南北戦争9-奴隷解放宣言
2022.09.17 10:24
1863年1月1日、ついに大統領リンカーンは「奴隷解放宣言」を出した。リンカーンを支持する共和党からは、リンカーンの優柔不断な態度への不満が激しくなった。そこで北軍がアンティータムの戦いに勝ったことを契機として宣言を出すことになったが、注意深く62年9月に予備布告を行って慣らしていた。
しかしこの宣言は、政府に反逆している南部連合諸州での解放であって、即実際の効果はなかった。北部に属しているケンタッキー、テネシーなどはまだ奴隷制農園があった。まさにこれは啓蒙主義的北部得意のアドバルーンだったが、それでもこの戦争の大義を明らかにした点は大きいのだ。
この宣言で、国外では欧州列強が南部連合を支持する可能性はゼロとなり、政治的な敗北となった。しかし北部民主党は、北部を分裂させるものだと批判した。北部の白人も、南部の奴隷などひとごとで、この宣言になじまず、かえって軍隊志願者が減ったようだ。
しかし黒人の反応は違った。南部軍に連れられてきて捕虜になった黒人奴隷は、解放奴隷として北軍に所属することができた。また北部中でも奴隷農民はこれを機に、解放奴隷として北軍に入隊し、北軍は新たに20万人の兵士を得ることになった。しかし黒人は白人と別部隊となって戦った。