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ZIPANG-6 TOKIO 2020 全国の姥神像行脚(その45)境界型の姥神たち・面白山~山寺周辺【寄稿文】廣谷知行

2022.09.27 12:45


その44で紹介した船形山。その南に信仰の山としてあった面白山があります。この山は面白山権現として赤茶けた岩に湧き水が出る場所があり、ここがご神体とされていました。登山道から外れた場所にあり、私もまだ確認していません。


赤茶けた岩と湧き水がご神体ということは、これまで、その3で紹介した栃木県の茶臼岳やその5で紹介した福島県の中吾妻山と同じように湯殿山を模していることは想像に難くありません。さらに面白山の西には風光明媚な景観の山寺の立石寺がありますが、一説には同寺の奥の院が面白山だったとも言われています。そのためか、湯殿山や月山と同じように面白山周辺にも姥神像が配置されていますので紹介します。



【山形県山形市】


・面白山


面白山登山道入口にある姥神像


面白山の紅葉川沿いのコース、面白山高原駅の登山道入り口のところに姥神像があります。写真では頭は無く、それらしい石がのせられています。先の説明の面白山権現のご神体はこの登山道の奥になりますので、湯殿山のように境界-姥神型として祀られたと考えられます。



・立石寺


山寺立石寺参道途中にある姥神像


山形の有名な観光地である山寺の立石寺は、山の中腹にあり、1,000段以上の石段を登らなくてはいけません。その途中に堂があり、中に姥神像が祀られています。ここも参道途中にあることから境界-姥神型として祀られたのだと考えられます。



・馬形地区


 馬形地区にある姥神像


 馬形地区にある姥神像



立石寺のある山寺の馬形地区にも姥神像があります。地域の集会所の敷地内に堂があり、その手前に祀られています。2体ありますが、片方は頭の部分をそれらしい石に付けたのかと思われます。2体あるのは立石寺のものが2体並んであり、これを模したためかもしれません。参道途中ですので、境界-姥神型として祀られたのだと考えられます。



・風立寺


風立寺にある姥神像


風立寺にある姥神石碑



山寺から山形市内へ向かう途中、下東山に風立寺があり、姥神像が祀られています。またここには、姥神が彫られた石碑もあります。どちらも参道入口にありますので、境界-姥神型として祀られているのだと考えられます。



【山形県天童市】


・天童高原

 

天童高原松の木の根本に祀られた姥神像



天童市にある天童高原はスキー場があるほか、面白山への登山口もあります。この高原には締め掛けの松と呼ばれる大きな松の木があり、その根元に姥神が祀られています。頭は無く、かなり磨耗していますがおそらく姥神像が2体並んでいると思われます。2体並んでいるのは山寺馬形地区と同じように立石寺を模したのかもしれません。面白山の登山口の近くにあることから境界-姥神型として祀られたと考えられます。



・水晶山


 水晶山にある姥神像 



天童高原の近くに水晶山があります。この山にも2体の姥神像が並んで祀られていますのでこれも立石寺を模しているのかもしれません。登山道の途中にありますので、境界-姥神型として祀られたと考えられます。



・若松寺


若松寺にある姥神像



天童高原から天童市内に向かい、市街地のすこし手前にある若松寺は、最上三十三観音の1番札所になっており、若松観音の名前で親しまれています。その境内に姥神像が祀られています。旧参道の途中にありますので、境界-姥神型として祀られたと考えられます。



・北畠神社

 

北畠神社にある姥神像 



天童市にある北畠神社は山寺から天童市内に向かう途中にあります。その境内に姥神像があります。本堂の外にあることから境界-姥神型として祀られたと考えられます。


面白山や山寺立石寺については、湯殿山や月山の姥神の祀り方を模していると思われます。さらにその立石寺などを模して周辺に広がっていったことで山形県村山地方では多くの姥神が祀られるようになったのではないかと考えられます。



次回に続く・・・


寄稿文
廣谷知行(ひろたに ともゆき)
姥神信仰研究家



※画像並びに図表等は著作権の問題から、ダウンロード等は必ず許可を必要と致します。

発行元責任者 鎹八咫烏(ZIPANG TOKIO 2020 編集局)



