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藤田晋 invitational RTDリーグ

ブランド戦略論(鈴木たろう教授・通年4単位) RTDリーグ2018 WHITE DIVISION 7-10回戦レポート

2018.02.25 10:00

2/19(月)、2/22(木)21:00よりAbemaTV「麻雀チャンネル」にて放送された、RTDリーグ2018 WHITE DIVISION 7-10回戦の様子をお届けします。

レポートは、鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)がお送りします。


▼▼▼鈴木たろうが語る、麻雀というゲームの捉え方▼▼▼

共同で本を出版するほどには、私はたろうの麻雀観を聞いてきた。

その中でも、RTDリーグのような少数での戦いでたろうが最も重視しているのが、「ブランド」であると私は思っている。

ブランドとは何か?例を挙げよう。

例1:佐々木が鳴いた場合、遅くて安い手から早くて高い手まで、振り幅が大きい

例2:村上が鳴いた場合、遅くて安い手はほぼない。早い手か、多くはそこそこの速さで高い手だろう。

例1が佐々木ブランドであり、例2が村上ブランドである。

これは、各打ち手が長年の放送対局や解説でブランディングしてきたものだ。

では、たろうブランドはといえば、仕掛けこそ振り幅のあるたろうだが、リーチについては好形か打点どちらかは確保されたものが多く、振り幅が小さいほうに入る。

例えば、子方で「リーチのみの愚形はない」。それがたろうブランドであった。

ところが、たろうはこんな並びシャンポン待ちのリーチのみでリーチにいき、アガった。

確かに5mの切れ具合や、自身の捨て牌に6mがあってスジになっていることはプラス要素だが、やはりこれまでのたろうなら打3mで再びテンパイを外し、ソウズの6s7s8sを捉えてツモアガリしていただろう。

たろうは言う。

「最近、(行動や手牌の)幅が狭くなっていたから、広げるところも見せておこうかなと」

たろうが昔から言っている「広告宣伝費」でブランディングするというやつだ。

この局がそうなのかはわからないが、少なくとも私には、この局は多少の犠牲を払ってでもした広告宣伝に見えた。


では、この宣伝活動をしばらく続けるのかと言えばそんなことはなく、宣伝した分はきっちり売上を回収する。

これが、回収する手牌。

マンズの上は場に安いが、さきほどと違ってリーチのみのテンパイを外した。

次巡にはツモ1mで何切る?

5m引きの両面待ちリーチを見て、ふわっと1mをツモ切ってしまいそうだが、たろうは打6mとする。

マンズでイーペーコーができればダマテンでも出アガリできるし、場合によってはリーチでもいい。

また、1m引きの変則3面張や4m引きの1mと9pシャンポンなら端にかかった良い待ちなのでリーチでも良いだろう。

8mを打っていることを考えると、確かに6m切りの方が有効な牌の枚数が断然多い。

実際にはピンズにくっついてリーチになったため、結果は変わらなかったが、打点を追求するたろうらしい1打で、先ほどの愚形リーのみと合わせて幅を見せた。


そんなたろうが警戒するのが佐々木だ。

佐々木といえば、愚形リーのみのようないわゆる「ガラクタリーチ」を多用し、仕掛けも幅が広い打ち手である。

そんな佐々木は、この手牌に9pが打たれるが、微動だにしない。

以前の佐々木なら、考える前に「ポン」と言っていたような牌だ。

すると、發がアンコになったところで、ようやく2枚目の西をポンして1pと9pのシャンポン待ちテンパイを組み、直後に4p7pテンパイに受け替えた。

この9pをチーしてテンパイを組んだのは、トップ逃げ切りを図るたろう。

しかし、次巡に4pツモ切りで佐々木に7700放銃となってしまった。

たろう「こういう本物からバラバラまで幅があるヒサトに対し、自分がテンパイなら何でも切る。行動の幅が狭い相手だったら、もう少し慎重に打ったかも。ヒサトブランドにしてやられた感じ」

