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SLIPSTREAM THE BEASTが日本で人気の訳は?

2022.09.17 15:00

9/17(土)に発売されたPUMA SLIPSTREAM LO BEAST MIJ


90年代には幻のスニーカーと呼ばれ、復刻される度に多くのスニーカーファンやファッショニスタ達に注目されるカルト的人気のスニーカーです。


今回は10年ぶりの復刻ということでそんなモデルの歴史を振り返っていきます。

1987年、SKY LXの後継として誕生した競技用バスケットボールシューズ「SLIPSTREAM(スリップストリーム)」

発売当時は白ベースに黒、パープル、オレンジの3色が発売され、パフォーマンスモデルとして人気を博したモデルです。

そんな当時、ストリートファッションとして定着し始めたのが今では当たり前となったバッシュを履くという文化。

バスケットボールで活躍するアフリカ系アメリカ人への尊敬や憧れからバッシュを履くようになったと言われています。

そんな文化から各社ストリートファッションを意識したバッシュが作られるようになり、PUMAもSLIPSTREAMをベースにファッションモデルを作ります。それが1988年に発売されたヒョウ柄の毛付きレザーを使用した『THE BEAST(ビースト)』とヘビ柄の型押しレザーを使用した『SLIPSTREAM SNAKE(スリップストリーム スネーク)』です。

アフリカ系アメリカ人の間で毛皮やスネークレザーという高級品を身に付けることが憧れであったことから採用されたと言われています。とりわけ毛付きレザーを採用したスニーカーはそれまでほとんどなく、かなり珍しかったと思います。

そんなSLIPSTREAMですがパフォーマンスモデルは1988年に日本でも販売されましたがこのTHE BEASTとSLIPSTREAM SNAKEはカタログ掲載はあったものの発売には至りませんでした。

では何故、日本でこんなにも人気が高いのか?

答えは1990年代に起こった古着ブームでした。


90年代前半から始まった古着ブーム、そんな中アメリカへの買付に行って持ち帰ってきた見慣れないプーマのスニーカー。それがTHE BEASTです。(発売当時は並行輸入していたお店もあったようですが既にかなり珍しかったようです)

そんなTHE BEASTは瞬く間に幻のモデルと言われるようになり、販売する店舗ではケースに並べられ20万円以上の値段で販売されていました。

当時だとJORDAN 1のオリジナルより全然高価なスニーカーでした。

特に赤ビーストと呼ばれる赤黒のビースト(7月にMIJで復刻したモデルのオリジナル)は特にレアとされ、ASKなど高価で取引されていました。

手に入れたくても手に入らない“高嶺の花”だったわけです。日本人って昔から本当にそういっ

たモデルが好きですよね。はい、私にとっても憧れの存在でした。

そんな“高嶺の花”が遂に復刻される時が来ます。

2002年、当時はクラシックバッシュが流行っており、NIKEはAIR FORCE 1,DUNK、adidasのFORUM,ATTRIBUTE、ReebokのAMAZE、SAUCONYのHANG TIMEなど多くのブランドがバッシュに注力しました。


そんな時代の流れとSLIPSTREAM15周年の節目の年に幻のスニーカーTHE BEASTは復刻されました。


この2000年初頭の復刻はグローバルでの企画で2002年に白のハイカット、次いで黒のハイカット、2003年に黒のローカットが復刻されています。

当時はネットはまだあまり普及はしておらず、雑誌や口コミなどで発売することを知るのですが凄い反響となりました。


あの幻のモデルが復刻されることから古着好きは勿論のこと、その存在を知らなかった当時のスニーカー好きやファッショニスタ達の間でも話題の1足となり、発売日には開店前から長い列が出来るような状況。


またしても多くの人にとって憧れの1足となりました。

そんな復刻から更に10年後、THE BEAST誕生25周年を迎えた年に日本企画として再度、復刻されます。

ジャパンクオリティーを世界に発信するプロジェクト“匠コレクション”のモデルに選ばれたのです。


匠コレクションは全ての工程を日本で行い「made in Japan」の技術力を世界に発信するプレミアムコレクションで日本国内でSUEDEと並び、カルト的ファンが多いTHE BEASTが選ばれました。

限定300足のプレミアムモデルは¥20,000を越える価格でしたが上質な素材とオリジナルのディテールを備えており、マニアも唸る出来となりました。

ただこの時のモデルにはサイドに入る「THE BEAST」のネームは商標などの問題で入れることが出来ず、空白のままでのリリースとなりました。

そして匠コレクションでの復刻から9年。

2022年はSLIPSTREAMの名を冠したモデルが発売され35周年となり、市場にはSLIPSTREAM が再登場し、盛り上がりを見せています。


久しぶりにインラインでのモデルが登場し、SLIPSTREAM SNAKEのローカットモデルがMIJ(made in Japan/匠コレクションの後継コレクション)で登場 、また幻のなかの幻、赤ビーストも復刻されました。


そして今回、通称“黒ビースト”と“白ビースト”と呼ばれるモデルが匠コレクションぶりに、日本企画MIJコレクションで復刻されました。

やはりTHE BEASTといえばこの2色という方が多いと思います。今回、毛付きレザーはイタリアの上質なモノを使っています。毛付きレザーは毛並みなどにばらつきがあるのですがしっかりそういったところも揃えるよう選定しており、また毛先も縫い込まないように細心の注意をして作られています。

また今回は何と言ってもサイドにネームが入ります。

THE BEASTとは入れられませんが【SLIPSTREAM】と入ります。やはりモデルロゴが入るだけで匠コレクションのモデルとはだいぶ印象が変わりますね。


勿論、レザーの毛足の流れはオリジナルと同じにしており、細部にまで拘りが見える1足に仕上がっています。

THE BEASTはこうして3度の復刻を果たしており、そのうちグローバルでの復刻は1回のみ、残りの2回は日本企画での復刻となっています。


それは何故か?


それはこのモデルが日本のスニーカー好きにとって特別なモデルであり続けているからだと思います。


90年代の古着ブームで幻のスニーカーとなったTHE BEAST。その後、最初の復刻でもスニーカー好きを魅了しました。

10年に1度、復刻するTHE BEASTというモデルは各世代でTHE BEASTを愛する者がいて、その都度で新たにスニーカーフリークたちを虜にする。


だからこそ復活を望む人たちがいるからこそ、日本製という高いクオリティーで復刻されているんです。


正直、毛付きレザーを使うことは世界的には良しとせず、年々作ることは難しくなっています。

今回も決して手を出しやすいプライスではありませんが今後、この値段で出来ることはないでしょう。何なら毛付きレザーなど使えるかわからないです。


だからこそこのクオリティーで復刻出来るのは日本にこのスニーカーを愛する人達がいるからです。

だから復刻してくれるのです。

90年代の古着ブームを知る人、2002年の復刻でこのモデルに出会った人、2013年の復刻でこのモデルに出会った人。いやそれだけではない。


古着と共に有名になったスニーカーなので現在の古着を愛する人たちにも履いてもらいたい。そして好きになってほしい(それは僕のエゴですが。)


そんな気持ちです。


是非、THE BEASTを手にとって見てください。