【今日の暦】二十四節気 秋分
二十四節気 秋分 9/23〜10/7頃
七十二候「雷乃収声」(かみなりすなわちこえをおさむ)から始まる秋分ですが、本日(2022/09/24)の空模様は曇天雷。
暦を学んでいると、昔の日々の移ろいがよくもここまで現代に通ずるものだと驚くことがよくあるのですが、地球環境の変化なのか、暦の通りとはいかないことも当然あります。
不変ではないこと、常は無いという思想を「無常観」と言います。
侘び寂びなどと並んで日本人の精神の根底にあるものと言われることがよくあり、
例えば鴨長明の『方丈記』の序文、
「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消え、かつ結て、久しくとどまりたる例なし。世の中にある、人と栖(すみか)と、またかくのごとし」
や、
『平家物語』の冒頭、
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理を現す。おごれる人も久しからず、唯春の夢のごとし」
などは、「無常観」の代表として挙げられます。
もし今居る状況が最悪だとしても、それが永遠に続くことはないのがこの世の常なのだと先人に言ってもらえると、なんだか妙な自信や安心感が湧いてくる気がします。
秋分は「秋のお彼岸」の時期でもあります。
「毎日いろいろあって大変だろうけど、生きて笑ってご飯食べてくれてるだけでじーちゃんたちは幸せだよ」って、
うちのご先祖さまたちなら言ってくれてる気がします。
9月の旧暦 長月
夏から秋へ移り変わる頃。
日中は夏の名残りを根強く感じますが、夜風には涼やかな秋を感じます。
「長月」の他にも「夜長月」、また収穫の時期であることから「稲刈月」、秋の実りまつわる「菊月」や「紅葉月」といった異名もあります。
10月の旧暦 神無月
夜と昼で気温差が大きくなり、紅葉が始まる頃。
「神無月」の由縁で有名なのは、出雲大社のお話し。この頃、日本中の縁結びをめぐる会議のため、全国の神様が国元を留守にし、出雲で会議をするという逸話があります。神さまが出張に行くから「神無月」。一方、全国から神さまが集まる出雲地方では「神無月」ではなく「神在月」と呼ぶとか。
その他、新米の時期であることから新嘗祭に由縁し「神嘗月」、「神祭月」など。また、新米でお酒を作る時期のため「醸成月」、雷が鳴らなくなる季節なので「雷なし月」など、さまざまな呼び名があります。
七十二候
○9/23〜9/27頃 雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)…雷が聴こえなくなる頃。
○9/28〜10/2頃 蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)…気温が下がり、虫たちが冬眠の準備を始める頃。
○10/3〜10/7頃 水始涸(みずはじめてかかる)…水田の水を抜いて稲刈りを始める頃。
祭事 十三夜
十五夜の一ヶ月後の10月13日(旧暦9月13日)に行われる、日本由来の風習です。十五夜とセットで月見をするのが昔のセオリーで、片方の月だけ見るのは「片見月」と呼ばれ、縁起が良くないと考えたとか……。
参考文献
◇『ありてなければ 「無常」の日本精神史』竹内整一
◇『方丈記 現代語訳付き』鴨長明、簗瀬一雄
◇ 『絵でつづるやさしい暮らし歳時記』新谷尚紀
◇『七十二候の食薬レシピ』大友育美