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たましいが入った竜 栃木県の民話

2022.09.18 06:06

http://hukumusume.com/douwa/eto/tatu/html/01.htm 【たましいが入った竜

栃木県の民話 → 栃木県情報】より

 むかしむかし、宇都宮(うつのみや)に、うるし商人の武太夫(たけだゆう)という男がいました。武太夫は大金持ちでしたが、それにはわけがありました。

 数年前のある日、山奥の谷川のふちの底に、大量のうるしを見つけたのです。うるしは、うるしの木の皮から取れる汁で、おわんなどのぬり物につかわれます。そのうるしが長いあいだ水に運ばれて、ふちの底にたまったのです。

 うるしは高価な物で、無断で取ることを禁じられていましたが、武太夫はこの谷川の底のうるしを少しずつ売り、大金持ちになったのです。武太夫は秘密のうるしを、いつまでも自分だけのものにしておきたいと思いました。

 それで腕の良い細工師(さいくし)に、恐ろしい竜の細工をつくらせて、人が怖がってよりつかないように、うるしのあるふちの底に沈めたのでした。

 しばらくすると竜の細工は、上流から流れてくるうるしや水あかなどがついて、本物の竜のようになっていました。

 ある時、武太夫は十四歳になる一人息子の武助(たけすけ)を連れて、山奥のふちへいきました。そして、うるしの秘密を話すと、「このうるしは、わしらだけのものじゃ。わざわざ木を切りつけて汁を取らなくても、いくらでもここへたまっておる。いいか、わしがするのをよく見て、うるし取りの練習をするんだぞ」武太夫は息子にいいきかせて、親子でふちへ入っていきました。

 すると竜の細工が、とつぜん頭を動かしたのです。

「おとう! 竜が! 竜が動いた!」「何を馬鹿な。水の動きで、そう見えるだけだ」

と、 武太夫は言ったものの、見てみると、竜が大きな口を開けて、息子に襲いかかったのです。 細工の竜は水の中にいるうちに魂が入って、いつしか本物の竜になっていたのです。

 あわてた武太夫は息子を助けようとしましたが、竜が相手ではどうにもなりません。

「武助ー!」「おとうー!」やがてふちの水の上に、二つの死体が浮かびあがって下流へ流れていきました。

 二人の死体は二日目になって、村に近い川原で引き上げられました。取り調べの結果、武太夫はうるしの盗み取りをしていたことがわかりました。そして罰(ばつ)として、新しく建てたばかりの家や財産は、全て取り上げられてしまったのです。

 あとに残された武太夫の父親と奥さんは、とても貧しい生活を送ったという事です。

※ 宮城県にも、同じような民話があります。


https://ameblo.jp/anthroposophy/entry-11861776497.html 【意識魂という魂の核心】より

シュタイナーのいう意識魂とは、人間意識の核心。

魂の中の魂。

思考を活動領域とする悟性魂は、感覚、衝動、激情など感覚魂の中に巻き込まれがちです。

人は誰でも、はじめは自分の感覚や衝動の中から取り出してきたものを真実だと思おうとします。

しかし、感覚、共感、反感すべてを取り去った真理だけが、永続的真理であるとシュタイナーは言います。

真理は、たとえすべての個人的感情が反抗するときにも、真理である、と。

この真理が生きている魂の部分を意識魂と呼んでいます。

ここまで、三つの魂の領域があることを見てきました。

◯ 感情や本能の領域、エーテル体に依存する感覚魂。

◯ 思考(霊)の領域である、悟性魂。

◯ 真理や永遠性の領域である、意識魂。

感覚魂➡悟性魂➡意識魂の順で、肉体が魂に影響を与えており、

逆に、

意識魂➡悟性魂➡感覚魂の順で、精神が魂を拡大します。

魂の中の領域を知ることにより、自分の中で何が重要か、そうでないかが明確になります。

もちろん、本能、情欲、感情なども大切ですが、魂の中にはそれらより高い次元の領域がある、という事実だけで認識は変わります。

そこを大事にしていきたい、感覚魂やエーテル体、ひいては肉体の奴隷であることから脱却したいと思います。


http://hosinowa.jugem.jp/?eid=7 【SとG】より

Sの思想の起源は人智学にこそあるとかきましたが、この本の訳者のあとがきに依ると、1913年といいますから本のあとがきがかかれる5年前に、インドの霊性にあこがれて導師(グル)への帰依を重視するテオゾフィー協会本部(神智学)と、個人の自我意識にもとずく自由を尊重するアントロポゾフィー協会(人智学)の、見解の違いをはっきり示したとあります。

