HGACシェンロンガンダム レビュー 2022.09.23 05:57 今回のレビューは、1/144スケール ハイグレードアフターコロニー より、“HGAC242 シェンロンガンダム” です。 “新機動戦記ガンダムW” に登場した5機のG(ガンダム)のうちの1機、L5コロニーの“張 五飛(チャン・ウーェイ)が駆る、“XXXGー01S シェンロンガンダム” が、HGACで発売。 HGAC ウイングガンダムの発売から実に9年を経て、ようやくガンダム5機確認ができました。 オールガンダムプロジェクトの一環で、HGAC ウイングガンダムが発売されたのが、2013年の9月。 それからちょうど6年経った2019年の9月にHGAC ガンダムサンドロックが発売され、残る3機のGも順次発売していくとなってから、結局3年かかりましたね。 ・・うん、かかり過ぎやろ。 サンドロックが発売された当時、5機すべて発売するために順番が大事なんだ・・みたいなことを中の人が喋っていた気がしますが、そもそもガンダムWは5機のガンダムパイロット全員が主役の群像劇でもある(まぁ、そのなかでもヒイロが筆頭格ではあるのですが)ので、その乗機となる5機のGすべてをリリースするのは、HGクラスのコレクション性も重視されるラインでは当然・・と考えるのは、厚かましいファン心理なんだろうか? いいや、キャラクターの権利を独占しての版権ビジネスを扱う側の、それは義務だと思う。 たとえば、リーオーが売れなかったらエアリーズは出さない、というのならまだわかります(わかりたくはないけど。で、実際リーオーは売れたはずなので早くエアリーズ出してください)が、サンドロックが売れなかったら残りの3機は出さない・・わけにはいかないはずです。 全部出すことは既定路線だけど、まず最初に一番人気がない(だろう)サンドロックを出して、その売り上げでもってまったく理解がない上層部を説得する必要があるとか、そんなような企業的なプロセスが大事なんだとしても、ちょっとスパンが長すぎやしませんかね? HGUCラインで見ても、前回のザクⅡから9ヶ月も間が空いてるんですよ。 ファンとしては5機揃うのは当然としてサンドロック、ヘビーアームズ、デスサイズと順番に買っていくけれども、新規層はそもそもガンダムWを知らない可能性もある。 そんな層が、今回このシェンロンガンダムのキットを店頭で見かけて格好いいと思って買う。 そして、パッケージイラストに一緒に描かれているデスサイズやサンドロックのことも気になったとしても、もはや市場にはないわけですから。 まぁ、今のガンプラを取り巻く状況としては、たとえ毎月連続リリースされたところで前月発売商品がまだ市場にのこっているなんてことは稀なんですが・・ 徐々に改善されてはいますけどね。 要は、関連の深いキットはできるだけ短期間である程度揃うようにしてほしいということですよ。 ウイングは別としても、結局サンドロックからシェンロンまで3年もかかっているわけです。 ガンプラのフォーマットもどんどん進化するなかでの3年。 ウイング以外の4機に共通するGフレームパーツももはや型落ち感が否めません。 ・・と、いきなりネガティブな発言からスタートしてしまいましたが、気を取り直してレビューしていきますよ。 キットはパチ組みに最低限の墨入れ。一部塗装と付属シールによる仕上げです。XXXGー01S シェンロンガンダム トールギス、ウイングガンダムゼロを開発した5人の科学者の一人、老師OがL5コロニーで開発した格闘戦主体のガンダム。 パイロットである五飛の性格もあって劇中前半では単独行動をとることが多かったように思います。 最大の特賞は伸縮する右腕に装備された遠近両用武装、ドラゴンハング。 中華的なデザイン含め、前作Gガンダムに登場したドラゴンガンダムと似た雰囲気の機体ではありますね。 キットは、先行したサンドロック、ヘビーアームス、デスサイズと共通のGフレームパーツをベースに外装部分が完全新規造形で再現されています。 シェンロン・・というかその改修機であるアルトロンの改造ガンプラという設定で、ガンダムビルドダイバーズに “ジーエンアルトロン” というガンプラが登場し、キットも発売されていたので、もしかしたらそちらからいくらか流用されるパーツがあるのかと思っていたのですが、ありませんでしたね。 ジーエンアルトロンは持っていないのでよくわからなかったのですが、並んでいる画像を見たところ、全然違いました。 なるほど。レオパルド・ダ・ヴィンチみたいな存在だったのか。 いや、なんで同じ過ちを二度も・・ ともあれ外装完全新規ということで、大河原邦男氏による基デザインをベースに、現代ふうにプロポーションをブラッシュアップ。 ほかのG(ウイングは微妙ですが)と並んでも違和感がない、マッシブかつスタイリッシュなしゃんロンガンダムとして仕上がっていると思います。 唯一の見ための不満点は、肩アーマー前側の円形ディティールが色分けされていないこと。 同じようなデザインのウイングガンダム胸部は、シールを貼った上から透明クリアパーツを被せるという仕様でした。 