Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

タイドラマ「ニラの復讐〜美貌に隠された秘密」(2019年)U-NEXT キャストとあらすじ

2022.10.01 01:32

おすすめ度:★★★☆☆ 「性転換 X 略奪愛」奇想天外な復讐劇!毒気が強めなドラマ


U-NEXTで衝撃のOne31タイドラマ「ニラの復讐〜美貌に隠された秘密」(2019年)を観ました!このドラマ、冗談抜きですごい…。いろんなものが複合的かつドロドロに混ざり合っている感じで、とても強烈で毒気の強い内容…。


メロドラマ的な展開で延々と続き、出口が見えず、最後の最後まで何が復習なのかよくわからないドラマ。でも最後の最後でとんでもない展開に。見ているだけで、なんだかこちらも悪ノリしてしまいそうになる作品です。



虐待、離婚、性転換、復讐、略奪愛…

このドラマは、イギリスで男性から女性への性転換手術を受け、美女に生まれ変わったニラが、バンコクに戻り、亡き母への思いを胸に幼少時代に自分を虐待し続けた父親と叔母に復讐するストーリー。


これだけでもかなりヘビーですが、これにさらにロマンス要素として、ニラが少年時代に想いを寄せていた建築家の叔父チャット(父親の妹の夫なので血のつながりはない)との略奪愛も。


主人公のニラを映画「AI Love You / 恋するAI」バイフォーン・ピムチャノック・ルーウィセートパイブーン(Baifern Pimchanok Luevisadpaibul)が演じています。チャット役は、GMMTVの名作ドラマ「Happy Birthday / ハッピーバースデー」に出演していたプッティチャイ・カセットスィンが演じています。


どちらも実力派。この二人が主役じゃなかったら、このドラマは見るに堪えなかったかも…。


あまり出番は多くないですが、性転換する直前の美少年時代のニラは、「ラブ・バイ・チャンス / Love By Chance」のセイント・スパポン・ウドムケーオカンチャナーが演じています(確かにこの2人、なんとなく目鼻立ちが似ている!)



メイクアップアーティストからモデルに

ロンドンからバンコクへ戻り、ベンジャン先生の自宅に住みながら治療を受けるようになったニラは、自立するために先生の勧めでメイクの仕事を始めることに。それがきっかけで、次はチャリティイベントのファッションショーのモデルに。


生まれ変わったニラはとにかくスタイル抜群の美人なので、叔父のチャットもニラに会う時は笑顔だし、女好きの父親チョムタワに至っては一眼でニラが気に入り、ナンパしては口説こうとする始末。みなさん一応、家族です…。


ベンジャン先生とニラの精神状態

しかし、ベンジャン先生は精神状態が不安定なニラがモデルとして有名になるのには反対。ニラは「異常者だから隠れて生きろって言うの!」と反発します。精神科医のベンジャン先生は手術前のニラを知っており、ニラの様子を観察して毎日記録をつけていますが、この日は「人に認められることで過去を克服しようとしている」と記録していました。


このドラマを非常に複雑にしているのは、ニラが性転換手術をしたトランスジェンダー(ドラマではタイで馴染みのある「レディーボーイ」という言葉が使われている)だという点です。


タイのディスコやバーで出会った美女が、実はトランスジェンダーだったというのはよく聞く話ですが、そのくらいタイの社会では身近というか自然な設定なのかもしれません。


男も女も「見た目」で判断する世の中では、ニラのような両方の真ん中を生きるジェンダーが生きにくいことは確かで、その苦悩がドラマチックに描かれています。





何がモラルに反していて、何がそうじゃないのか

ドラマ前半、幼い頃から唯一優しく可愛がってくれた叔父のチャットは、ニラがイギリスでの交通事故で死亡したと思っているだけでなく、ニラが性転換手術をして女の子になったことも知りません。それでも偶然(を装ったのもある)にもニラと出会ったり再会したりを繰り返し… 少しずついい感じになっていくのですが…。


ベンジャン先生は「モラルに反しないか考えて」とニラに話します。このドラマ、知性派で落ち着いたベンジャン先生がいなかったらただの暴走ドラマになっていたかも…


と思っていたら、今度はベンジャン先生がスキャンダル続きで弱ったニラに「家に帰ろう」といって突然キス!「はぃ…?」と仰天している間に、それが写真撮られてまたまたニュースになるし…ベンジャン先生まで何やってんだか…。


ニラに共感できるか

このドラマは毒気の強さではピカイチなんですが、果たしてそれがどこまで視聴者に共感を呼べるのかが見るうえでのポイント。正直言って、あまり共感できるストーリーではなかったかな…。


ニラの生い立ちが辛く悲しいものだっただけに、全身整形で生まれ変わったリラは美しく輝く方へと進んでいくのかと思ったら、結末は意外にもそうではなかったという中途半端なオチ。


ドラマ中盤では、人気モデルとチャットの妻とニラとの間でそれはそれは「醜い女の戦い」が続き、憎しみの果てに相手を罠に嵌めてとことん陥れる。嵌めて嵌められて、の繰り替えしにも若干飽きてくるし、ニラもニラで復習するためにどんどん腹黒くなっていく。


リラが代表する「トランスジェンダー」がテーマなだけあって、「生まれながらの女性美だけが女性として美しいのか?」という問いには「そうではない」という明らかな回答が得られるのですが、でもそれはルックスの問題だったり、性根の悪さだったり、社会的な人気や名声だったり、3人の女性のキャラクターがあってのことなので、そこはトランスジェンダー云々ともまた違うような…。


それでも、視聴者としては無条件にニラを応援したくなるのが心情なんですが、それでもそのニラだって復讐心に燃えたぎっているので、危ない橋を渡るし、「やめときゃいいのに」と思うことを次々やるし、もう一体何がなんだか。


最終的には「自業自得」とも思えるような復讐劇のしっぺ返しに興醒め。精神的に壊れていくニラもヤバいし、鬱になってしまうお父さんもヤバいし、離婚して新しい生活を始めようとしていた女性が甥っ子だと知ったチャットも悲劇だし、全員ヤバい…。もう人生が破滅です。


このドラマを見終わった時の負のエネルギーと退廃感がハンパない…。


これからご覧になる方は覚悟してください!