「いかにして高次の世界を認識するか」という本は、Sの示すテオゾフィー(霊学)を理解するためのガイドブック的な本だということです。

Sは読書による思考力の育成と、瞑想などの神秘的な訓練が、霊学を理解するためには必須だといいます。 「テオゾフィー(霊学)」がその本を読むことがそのまま思考の鍛錬のなるように書かれた本であり、「いかにして・・・」は、霊的な訓練の方法について書いてあるのだそうです。

本を読むことを通して思考力を高めることが出来るって凄いことだと思いませんか。

本の最初、”条件”と名づけけられた章は「すべての人間の中には高次の世界を認識する力がまどろんでいる」という文章から始まります。

すべての人間が・・・という記述が大変気に入りました。

Gはこういいます。「誰でもできっるってものじゃない」と。

なんとなくSの方が肯定的に聞こえて耳に優しいのですが、実はSがいうには、誰でもが能力を持っているけど、それは眠っているから、目覚めるための努力を必要とするのです。

Gは、「誰でもってわけじゃないけど、そのための努力をすれば出来ないわけじゃない、」というので、結局は同じこと言ってるのかなと思います。

大体において、『ベルゼバブ・・・・』の話も「人間の生に対する客観的かつ公平無私なる批判」というサブタイトルがついているくらいですから、Gの言い方が批判的なのも当然かもしれません

http://j-paam.org/statements/corona-pandemic 【コロナ・パンデミックーいくつかの観点と展望】より

一般のみなさまへ

世界中、日本中の新型コロナウイルス感染症で苦しんでおられる方々にお見舞い申し上げます。また同時に、最前線で日々奮闘されている同僚の医療従事者のみなさまに心からの敬意と感謝を申し上げます。

アントロポゾフィー医学の教育や広報を担う本部である、スイス・ドルナッハの精神科学自由大学医学セクションからの、新型コロナウイルスの最新の知見を踏まえたアントロポゾフィー医学的な一つの見解をみなさまにお伝えいたします。

また、ドイツ・ベルリンにあるハーヴェル・ヘーエ病院で新型コロナウイルス外来を開設し、今まさに入院加療にも当たっているハラルド・マテス医師からの文章も掲載いたします(別ページ)。

私たちは、通常医療と同時に、補完的な医療としてのアントロポゾフィー医学を学び実践する医師の集まりですが、パンデミックを引き起こした新型コロナウイルス感染症の今後の収束を願うとともに、健康生成的な側面にも目を向けたいと思います。

このような観点を求める方々に、この文章が届き、少しでも役に立つことができれば幸いです。

一般社団法人 日本アントロポゾフィー医学の医師会 代表 安達晴己

(下記のPDFビューワーから読めます。全6ページ)

新型コロナウイルス感染症パンデミックに関しての声明(PDFファイル)

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コロナ・パンデミックーいくつかの観点と展望

マティアス・ギルケ、ゲオルグ・ゾルトナー(ゲーテアヌム精神科学自由大学・医学部門 共同代表)

