非常に安上がり
・機動性が非常に高い
今回の本番撮影ではカメラも含めてウェストポーチに全て収納できた
バッグの大きさに対する写真のクオリティは他の追随を許さないレベル
デメリット
・フリッカー
長秒露光のスチール撮影では問題ないが、ムービーでは厳しいと思う
・ちょっと明るさが足りない、
これは消費電力を考えると仕方ないかもしれないが、市販品と比べると明るさがやや足りない
また、AmazonのLEDテープにはディマーが付属していたが、明るさを5段階で調節するもので、調整範囲にやや不満(あと出力を絞るとフリッカーが酷い)
・グリッドがない問題
お手製がゆえにグリッドが装着できない、また、長いので光の照射場所や被写体以外への反射制御が難しい
・目立つ
先に挙げた様に明るさが足りないので相対的に暗い場所での撮影を余儀なくされる、そうなると真っ暗な場所で長い光った棒を振り回す怪しい人になる、職質待ったなしだ
材料費2000円、ロッド2本とジョイント合わせても5,6000円で組めるライト機材の紹介だった
もし、貴方が三脚とカメラを持っているのなら、少額でバーライトを用意すればとても良い写真が撮れるだろう
おまけ
ライティング合成方法の解説
まず素材写真は下記の通り
線で囲った部分が使用範囲となる
(4番はバイク以外の地面と背景を使用)
それらを纏めるとこんな感じの配置になる
そして合成を行う
今回はPCやiPadを使わずにスマホだけで合成してみた
そして完成した写真はこちら