旅のチカラ、旅のカケラ

それぞれの明日へ

2008.12.28 14:50


午前6時、ナイロビに帰ってきた。

キガリ(ルワンダ)からのバスの乗車時間は24時間。

何もせずに1日を過ごすって結構しんどい(笑


「ハーイ、戻ってきたよ!」

顔なじみのスタッフと挨拶を交わし、

部屋を用意してもらった。


まずはシャワー。

凝り固まった身体をほぐす。

タオルを頭に乗せたままロビーでチャイをすすり、

朝食の袋麺を茹でた。



相方のヒロはまだこの宿にいるようだ。

見送ってもらったあの夜から数えて11日、

ここ『ニュー・ケニア・ロッジ』に沈没していた。


「はい、お土産」

ルワンダで買ったタバコを渡し、近況報告を交わす。

どうやら今夜のバスで次の街を目指すらしい。

一緒に旅をしてるようで、実は半分近くが別行動。

この距離感、このスタイルがふたりにはちょうどいい。


さて、何をしようか。



ナイロビにはこれといった観光スポットがないので

食事かネットカフェくらいしか出歩く用事がない。

その2つを済ませてしまうと

午後からは時間を持て余してしまった…。



同じ宿の日本人も同様で、

「国名しりとりでもします?」

「お、いいねぇ」

アメリカ→カンボジア→アルメニア…

“ア”ばっかじゃん!!

と、真昼間に日本人が4人、

こんなことで盛り上がっているんだから平和なもんだ。

そのままの流れで夕食に出かけ、

食事が終わると、3人は出発の準備にとりかかった。



午後10時、彼らのバスを見送り、

ちょっと物騒なナイロビの夜をひとりで歩いて帰った。

4人部屋はベッドが3つ空き、急に静かになった。



ひとりベッドに転がり、

本棚で見つけた柴門ふみの『同級生』に没頭した。

大学を卒業し、“就職”という2文字がふたりを隔て、

大人になるとは何か、を模索しながら

別れと再会の狭間に揺れるふたりを描いた作品だ。


あなたが、青春のすべてでした…


大人になったふたりは、別れを選び

それぞれの明日を歩み出す。

その選択が正しかったのかどうかはわからない。

“答え”とは、

見つけるものではなく、自分でつくるものだと

そう締めくくられていた。


本を枕元に投げ出し、大の字になったまま溜息がこぼれた。

ひとりぼっちのアフリカに、そのせつなさが重なった。

この旅を人生に置き換えるなら、

アジアが青春時代で、アフリカ青年期だ。

ちょうど大学を卒業して社会に出たころ。

将来への期待と、先の見えない不安が

混ざり合った時代。

だだっぴろい大地を闇雲に走っているような感覚は、

アフリカの旅も、青年期も同じだ。


20代は闇雲に走った。

でも、気がつけば1本の道ができていたし、

いつだって答えを出してきた。

だから、この旅の“答え”も、

見つけるものではなく、自分でつくるものなのだろう。



そっと本棚に『同級生』を返し、

次に読む旅人も同じ気持ちになるのかな?

なんて想像してみた。