原文<ドイツ語>  <英語訳はこちら>

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は世界各地に広がり、公共生活に前代未聞の影響を及ぼし、市民の権利を制限するにまで至っています。この感染症の、多くは軽症に経過する症状は、特に気道と心臓・循環器系に関わります。発熱、筋肉痛、倦怠感などの一般症状のほかに、病気がそこまで進行した場合は、特に中心のリズム人間の器官としての肺に重い症状が出ることがあります。SARS-CoV-2ウイルスのACE2受容体への関係を通して、心臓血管の調節障害を引き起こすことがあり、これがたとえば降圧剤(ACE阻害薬など)を服用している高血圧の患者により強い影響を及ぼすことがあります。ウイルスやその他の病原体は、大概はそれに応じた素質が存在するとき、初めて明らかな疾患につながります。というのも、すべての人間が感染後に病気の症状を示すわけではないからです。また、病気の症状を示す場合も、その程度には非常な差があります。そのため、COVID-19の世界各地の死亡率評価(すべての年齢グループに関しての見積もり)は、現在、0,25–3%¹ の間を揺れています。ドイツでは0,3 – 0,7%の間です ²。 一部では、国際的にももっと顕著に高い数字が挙げられています³ が、包括的な検査によって感染者数と死亡者数の正確な比較が可能になっている国はほとんどありません。たとえば深刻な影響を受けているイタリアなどでも、実際の感染者数は、検査による陽性者数よりも確実に多いのです。病原体の侵入があると、人間の能動的な働きとして炎症が起こります。炎症は、侵入した異物作用の克服に役立つのです。したがって、私たちは、病原体による感染、人間の必要な素質、炎症の応答とを区別しなければなりません。ですから、意味のある炎症による克服のための反応を、無批判に抗炎症・解熱剤によって抑圧することがあってはなりません。それによって重篤な経過が助長されうるということがわかっています。この病気について、アントロポゾフィー医学が予防と治療をめぐってどのようなことを推奨しているのかは、すでに発表されています。予防と防止は、さまざまなレベルで適切に行わなければなりません。もちろん、手洗いは特に重要ですし、飛沫感染を防ぐために咳をするときに肘で口を覆うことも重要です。しかしまた、素質にも目を向ける必要があります。COVID-19については、高齢者や基礎疾患のある人、特に心臓・循環器系や糖代謝の持病がある人のリスクが特に高いことが知られています。また、ストレスや不安も免疫の働きを弱め、感染後の病気の重篤な経過を助長します。意識世界の過緊張、睡眠不足、運動不足は、感染への感受性を高め、感染症への素質につながります。現在、多くの人々のなかに、この危機の影響によって経済的実存を失うことへの現実的な不安が現れています。

病気の本質

病気にはさまざまな次元があります。目にみえるいくつもの症状が合わさって一つの全体、その時々の「病像」を浮かび上がらせます。この病像の中で、一つの類型が語っています。病気は臨床的に非常に多様に進展し、それでいて何か共通のものを有しています。ある病気の類型はその病気の精神的な「原理」であり、それが病気になった人間の中に現れ、個性化されるのです。そのことからわかるのは、病気とはその目にみえる症状以上のものであるということです。目にみえる症状は、病気の本質を指し示すものであり、この本質は病気の徴候の中に現れます。この病気の本質はどのような性質と特性を有しているのでしょうか? 著名な病理学者ウィルヒョウは、感染症には素質が必要であると述べています。もし感染症にはそのための素質が必要であるなら、この素質は明らかに病気の本質とも関係があるはずです。私たちはここに幾つかの次元を区別することができます。

• 一般的素質、不安、ストレス、意識における、また職業上の過大な要求ー

これは疑いようもなくグローバルな物質主義的な「西洋型」の仕事社会の特徴です。これに加えて発熱や疲労感といった生体が安静を求めて発する意味のある応答を可能な限り無視し、しばしば薬物によって抑え込むという傾向が広がっています。このやり方はおそらく重篤な経過に大いに貢献することでしょう。過剰な負担がかかり緊張した魂、そしてストレスと緊張を発達させる感情は、感染症がリズム系に到達する素地をつくります。

