Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

雑念エンタテイメント vol.2<もーにんぐしー>

2018.02.14 11:00

「君のエンタテイメントは何。」

 本コラムのタイトルは言わずもがな皆さまご存知RIP SLYME の2001年に発売されたセカンドシングルのタイトルである。重ねて言わずもがな私が一番好きな音楽はRIP SLYME。小学五年生の頃から、この回答がブレていないのは自分でも驚きだけど、今後もずっとこのままだと思う。

 思い返せば小中学生の頃、完全に人生に絶望していた。今思えば思春期のソレでしょ、という事もあるけどあの頃は正直しんどかった。学校もみんなも嫌いで、誰の言う事も全然面白くなくて。

 TSUTAYA で借りるCD と習い事だけが好きだった。そんな私の人生に突然彼らが現れたのだ。何の気なしに見ていたMステに、踊りともとれない動きをしながらリズムに合わせて言葉を羅列し、その歌詞は全然人を励ましたり何かを説いたりしてなくて、常にストレスを感じていた私の身体と心が一瞬でほぐされた。完全に光であり処方箋だった。好きな理由なんて他にも100個くらいあるけど、RIP SLYME は音楽という括りではなく、そもそも私の人生のエンタテイメントそのものなのである。

 あ、遅くなりましたが明けましておめでとうございます。これを手にとる頃には一月末でしょうか。しかしこれを書いている現在はまだお雑煮期間。ということで、突然ですが今回は私が2017年に出会った良きエンタテイメントを紹介する回にしようと思います。

君のエンタテイメントは何。 

まずは音楽篇(ここは膨大なので2017年発売の物に限る)。大宮more records のBGMで知り即購入したNightlands「I Can Feel the Night Around Me」は去年一番聴いた。どこかビートルズのような王道感も感じつつ、バンド名のとおり靄がかかり先が見えない柔らかい夜の暗さも感じる超心地よい一枚。あと関係ないですが私のあだ名morningsea の逆ってNightland ですよね。いつかDJになりたかった時、この名前を考えていました(笑)。PALKGOLF「REO」は最近の若手DJ の中で断トツグッドメロディだった。Emerald「Pavlov City」はひとつのバンドでここまでの表現が出来るのか・・!という衝撃そして王様感。そのレコ発に出演した僕らのecke「BYPATH」も彼らがやりたいことが完璧に作りこまれてて、何回かうおおと叫びました。

 普段は広告関連の仕事をしているのだけど、CM で言えばLINE「愛と革新」が良かったなあ。のんが白シャツで携帯にぎりしめてて、キリンジのエイリアンズが流れているだけのやつ。新しいCM でいまイケテル会社がキリンジの名曲を使う。格安スマホの宣伝だけどチープにならず、幅広い年齢層が反応した事だろう。

 展示篇。これはもう一択で東京都写真美術館「センチメンタルな旅 1971ー2017ー」(荒木経惟)。ものすごい衝撃でした。愛と慈しみ、悲しみと虚無。これまで写真は目の前の現実しか捉えられないと思っていたけどそうじゃなかった

 妻・陽子さんとのありのままの生活と撮影しているアラーキーの感情すべてが記録されてた。ここまで強い他人の愛に出会ったことがなかったかもしれない。この展示がきっかけで(?)私は転職先もあっさり決めてしまった。

 読み物篇。これは結構難しいけど印象に残っているのは漫画「自虐の詩」(1996 年・業田良家 著)。まさに愛の哲学書。心の深いところですごくグッと来た素晴らしい漫画。幸せって人によって違うし、愛にはいろんな形があるよね。雑誌ではWIRED vol.30「Identity」特集。それぞれのインタビューがすべて良かった。この号を以って日本版編集長 若林さんが突然の解任。本当に素晴らしい編集者でした!小説とエッセイは読みすぎたので別回に。

 そういえば年末に携帯のメモを見返していたら、ある小説の一節が書き留められていた。

「たとえハリボテの夢だったとしても、人間は背中のリュックに何か入っていないと前に足が進まないようにできているのだ。」

なんとなく頷いた。

 私の身体はいつだって外的なもので形成されている。2018年も多くのものに出会い刺激を受ける人生にしたい。君のエンタテイメントは何。


文:もーにんぐしー