「ドライビング・MISS・デイジー」(映画感想)
1990年公開作品。20年以上前に、ダン・エイクロイド目当てでビデオ鑑賞して以来、初めて劇場で観ました。
初見の時も、思いがけない面白さに驚いたけど、今回はその時とは全く違う楽しみ方が出来ました。年とるのも悪くないなあ😊
ユダヤ人の裕福な老婦人デイジーと、その運転手に雇われた黒人男性のホークの間にいつしか友情が芽生えて…超絶ざっくり言うとこんなストーリーなんですが、オープニングが、車の運転操作を間違えてあわや大事故を起こしかけるデイジー・・・30年以上前の作品なのに今と同じ問題が取り上げられてる!というところから話は非常にさくさくと進み、ウェットなシーンが殆どない、というか変に余韻を残さない。
ホークが実は文盲で、デイジーが驚くシーンや、その後、彼に書きとりのノートをプレゼントするシーンも、もっと長かったように思うのですが、割とあっさりで、だからこそよく覚えていたのかも・・・と。
シニカルでドライな会話が飛び交うのに、全体的に温かい雰囲気。絶妙!
デイジーと息子ブーリーの関係性もとてもリアル。
お互いに言いたいことを言っているようで、きちんと一線を守っている。唯一の悪役がブーリーの奥さんだけど、彼女を加えた3人のバランスにニヤついてしまう…ブーリーは1人息子で、優しくて母親想い。それだけに奥さんとの間に入って大変だろうと思うんだけど、上手にやってる様子とかね。リアルだなあってそういうところ。
ダン・エイクロイドすっごく良かった!
デイジー役はジェシカ・タンディ。綺麗なおばあちゃん・・・と、この作品で初めて知って、ヒッチコックの「鳥」観たら、若い頃(と言っても主人公の母親役で当時50代)は物凄く美しかった。美しい人は老いても美しい。
ホーク役のモーガン・フリーマンは、登場時からおじいちゃんでラストの方ではもう免許も返納した老人になっています。でも調べてみたらこの時52歳くらいで、今の自分より若い…びっくりしました!
この2人の対話もとても良い。ぱきっとしたミス・デイジーの物言いに、そつなく対応して、でも言いたいことはちゃんと言うホーク。
初めて観た時は、差別する者もまた差別されている、とか、主従関係の中で友情は生まれるのか、なんていうテーマは全然心に残らなかった。
アメリカ南部が公民権運動によって大きく変化する25年間が描かれていて、白人社会の中では、黒人だけではなく、ユダヤ人もまた差別の対象なのだということが、短く、でも強く印象に残るエピソードとして入っています。
ラストの泣けるシーンも、年をとることの悲しさ、だけではなく、どういう関係性であれ、長く一緒に過ごした人との時間の重さ、みたいなものを感じました。
整った部屋や、屋敷を照らす柔らかい陽光や、いつも身綺麗にしているミス・デイジーの姿を観てるだけで、何とも幸せな気分。
ホークがデイジーにいう台詞
「何とかやっていくのが人生ですな。」
今観ると響きます。