• しかしまた、意識の内容にも意味があります。私たちが真実に近づく時、私たちは自分の本質と精神界との結びつきを体験します。真実の認識は喜び、確信、信頼、満たされた気持ちを呼び覚ますことができます。そこで私たちが出会う特性は、私たちに必要な方向づけを与え、人間を緊張や不安から解放し、それによって身体的な健康の力を強めるものです。それに対して、不真実や嘘は病的な作用を及ぼします。そこでは人間は精神的な真実の世界から切り離され、孤立し、真実から流れ出す治癒の力が妨げられます。ルドルフ・シュタイナーは「人類の嘘 ⁴ は疫学的な意味を持ち得る、と述べています。そこで問題になっているのは個々の患者ではなく、むしろ公共の議論における真実との関わりです。フェイクニュースや真実に反する歪曲の時代にあっては、このような精神的な次元にも意味が出てきます。ルドルフ・シュタイナーは同様にスピリチュアリティの育成と唯物的思考が持つ有害性についても述べています。「病原体が最も集中的に育成されるのは、人間が唯物的な信念をもって睡眠状態に入る時です。病原体の育成にとって、唯物的な表象だけを抱いて眠りに入り、そこから、精神的世界から、自分の自我とアストラル体から物質体の諸器官に働きかけることほど有効な手段はないのです[…]。」⁵ このような背景を前にした時、このパンデミックの起源をめぐる陰謀説にも問題があります。アントロポゾフィーの界隈でもそういった陰謀説が行き交うことは稀ではありません。真実を吟味し、様々なニュースを自ら消化し、単なる主張の影響を受けないための思考における意志は、私たちの免疫系の一部を形成します。そこでは私たち自身が責任を担っています。

• 意識世界、すなわち神経感覚系の強調によって、ウイルス性感染症への素質が発生する時、その素質を変容させるためには、熱をもたらす運動と意志の働きが必要です。恐れは意志を妨げます。いわば外的なペースメーカーによる機能が職業生活を決定するように、私たちは外から決定されることになります。したがって私たちの情報化社会における意識への過剰な負担、緊張、感情における不安やストレス体験、また意志における無気力をもたらす恐れが、病気の素質を表していると言えます。三分節化に即して言えば、この素質は人間本質の構成要素が神経感覚系に向かって方向づけられた状態であると言えます。そこで置き去りにされた生体は感染症の侵入や異物による「占領」を受けやすい状態になると言えます。子ども時代や若い成人において、精神的および魂的な本質は身体と結びつき、この身体を形成していますが、年齢を重ねるとともにこの精神的・魂的本質は身体から離れていきます。それによってまさに高齢の人々はCOVID-19への素質を発達させるのです。コロナ・パンデミックは人間に関わるものであり、明かに動物は発病しません。これによって明らかなのは、この病気は自我の本質と関わるものであるということです。したがって予防と治癒は、他の多くの要素とともに、この精神的な次元を包括するものでなければなりません。

衛生生成、健康生成、自己生成の強化

私たちは健康化についてさまざまな次元を区別しています。まず、身体的な治癒というものがあり、これについてはグンター・ヒルデブラントに倣って「衛生生成」という言い方をします。身体的治癒には、魂的な寄り添いが必要です。不安と恐れは良き助言者ではなく、緊張と内的な不安によって構築性の生命力や治癒力を弱めます。危険な状況の中で、有意味性が認識される、または創造されるならば、または物事の相互の関連が理解され、処理可能性が存在するならば、そこには「健康生成の可能性」が発生します。アーロン・アントノフスキーは、こうした自我が導く意識的な魂の変容作用を「コヒアレンスの感覚」という言葉で総括しました。さらに、病気との出会いを通して内的な進化が起こり、自己発達へ、すなわち「自己生成」へつながることがあります。 そのようにして予防には内的及び外的な側面があるのです。内的には支えになる観点や精神的な内容が重要であり、それが内なる関連を育成する力をもたらします。感染症の制御は、外的には隔離に至ります。公共の催しが中止され、国境が閉鎖されます。特に外出禁止は、人々を自然、太陽光、星空の体験から切り離すため、大きな影響を及ぼすでしょう。それに対して必要なのは、内的、精神的な光、愛情のこもった心遣い、他者への関心という形の内なる太陽、価値観の実践という形の内なる務めを強めることです。な最終的に、希望なしに治癒はありません。その意味で私たちは見通しや内なる確信によって生きていると言えます。外的な助けとなるのは、可能な限りの能動的で自発的な運動、太陽への関わりです(ルドルフ・シュタイナーは1920年、ビタミンDの発見前に光欠乏の感染症学的な意味を指摘していました⁶ )。適切な時間、適切な量の太陽光を浴びることは、感染症への防御力を強め、身体における自我の存在を促進し、私たちの内的な、ホルモンによって仲介される光リズムを安定させる基盤を形成します。私たちに必要なのは不安を取り除くための太陽光への関係だけではなく、いわばノヴァーリスの一連の詩「夜の讃歌」が示すように、夜を、星空を大切にすることでもあります。夜の人工照明やモニターなどの光公害が健康に及ぼす影響については、すでに十分に知られるようになりました。私たちのリズム系は、太陽とその日中の運動に結びついています。そこからたくさんの数の概日リズムが存在することがわかっています。1日のリズムを形成すること、特に目覚めと眠りの生理学的な関係が重要なのです。短すぎる眠りも長すぎる眠りも病的に作用し、免疫学的機能の制約につながります。

