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Randolph Caldecott(1846 - 1886)

2018.02.26 10:08

ランドルフ・コールデコットの絵本、と聞いて何が思い浮かぶでしょうか?意外にこの作家はその名前の知名度と比例するほど、作品は知られていないかもしれません。

一般の読者よりも、同業者、実際に絵を描く人たちの中の評価が非常に高い作家の気がしますね。


アメリカの絵本の賞の中ではおそらく一番有名な、この作家の名前を冠した賞のおお陰で、その名前だけが知られるようになってしまったのでしょうか。日本で言う直木賞のよう、とも言えるかもしれませんね。

ですがもともと、日本語に翻訳され親しまれるほど人口に膾炙している作品が無いということもあるかと思います。

この理由を、何故のその名前ほどに作品が知られていないのか、翻訳が少ないのかと少し考えてみたのですが、コールデコットの作品は、自分の中では少し玄人向けの作品の感じがするので、そのせいなのでしょうか。


確かにコールデコットの絵をパッと見た時に、例えば近い時代の作家、グリーナウェイやウォルター・クレインの絵を見たときのような、一瞬で見るものを引き込む絵の可愛らしさや豪奢さはあまり見当たりません。

クラシックな感じの絵で、ふうん…くらいで終わってしまうのかもしれません。

コールデコットが何故、アメリカで一番の絵本の賞の名前にもなり(ちなみにこコールデコットはイギリスの作家です)、高く評価されているのか、その魅力は、と言われれば、それはやはりコールデコットの作品は「絵本」だからなのです。

「絵本」だから、などといきなり言われてもピンとこないと思いますが、コールデコットはテキストと挿絵、そう言った従来の従属関係をアップグレードし、本文と絵が相互に補完しながら互いの効果を引き出し合うような、新しい「本のメディア」にした、つまり今言われる「絵本」を作った人なのです。

文章に書いてあることを、絵にしても意味がない、そういったのはコールデコットを非常に高く評価しているモーリス・センダックでした。

彼はコールデコットから多くを学び、イラストをつけることによって、テキストの中に隠れていた深い物語を引き出し、またイラストによって新たな物語を付け加えることさえしたのでした。

これらはコールデコットが先鞭をつけたものなのです。

コールデコットはだから、文章に絵をつけると言う仕事の実作者にはとても興味深く、偉大な仕事をした作家として、今でも愛され、尊敬され続けているのです。


どのようにコールデコットが自身の作品の中でそのような効果を成したのかというのは吉田新一さんの著作など詳しく知ることが出来ますので、ご興味がある方は是非読んでみて下さい。

本日はコールデコットの絵本を幾つか更新しております。また、コールデコットについて吉田新一さんが詳しく述べている「絵本の愉しみ」と言う本も一緒に並べております。

また、センダックの仕事の中でも、イラストによってテキストの中に隠れた深い物語を引き出した、と感じられる作品の代表作「うさぎさんてつだってほしいの」なども入荷しておりますので、是非オンラインストアの方でもご覧ください。


当店在庫はこちらです。

THE DIVERTING HISTORY OF JOHN GILPIN〜(オズボーン・コレクション)」ランドルフ・コルデコット

ジョン・ギルピンのゆかいなお話」ウィリアム・クーパー 文 ランドルフ・コルデコット 絵

疾走した画家 ランドルフ・コールデコット」レナード・S・マーカス

THE MILKMAID(乳しぼりのお嬢さん オーピー・コレクション2)」R. Caldecott(ランドルフ・コールデコット)

絵本の愉しみ イギリスの絵本の伝統に学ぶ(国際子ども図書館児童文学連続講座義録)」吉田新一 他