なるほど。もしそうであるならば、ヒサトブランドに対する認識がズレている可能性もある。

実は、近年の佐々木は、ガラクタリーチこそあれ、上記のようにガラクタ仕掛けはかなり少ない。

また、ガラクタリーチも徐々に減ってきているのである。

正にたろうが麻雀というゲームの重要点と捉える「母集団の行動と、それに対する自分のブランディング」を、実は最もうまくやっているのは佐々木なのかもしれないな、と思った。

これについては、10回戦の解説でもたろうが触れていたので、鈴木たろう教授のブランド戦略論が気になる方は、10回戦ももう1度聴講あれ。

結果、この放銃が響き、たろうは佐々木にまくられてしまった。

痛いトップ逃しにこの苦笑い。

しかし、次回9回戦では大トップ目からオーラスにハネマンを放銃するヒヤっとする場面もあったが、トップを取り切り帳尻を合わせた。


▼▼▼平賀、「春の三色祭り」と日常行事「トップ陥落」▼▼▼

8回戦、平賀が三色をアガり倒した。

こんなリーチ三色を皮切りに、ダマテンでのツモ。

極めつけは、トップ目で迎えたオーラス。

2着目の達也が、平賀に差し込み気味に3sを打つと・・・

なんと出来合いの三色。

珍しい三色攻勢で平賀がトップで第2節のスタートを切った。


こうなると、続く10回戦での連勝を意識する。

実際に、10回戦でもオーラスのオヤでアガって頭1つ抜け出すと、ダメ押しを決めるべく手牌を組む平賀。

手なりなら打5sだが、リーチピンフにさほど価値を感じない場面。

であればと、平賀は2pを打った。

これは面白い。

9sを持ったまま唯一高打点になる456の三色だけ逃さないようにし、3s6sや4s7sでタンピンに移行する手はずだ。

結果、4p引きのピンフテンパイを逃すが、次巡にツモ6pで想定通りの三色リーチをかけた。

しかし、このわずか1巡がほころびを生む。

この1巡に、佐々木が9mをツモ切っていたのである。

平賀がピンフリーチにいけば打てなかったはずの9mだ。

すると、なんと佐々木が平賀から8000。雀頭は、平賀が1巡早くリーチしていれば打たれていたはずの中である。

この放銃で、平賀は300点差でトップ陥落。

平賀にとっては手痛い放銃となった。

しかし、常に大トップを目指す平賀にとって、これぐらいのトップ陥落は日常茶飯事。

特に気にせずといったところだ。


一方、平賀から初トップを譲り受けた形の和久津は笑った。

和久津「こんなにうれしい棚ぼたトップはない」

この言葉が、RTDリーグの権威を表していることに他ならない。

和久津300点差逃げ切りの陰には、実はこんなプレーがあった。

東3局、和久津はこのピンフドラ1をダマテンにしたのである。

思わず、解説のたろうが「えっ!?」と声を漏らす。

和久津「リーチピンフドラ1の3900より、3p6pを先に引いたタンピンドラ1の3900の方がアガりやすいと思った」

すると、その言葉通り6pを引き、ダマテン続行。

和久津「それに、平賀にマンズが高く、そこに対して下家の石橋がマンズを先に処理してくると思ったので、そのマンズを捕えられないのは危険だと判断した」

ここに石橋が4mをツモ切り、和久津が想定通りの3900。

石橋はどちらかといえばチャンタを睨んだ4mツモ切りだったが、確かにマンズが高いことによる先切りの意識もあっただろう。

リーチならマンガンやハネマンになったかもしれないが、結果的にはここをアガれていなければトップになれていなかったかもしれない。

自身の読みに身を委ねた和久津が、力で棚ぼたトップを呼び込み、最下位を脱出している。

鈴木聡一郎(最高位戦日本プロ麻雀協会)


■次回は、2/26(月)21:00からWHITE DIVISION 11、12回戦をAbemaTV 麻雀チャンネルにて放送予定