さらに重要なのは、熱との関わりです。心臓・循環器系は私たちの熱機構の中心器官を形成し、強化が必要です。呼吸器系も同様です。そこで中心的な意味を持つのは、自己運動です。ここではルドルフ・シュタイナーが1921年のオイリュトミー療法講座の第5講で示した健康オイリュトミーのエクササイズ、特に畏敬のA、愛のE、希望のUの3組がリズムのRによって補われることで、価値のある強化作用をもたらすことでしょう。これは小グループで練習したのち、個別に実践することができます。外的な運動と太陽光を規則的に浴びる必要性については、既に述べました。こうした背景からも、「在宅検疫(隔離)」には感染症学的に意味のある利点とは別に、上記のような助けとなる要素を制約することから懸念される影響もあると考えられます。

なぜヒト病原ウイルスが発生するのか?

大きな謎は、この新しいウイルスはどこから来たのか、なぜ発生したのか、ということです。興味深いことに、ウイルスの多くは動物界に由来し、コロナウイルスも同様です。私たちも自分の腸管に細菌、マイクロバイオータ(細菌叢)だけでなく、無数のウイルスを宿しています。腸内細菌と同様、それらのウイルスも私たちの健康にとって重要なものです。さらにわかっているのは、私たちの免疫機能だけでなく、生体内の多くの領域、私たちの心の状態までもが、腸内細菌の影響を受けているということです。それでは、なぜ動物界に由来するウイルスが人間にとって危険になるのでしょうか?現在私たちは、動物たちに表現し難いまでの苦しみを与えています。大量の残酷な殺害から動物実験まで、動物界は救いようのない痛みに晒されているのです。生きた動物の商取引も、動物たちに不安に満ちたストレスを与えます。こうした苦しみの結果が、動物の生体に棲息するウイルスに変異を起こすことはあるのでしょうか?私たちは、身体的次元を見ること、そして大概はそれを魂の次元から切り離して捉えることに慣れています。しかし、今日では、たとえば腸と心をつなぐ関係性が知られています。それによって、さまざまなウイルス性疾患を前にしたとき、ウイルスの起源についての微生物学的な問いだけでなく、動物界との関わり方というエコロジーや倫理の問題が持ち上がります。シュタイナーはこの関連について、100年以上も前に指摘しています⁷。今日、こうした関係性に目を向け、自然科学的な分析とともに、より深い問いを発することも、私たち次第なのです。