ご参考(関連情報)


ZIPANG-6 TOKIO 2020 全国の姥神像行脚(その44)境界型の姥神たち・葉山近隣 【寄稿文】廣谷知行
https://tokyo2020-6.themedia.jp/posts/37020924


ZIPANG-3 TOKIO 2020 ~全国の姥神像行脚(その5)~「福島県 吾妻山の信仰の中心『吾妻山神社の姥神像』 とは・・・  【寄稿文】 廣谷知行」
https://tokyo2020-3.themedia.jp/posts/5977605


ZIPANG-3 TOKIO 2020 ~全国の姥神像行脚(その3)~「栃木県那須塩原市『茶臼岳の姥神像』とは・・・  【寄稿文】 廣谷知行」
https://tokyo2020-3.themedia.jp/posts/5756200




アーカイブ リンク記事をご覧ください。(神楽続編)



羽黒修験道

修験道とは

はるか昔、日本列島に暮らしていた人々にとって、山は神の宿る聖域であり、子孫を見守る祖霊が鎮まるところと考えられていました。修験道は、そのようなおだやかな山岳信仰に根を下ろしながら、仏教とりわけ密教や道教などの影響を受けてかたちづくられました。修験道は中世以降、聖なる山に分け入って谷を渡り、山々を駈け、山に籠もり、山の神霊を我が身に宿す修行を重ねた山伏たちを通じて、人々に受け入れられてきました。日本の多くの霊山が信仰を集める中で、この東北の地におこったのが羽黒修験道です。


ZIPANG TOKIO 2020「そびえる山の厳しさに山伏たちの姿が浮かぶ! 日本遺産認定 出羽三山」
https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/1383261



鳥海山山頂の鳥海山大物忌神社「御本宮」の雲海と夕焼け


鳥海山は山形県と秋田県との県境にまたがり裾野を日本海に広げる独立峰の火山(標高2,236m)で、古代から現代に至る信仰の山です。


ZIPANG-2 TOKIO 2020~不思議な不思議な町 遊佐・ゆざ~(その4)「【出羽國一之宮】鳥海山大物忌神社 古代から現代に至る信仰の山とは・・・」
https://tokyo2020-2.themedia.jp/posts/5045738


杉沢比山【国指定重要無形民俗文化財】


山伏修験者が行っていた神楽のことを番楽といいます。東北の奥羽山脈を境に太平洋側では山伏神楽と呼び、日本海側では番楽と呼んでいます。これら一連の古風な舞は猿楽、呪師、幸若舞、田楽などが結びついた独特の舞です。

杉沢比山は数ある番楽の中でも、すっきりと洗練されユニークな美しい型、水ぎわ立った鮮やかな舞い振りを見せる芸術的価値の高いものと評価されており、昭和53年には国の重要無形民俗文化財に指定されています。

毎年、8月6日「仕組」、15日「本舞」、20日「神送り」の三晩に舞が奉納されます。お盆の時期と重なり昔からの信仰とつながっていると考えられます。演じられる曲目はもともと24曲ありましたが、現在行われている曲は14曲で、全曲を演じますと4時間ほどかかります。静かな山里の星空のもと舞台上で演じられる比山は、時に勇壮に時には荘重な舞で、観ている者の心を打ちます。


ZIPANG-2 TOKIO 2020~不思議な不思議な町 遊佐・ゆざ~(最終話)「祭りとは人類にとって祖霊との交信儀礼なのか?鳥海山の修験者から伝わる遊佐のまつり」
https://tokyo2020-2.themedia.jp/posts/5055720


隠岐の島 島後神楽(久見神楽)


隠岐の島 島前神楽


隠岐神楽は、石見神楽に代表されるような「見せる神楽」とは異なり、素朴で古風な神楽です。また、出雲や石見の神楽では神職が舞っていたが、隠岐神楽では神楽専業の家系「社家(しゃけ)」が舞っていました。

かつては、隠岐の島町(島後)では13社家、島前では5社家が神楽を行っていましたが、現在では、地域住民によって行われています。


ZIPANG-5 TOKIO 2020 神々の島「隠岐」& 後鳥羽院「海士町(あまちょう)」総集編[3]  ~隠岐神楽~
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