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ZIPANG TOKIO 2020「『宿場の雛まつり』昔『おひなさん、おみせってくなんせ』と言って子供たちが家々の雛人形を見て歩いた。花巻市大迫町で290年前の雛まつり復活!」

2018.02.26 18:00

丹野家所蔵

花巻市大迫町は、昔、絹生産が盛んで、京都と取引を行っておりました。 そのため、享保雛や次郎左衛門雛など、江戸時代から明治時代にかけて作られた雛人形が、旧家や商家に多く残されている。
昔「おひなさん、おみせってくなんせ」と言って子供たちが家々の雛人形を見て歩いたそうだが、 そんな風習を今に復活させたのが大迫町の「宿場の雛まつり」である。 

花巻市大迫交流活性化センターをメイン会場に、今年は町内29カ所の商店等に、 歴史雛から現代雛までいろいろなお雛様が飾られている。

昨年の20回記念行事の会場にて(花魁道中も登場して参加者の眼を楽しませてくれた)


花巻市大迫町は国定公園早池峰山のふもとにあり、当サイトにおいて昨年紹介した国指定重要無形民俗文化財第1号「早池峰神楽」(ユネスコ世界無形文化遺産リスト登録)が伝わる町である。

ここは沿岸の三陸地方と内陸の盛岡を結ぶ街道沿いにあり、かつては宿場町として栄えた。
ここ大迫で開催される「宿場の雛祭り」は、大迫のメインストリートを中心として商店や民家にお雛様が展示され、2018年は29箇所で各商店等に伝わるお雛様を見ることができる。
今から290年ほど前から伝わる、いろいろな時代のお雛様が所狭しと並ぶ様子は、大変見応えがある。
お雛様にも様々な種類があるが、代表的な3つのお雛様からどうぞご覧を。


『享保(きょうほう)雛』

江戸の中期、享保(1716~36)の頃に流行したと伝わる内裏雛で、この名がついたのは明治時代からと言われている。
享保は作成年度を限定するものではなく、人形の形式の呼称。 享保雛の顔は少し面長な大きな人形で、金襴や錦を使った豪華な衣装が鮮やかであり、男雛は束帯姿で手に笏を、女雛は五衣、唐衣に赤い袴で冠をつけ扇を持つ。


『次郎左右衛門雛』

京都の人形師、菱屋(雛屋)次郎左右衛門が創りだした雛で、作者の名前で呼ばれる唯一の人形である。
作者が宝暦11年(1761)頃に江戸へ下り、日本橋・室町でこの人形を売り出した。丸い団子のような顔に目鼻の愛らしい典雅な表情は、江戸の人気を集めた。


『古今雛』

江戸時代の後半にかけ、次郎左右衛門雛と相前後して世に出たひな人形。明和(1764~72)の頃、江戸・池之端の雛人形問屋であった大槌屋が、人形師の舟月に作らせたもので、現在ある雛人形の原型といわれている。その姿は美しく艶やかで、衣装も従来のものに金糸や色糸で縫い取りをし、一層華やかなものに。顔は眼にガラス玉をはめ込むなど、精巧で写実的である。


いろいろな種類のお雛様や人形を一緒に飾る

大迫の「宿場の雛まつり」では、いろいろな種類のお雛様や人形が一緒に飾られているのも、特徴のひとつと言える。

一時途絶えたが、復活した伝統工芸「花巻人形」

まずは男雛と女雛を揃え、その後にその他の人形を買い足していったのか、大きさも表情も様々。お内裏様とその下の官女の大きさが違うので想像がつく。



雛壇には珍しい人形も一緒に飾られている

一部例を挙げると大名行列、金太郎、花咲じいさん、舌切り雀、義経と弁慶、加藤清正と虎 などなど。かつての大迫では、雛祭りは旧暦(現在の4月)に祝っていたことから、すぐに五月の節句がくることもあり、一緒に飾ったのではないかと言われている。 (人形の出し入れが面倒だったためという話も…)


大迫町では節句の時期に合わせ、あねっこ市(まち)が開かれ、以前は農閑期で手の空いた農家の娘さんたちが着飾って市に出掛けた。あねっこ(娘さん)とあんこ(男性)が出会う数少ないお見合いの場になっていたようだ。

市にあわせて商人も各地から集まり、雛人形や節句用具などが売られた。南部葉たばこや製糸業で栄えた町だったことから、贅沢品ともいえる雛人形が売れる土地柄だったのであろう。多くの雛人形が残っている理由としてうなずける。

町の子どもたちも「お雛様お見しぇってくなんせ」と言いながら、各家々を回ってお菓子をもらい、着物の袂に入れて歩く姿も見られたそうだ。



あねっこ市 節句市日祈願祭


期間:平成30年2月28日(水)午前10時~
場所:花巻市大迫交流活性化センター 多目的ホール

あねっこ市は「節句市」とも呼ばれ、かつては3月の節句前に行われる2月末の市日のことで、冬期間、比較的暇になった農家の男(あんこ)や娘(あねっこ)がたくさん繰り出し、お見合いの場としても盛んになったことから「あねっこ市」と呼ばれるようになった。

昔は節句に必要な魚や野菜、雛菓子、色つきの菓子種(スカシコ)などが販売されており、また花巻地方から来る商人が花巻名産の土雛や京雛、御道具などを並べ、多くの買い物客で賑わった。

今日では、近隣地域や大槌町などの町内外から約20の露店が立ち並び、人形や置き物、海産物などを買い求める客で大いににぎわう。

 "節句市"とも呼ばれるこの市日に合わせ、毎月9のつく日に行われる「九の市」の繁栄と発展を祈り市日祈願祭が行われる。

この日は、神事をはじめ、神楽の公演、えびすまき(もちまき)、どべっこ(甘酒)の無料サービスなど盛りだくさんのプログラムが予定されており、大勢の人で賑わう。


交通アクセス


鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」の明和町観光大使


協力(順不同・敬称略)

花巻商工会議所大迫支所
〒028-3203 岩手県花巻市大迫町大迫第3地割203 電話: 0198-48-3225

(一社)花巻観光協会
〒025-0004 岩手県花巻市葛第3地割183−1電話: 0198-29-4522