展望

ここに至って、このパンデミックのエコロジカルな次元が視野に入ってきます。これまでグローバル化は、もっぱら経済的な利害と政治的な権力維持の強い影響のもとに進んできました。コロナ・パンデミックは私たちに、どれほど自分たちが今日形成する人類が同胞である人々、子孫、そして地球に対して責任を持っているかを意識させます。この病気は私たちに、新たに生命に対する畏敬を教えることができます。アルベルト・シュヴァイツァーはこの生命に対する畏敬について、生命にはしばしば忘れられている次元があり、そこではいかなる生物も究極的には別の生物、そしてその運命から切り離すことはできないのだという言い方で語っていました。過去数日、数週間に示されたのは、一見変更不可能と思われてきた経済、教育、交通における原則が、生命の危険の前には相対的なものであるということでした。それによって私たちは、自分の行動における新たな柔軟性と配慮を学ぶことになります。疑いもなく、リスクグループへの感染は可能な限り防がなければなりません。そのためにこの間、感染の急速な拡大を抑え込むための様々な措置がとられました。ここでは市民社会全体、そして世界共同体と連帯して行動することが求められます。感染性の病原体に対しては、可能な限り根本的かつグローバルに排除するという目標が、長いこと追求されてきました。しかしコロナの流行は私たちにー例えば急速に増大した抗生物質への耐性のようにー、共生、免疫の獲得、動物、植物、細菌、真菌、ウイルスとの境界をめぐる問いは悪魔的な敵のイメージではなく、持続可能でエコロジカルな開発展望を必要とすることを教えます。このSARS-CoV-2というウイルスは、排除したり根絶したりすることはできません。この先十数年の間に、この領域における更なる新規突然変異があると予想しなければなりません。感染予防、そして他方では共同体免疫の漸進的発達(「集団免疫」という専門概念も同様に人間と動物の障害された関係を指し示しています)には、必要な断念と必要な収入のバランスという目標に向けた、熟慮された措置が必要です。屋外での自然の中での運動、しかしまた他者への共感と関心には、健康をもたらす効果があり、今特に重要です。治癒にも心遣いや人間的な寄り添いが必要なのです。社会的な関係ーここでは子どもたちの愛されている度合いーが、その子どもたちの長期的な感染リスクに対して影響を及ぼすことを示す研究もあります⁸。

この危機においては、レジリエンスの強化には身体的、魂的、精神的な次元があります。身体的には、前述の熱の育成、太陽との関わり、生活リズムと並んで健康な栄養や毒物の回避(タバコ、アルコール)に注意する必要があります。苦味のある野菜は免疫を強め、高容量の砂糖の消費は、防御力を減少させます。予防と体質的強化は、適切なアントロポゾフィー医薬品とオイリュトミー療法で支えることができます。

魂的には、不安を取り除くこと、思慮深さ、勇気、精神的な展望が重要です。不安と魂の緊張は免疫機能を制約し、不注意で無思慮な行動と同じくらい病気の拡大に貢献すると考えられます。反対に、積極的な魂の気分( „positive emotional style“ )は促進的作用をもち、発病リスクの減少につながります⁹ 。また、唾液の中のコルチゾール濃度は、魂のストレス体験や緊張を指し示し感染症への感受性と関連しています¹⁰。したがって私たちは不安に対して、また何重にも生み出された恐れに対して、内的に立ち向かわなければなりません。なぜなら明瞭な思考、バランスのとれた魂の状態、そして勇気が病気への素質を減少させるからです。「[…]流行性の病態をもって、至る所に発生する病気に対する恐怖、そして恐怖の思考をもって夜の中に眠り込むこと、それは魂の中に恐怖に満たされた無意識の残像、イマジネーションを生み出します。それは病原体を養い、育てるのには良き手段なのです」¹¹ そのようにルドルフ・シュタイナーは100年以上前に述べています。

精神的にみれば、大いなる問いが現れてきます。パンデミックになる病気が人類に突きつけている課題とは何なのでしょうか?一方ではこのパンデミックは社会生活をドラマチックなまでに抑制し、それによってますます経済、社会、組織を脅かしています。他方でこのパンデミックがもたらす一時中断は、社会の方向性、価値観、目標を問い直し、新たに規定する可能性を含んでいます。ここでは人間の自然界に対する関係、特に動物たちとの関係が大きな意味を持っています。現在、人間のグローバルな急性疾患が気候変動と地球の病にまで至りました。そこではこの病気は、大いなる時代病としての慢性疾患と並んで私たちを目覚めさせ、必要なエコロジカルな新しい方向づけを、医学の分野においてももたらします。私たちは長期的には病気や病原体に対して戦争を仕掛けることはできません。そこでの手段がどれほど価値があるとしてもです。私たちは同じ力を持って、人間の持続可能な強化や、人間と自然のエコロジカルな均衡について、私たちの共通の宇宙的起源の光のもとで考えなければなりません。

