求めていたものは、普段の暮らしの中にあった
フランスに行きたい!と思ったきっかけはたくさんあります。
なかでもこの本に出会ったときの衝撃といったら。。
私のパリに行きたい熱を、一気に引き上げました。
ナナのパリ日記
Paris diary nana by Tsuyoshi Murata, Naoko Murata
株式会社ワールドフォトプレスより
カメラマンの村田剛志さんと、スピック・アンド・スパンの企画/デザイナーの村田奈緒子さんご夫妻が、パリに住み、赤ちゃんフレンチブルドックのNaNaちゃんを迎え入れて一緒に生活する様子が、たくさんの写真とともに描かれています。
フランス流の厳しいしつけ* をすると決めたご夫婦が、NaNaちゃんの くぅーんと泣くようすに耐え切れず、かまってしまうところがたまりません。
*フランス人は躾のために、イヌを寝室にいれないそうです。
お二人とNaNaちゃんのリアルパリ暮らしの様子も興味深々なのですが、
その普段のくらしの中にある、ささやかな幸せが垣間見れるところに、私の求めているものがありました。
朝起きて、まだ暖かいふとんに包まって、NaNaちゃんと遊びながらぬくぬく過ごしたり。
朝食のパンやコーヒーが美味しいと実感したり。
蚤の市をぶらぶら散歩してお気に入りの一点ものを見つけたり。
モンマルトルの丘から、エッフェル塔や凱旋門を見下ろしたり。
週末ぷらっとパリ郊外へ列車で小旅行したり。
当時25歳だった私には、
そんな生活がとても新鮮に見えたのです。
家と仕事を往復する生活で、すっかり忘れかけていた、日々の暮らしの中の、ささやかでも小さな幸せを感じる心を取り戻したかったのかもしれません。
仕事帰りに立ち読みする時間。
コーヒーをふうっと一息つきながら飲むひととき。
大好きなたまご料理を美味しく食べるとき。
バスや電車での一眠り。
天気のいい日曜日の午後。
可笑しくて笑いが止まらないとき。
私はこんな、何気ないひとときに、
とても幸せを感じていたことを思い出しました。
ちょっと疲れてしまったときに、NaNaちゃんのパリ日記を読み返すと
日常に埋もれる隠れHappyを探すアンテナが、戻ってくる気がしています。