肩アーマーそのものは左右対象、前後も基本同じデザインで、円形部分の色だけが違うというものなので、左右を共通パーツをして金型代を浮かせるというコスト重視の姿勢が見えてしまっているのが残念な感じ。 もちろんシールは付属するのですが、曲面だし綺麗に貼れないので今回はマーカーで塗装しました。 ほか、腰部サイドアーマーや足の甲の部分、ドラゴンハングなど細かく色が足りない部分も塗装しています。 頭部アップ。 小さいです。 でももちろん造形に抜かりなし。 バルカン砲は黄色だったかもしれないけど、ちょっともう今回はそのままで。 ツインアイとトサカのメインカメラはシール。V時アンテナ中央のセンサー(?)は顎と一体のパーツで成型色のまま、シールはありません。 背面。 大きな背負いものはなくシンプル。 メインスラスターはサンドロックのパーツを流用したものですが、実際に同じサイズ、デザインだったのかどうか・・ なお、それに伴いヒートショーテルの柄も一緒に余剰で付いてきますが、とくに使い途はないですね。 あと、後頭部のカメラ用はシールがないので、ここもマーカーで塗りました。 可動に関する独自の機構として、まず腕部を接続するポリパーツが斜め下方向に引き出せるようになっています。 これによって肩周りの可動域が少し広がります・・が、保持力は微妙で腕部全体がへたり気味。 デスサイズでは同じポリパーツの取り付けの向きが違い、下ではなく後方に引き出すことで前方向への可動域が増したのですが、今回はそれが上方向へ跳ね上げに変更されているということですね。 それと、胸部~腹部の可動に際して、コクピットハッチかな? そのパーツが上下に少しスライドするようになっています。 まぁ、気持ち動く程度ですかね。 腹部にスペースを空けておくでもよかった気がします。 腰部の構造はサンドロック以下と共通なので、リアアーマー基部が分割可動することによる深い前屈や、股関節のスライド可動もそのままです。武装・ギミックドラゴンハング メイン武装・・というよりは奥の手という感じかな? 右腕に装備するドラゴンの頭部を模した大型クローと火炎放射器を備えた複合武装で、通常時は前腕側面に折りたたまれています。 使用時には手が内側に収納され、ドラゴンの頭部が起き上がります。 キットではハンドパーツは取り外します。 火炎放射器の砲口と後部のダクトは色分けされていないのでグレーで塗りました。 黄色いクローは独立して可動(左右一体)します。 さらに、肩アーマーないに折りたたまれていたアームが展開。 通常時のおよそ2倍の長さに伸長します。 なお、通常時は上腕にあたる部分のダボを肩アーマー内部のダボ穴にはめ込んで固定できるので、自然とへたって腕が伸びてしまうというようなことはありません。 と、このままでもある程度長くはなるのですが、今回のHGAC版独自のギミックとして、延長パーツを追加することでさらに全長を伸ばすことができるようになります。 延長パーツは2本。根元と肩アーマー内部に折りたたんでいるアームの間にそれぞれ入れるかたちです。 もちろん、1本だけ入れることも可。 ぞれぞれの接続軸にはダボ、穴には切り欠きがあり、はめ込んだ後に90度回すことで抜けない仕組みになっています。 で、全部繋げた状態がこちら。 通常時の3倍ほどの長さになりました。 さすがにまっすぐ伸ばすとへたりますね。 専用のスタンドなど付いていればよかったのですが・・ あと火炎放射のエフェクトも欲しかったな。ビームグレイブ いわゆるビームナギナタですね。 柄だけでもシェンロン本体の全高に匹敵する長さがあります。 保持には汎用持ち手または角度付き持ち手を使用。 フィット感は十分で、回ったり滑り落ちたりということはあまりないと思います。 非使用時にはバックパックにマウントできるのですが・・先の全身背面画像でもお察しの通り、バックパックのスラスターやリアアーマーとけっこう干渉します。 一応基部は回転するのですが、そのためにほぼ角度は固定という感じです。シェンロンシールド 左前腕に装備する円形のシールド。 投擲武器としても使用されます。 ジョイントはサンドロックのシールドと共通のもので、接続部で回転させることが可能です。 ただ接続位置が前腕側面と固定のため、肩アーマーと干渉しやすいです。 肘側(後ろ側)にも付けられればよかったのに。比較画像 HGAC ウイングガンダムと。 かなり先行して発売され、唯一フォーマットも違うウイングガンダムは、やはり少し貧相に見えます。 まぁ、可変機ということで根本からほかの4機とは構造が違う,というところを言い訳にはできますよね。 シェンロンのほうが肉付きがいいのは納得がいく。 カラーリング的にはこの2機が正統派のトリコロールということもあって案外雰囲気は似てるんですよね。 HGAC デスサイズと。 同じ格闘戦メインの機体ですが、デスサイズはステルス機能を駆使してこっそり忍び寄って仕留めるタイプなのに対し、シェンロンはわりと真っ向勝負を挑むタイプなので、装甲などはより分厚い感じですね。 カラーリングも、しっかり個性付けができています。 