病気のケースでは、生体の病原体除去に対する意味のある応答としての炎症をコントロールすることが必要です。無批判に抗炎症、解熱療法を行うべきではありません。私たちは現在、生命を脅かすCOVID-19という病気に対してエビデンスに基づく治療法を持っていません。この病気はあらゆる関係者にとって治療的にまだ未開拓の領域なのです。同様に、私たちが集中治療において呼吸窮迫症候群の治療についての知識を有しているように、比較的ウイルスによって引き起こされることが多い院外感染肺炎(市中肺炎)の治療においては、アントロポゾフィー医学には治療経験があります。私たちのみるところでは、アントロポゾフィー医学における治療的提言は、この病気のあらゆる段階において一つの助けとなり、特に肺炎の治療を支えることができるでしょう。いくつものアントロポゾフィー病院がコーディネートされた対応において、重症化したCOVID-19患者の受け入れに集中治療においても関与していることから、経験に基づいて最新の提言をさらに行なっていくことが、近い将来可能になると思われます。

マティアス・ギルケ、ゲオルグ・ゾルトナー

<参考文献>

1 Wilson N et al.: Case-Fatality Risk Estimates for COVID-19 Calculated by Using a Lag Time for Fatality: https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/26/6/20-0320_article

2 Drosten C: https://www.charite.de/klinikum/themen_klinikum/faq_liste_zum_coronavirus/ 3 Baud D, Xiaolong Q et al.: Real estimates of mortality following COVID-19 infection: The Lancet, published: March 12, 2020. DOI: https://doi.org/10.1016/S1473-3099(20)30195-X

4 Steiner R: Die Theosophie des Rosenkreuzers, GA 99, Dornach 1985, Vortrag vom 30. Mai 1907.

5 Steiner R: Wie erwirbt man sich Verständnis für die geistige Welt?, GA 154, Dornach 1985, Vortrag vom 5. Mai 1914.

6. Steiner R: Geisteswissenschaft und Medizin, GA 312, Dornach 2020, Vortrag vom 24. März 1920. Vgl. dazu Reckert T: Titel Sonnenlicht, Vitamin D, Inkarnation. Der Merkurstab 62 (2009), S. 577–593. DOI: https://doi.org/10.14271/DMS-19529-DE

7 Steiner R: Die Offenbarungen des Karma, GA 120, Dornach 1992, Vortrag vom 17. Mai 1910. Steiner, R.: Erfahrungen des Übersinnlichen. Die drei Wege der Seele zu Christus. GA 143. Dornach 1994, Vortrag vom 17. April 1912.

8 Ulset VS1, Czajkowski NO2, Kraft B1, Kraft P1, Wikenius E3, Kleppestø TH1, Bekkhus M: Are unpopular children more likely to get sick? Longitudinal links between popularity and infectious diseases in early childhood. PLoS One. 2019 Sep 10;14(9):e0222222. DOI: 10.1371/journal.pone.0222222. eCollection 2019

9 Cohen S1, Alper CM, Doyle WJ, Treanor JJ, Turner RB: Positive emotional style predicts resistance to illness after exper-imental exposure to rhinovirus or influenza a virus. Psychosom Med. 2006 Nov-Dec;68(6):809-15. Epub 2006 Nov 13.

10 Janicki-Deverts D1, Cohen S2, Turner RB3, Doyle WJ4: Basal salivary cortisol secretion and susceptibility to upper res-piratory infection. Brain Behav Immun. 2016 Mar;53:255-261.

11 Steiner R: Wie erwirbt man sich Verständnis für die geistige Welt?, GA 154, Dornach 1985, Vortrag vom 5. Mai 1914.