旅のチカラ、旅のカケラ

ロスト!!

2008.12.28 12:40


ちょっと遅く起きた朝。

なんだか日本にいるような感覚だった。


クリスマスから4連休、街は今日も死んでいる…。

本棚を覗き、マンガを数冊抱えてベッドに戻った。

たいして面白くもないし、中途半端な巻数なので

前後のストーリーはわからない。

それでもページをめくって時間を潰した。


「モーニング!」

スタッフが部屋の掃除にやってきた。

「あぁ、おはよう」

ほっといてくれというオーラを出しながら

一瞬だけ顔を上げた。

することがないと荒んでいく…。



正午をまわったころ、もぞもぞとベッドを抜け出し、

ガスに火をつける。

鍋に水をはり、そいつを火にかけた。

10分も待つと、ぐつぐつと沸騰しはじめた。

1つ30円で買った袋麺をふたつ鍋に投入、

再びふたをして待った。

キャンプをしてるような、

やっぱり日本にいるような、

無意識で、何気ないワンシーン。



居心地はいいが、これは求めてる旅のスタイルじゃない。

早くここを離れなければ…。

ラーメンを食べ終え、

シャワーを浴び、洗濯を済ませた。



散歩に出もでかけようか?

小さなリュックを担ぎ、玄関に向かうと

大きなザックを担いだ日本人が階段を昇ってきた。

「ウエルカム♪」

スタッフのかわりに鍵を開け、

部屋を案内した。



「1泊500円、今ならシングルルームも空いてるよ」

ようやく現れた話相手、

聞くとエチオピアから来たという。同じルートだ。

散歩がてら街を案内し、

美味しいビーフシチューの店に行った。

彼は33歳、元添乗員という同級生。

堰を切ったように、話は尽きなかった。


その夜、ちょっとした事件が起きた。

明日ここを発とうと、荷物をまとめていると

あるものがなくなっていることに気がついた。


「あれ、ガイドブックがない…」


アフリカ全土を網羅した『旅行人ノート』。

まだこの先必要だし、中にはメモや

出そうと思っていた絵葉書が挟んであったのに…。

ない、ナイ、無い!

ザックをひっくり返し、ベッドの下を覗き、

ロビーの本棚をチェックした。


ない…。


慌てふためいて、探し物をしてると

その彼がやってきた。

事情を説明すると、散らかった本棚をあさり、

『旅行人』のコピーをかき集めてくれた。


「これをつなぎ合わせれば、なんとかなるんじゃない?」


これから行く国のページはほぼ揃った。

ありがとう。明日、こいつをコピーするよ。



アフリカは情報がないとしんどい旅になる。

だから、ガイドブックは喉から手が出るほどほしい。

ベッドの上に置いておいたのがいけなかったのだが、

それにしても酷い仕打ちだ…。


せめてもの情けで、挟んであった絵葉書を

ポストに投函しておいてくれないかな?