HGAC ガンダムデスサイズ レビュー HGAC サンドロック、同ヘビーアームズとも。 キットとしてはこれらとも基礎フレームは共通。 MGでもそうでしたね。実際の設定はどうなんだろうか? HGAC ガンダムサンドロック レビュー(2021年1月27日 追記) HGAC ガンダムヘビーアームズ レビュー(2022年6月25日 追記) 以下、画像 基本的に優秀な可動に加え、腕部基部のスライド可動に上半身の捻り可動が合わさり、ビームグレイブを両手で構えるばっちりポーズが決まります。 ちなみに角度付きの持ち手はボーナスパーツとされているんですが、ビームグレイ部用にはむしろ汎用持ち手より相応しいと思います。 デスサイズでもそうでしたが、長物を持たせるにはこれくらい角度が付いているほうがよいですね。 薙ぎ払い・・は腕が前方に引き出せるほうがさまにはなるんだよな。 腰部可動、股関節スライドできても、太股と脛の長さのバランスがのせいで立て膝は微妙。 脛が長いんですよね。 まぁ、その方が立ち姿は格好いいんですけども。按配が難しい。 でも、デスサイズはもうちょっとうまいことできてた気がするんだが・・ シェンロンシールド投擲! ジョントパーツを外せば3㎜(よりもわずかに小さいか?)穴があるので適当なスタンドを使って投擲シーンの再現も可能。 左右の平手が付くのも、このWのGシリーズのよいところですよね。ここ数年のラインナップではダントツに豊富なハンドパーツ。 これも流用前提だからかなぁ? ドラゴンハングで。 まず延長パーツなしで。 確かに、この程度伸びるだけなら,相手はちょっとはびっくりはするだろうけど、あまり有効性があるようには思えない。 ビーミグレイブでも十分届く間合いですしね。 そして格闘武器としての攻撃力でもビームグレイブが上だろうし。 では、延長パーツ追加。 ふむ。かなり伸びた印象。 まぁ、アニメ劇中だともっと伸びてましたけどね。どういう原理か? しかし、これくらいの長さでもけっこうへたってくるんですよね。 やはりKPSとポリキャップの保持力は微妙だなぁ・・標準的なHGならまぁだいじょうぶと思ってたけど、長物や大型武装を支えるには心許ない。 あとドラゴンハングの先端部分、手首のところで回転するようにもしてほしかたですね。設定ではできないのだろうけれど。 というのも、最終の可動軸・・つまり肘に対して垂直位置にあるので、鎌首をもたげるようなポーズができないんです。 そうするとドラゴンの顔が横向きになっちゃう。 ドラゴン頭の基部(手首)は分割されてるんだから,回せるようにすればよかったのに・・五「弱い者がっ、戦場に出てくるなぁぁぁぁっ!! なにかとネタにされがちな五飛(スパロボのでせいか?)ですが、あの5人のなかでは1番純粋で筋の通った戦士ですよね。 なお15歳・・ ガンダム5機確認! 長かった。本当に長かった・・ 以上、“HGAC シェンロンガンダム” でした。 5機のGのトリを飾ることになったシェンロンガンダム。出来のよさはある意味保証済みというところもありますが、まぁしっかり締めてくれたかな、という印象です。 ドラゴンハングの延長ギミックはかつてのメモリアルアクションを彷彿とさせるものもあって楽しかったですね。 ただ、肩アーマーのグリーンがシールというのは、コスト重視で効率のよいランナー構成が露骨に見えてちょっと残念に思った部分ではあります。 丸モールド自体を別パーツにするという方法もあったと思うんだけど・・(結果パーツが4つ増えるので無理です) それぞれに特徴のある5機のガンダム。 可変機であるウイングはさておくとして、サンドロック以降共通のフレームパーツを使うなか、デスサイズ、そして今回のシェンロンについてはそれぞれに相応しい追加の可動ギミックを備え、そういう意味では伊達に時間をかけているわけでもないのかな、という感じもします。 でも、だとしても長いよ・・ もう繰り返しになるので言いませんけども、デスサイズヘルとアルトロンはもう少しはやめにお願いしますよ。 どうせプレバン限定にはなると思うけど、劇中では一緒に出てきたんだから、同時発売してくれればいいから。 あとはエピオンかなぁ。 トールギスはなぜかRGでだしちゃったからまだしばらくはないように思うけど、エピオンくらいは出してほしいですね。 しかし今後しばらく、少なくともHG関連の一般販売のリソースは水星の魔女のHGシリーズに割かれるものと思われます。 すでに先月からシリーズはスタートしていますが、目下今年中にオプション含めてあと8アイテムが発売予定。 もちろんそれだけでは終わらないでしょうし、来年以降もそれなりの数のキットが発売されるのではないかな。 というか、何クール作品なんでしょうかね。2クールかな? なんにせよ、春いっぱいはHGUC関連で動きはないな。閃ハサ際2部の公開もまだ先っぽいし。 ともあれ、水星関連のキットも出来がよさそうなので、当分はそれで十分ですね。比較的手に入れやすそうでもあるし。 アニメ作品としての出来は・・さてどうだろうか。 境界の轍は踏まないと信じたいけど・・ といったところで、今回は終了。 またのご訪問を。