職人と建物の対話
僕の住んでいる階はシェアアパートにするための工事がまだ行われています
その現場に毎日やって来るのが日本人の職人さん
彼は21年前に渡独し、もともとは彫刻家の道を歩まれていたそうなのですが家庭を持つことになり養うためにも日本でいう大工さんになったそうです
当初は日本人と言うだけでドイツ人の風当たりも強く苦労もあったと話しをしてくれました
話していく中で今僕が住んでいる建物の話しに...
ドイツに限らずですが、ヨーロッパは街並みを見て分かるようにとても古い建物が多く外観を維持しながら中をリノベーションすることで現在も住み継がれています
職人さんによるとその大半は図面も残っていないため現場で見ながらの判断で進めなくてはならず、職人と建物との対話が1番重要だと言います
確かに工事されているところをたまに見させて頂いても図面を持ってではなく、常に既存部分との微調整をされていたように思います
まずは天井
この周辺の建物でも多いそうなのですが、建物が建てられた当初のお金持ち達はこぞってイタリアから石膏職人を呼び天井装飾を施工させていたようです
部屋によって全て違うのですが、その全てが当時の職人達の作品なのです
今回は大きな部屋を2つに無理やり分けなくてはならずこの天井を分断しなくてはいけなかったのが残念だと言っていました
次に壁
この写真の壁の下地は藁などを混ぜた壁紙のようなものに塗料を塗装しています
この壁は後に作られた新しい壁です
こちらの壁は下地にグラスファイバーの繊維で織られたシートが使われており、その上に塗料で塗装してあります
この2つの違いは、家具などが当たったときの強度だそうです
先手のものよりグラスファイバー製のもののほうが傷がつきにくく、再塗装することで長持ちするようで当初はこちらがほとんどだったと言います
次に巾木
こちらの巾木は新しく施工されたものですが、職人さんが探しまわって見つけてきたオーク材の巾木です
今は日本と同じように集成材に木目プリントをしたものが多いそうなのですが、オーク材は固く傷つきにくいためやはり長年使用できるそうです
こちらは当初からのままのフロアですが、やはりオーク材のヘリンボーン張りで仕上げられています
職人さんが言うことに、見た目だけその場しのぎで安価で仕上げることは可能だけどそれだと仕事をした気持ちにならない
長年使われきたものと対話しそれをさらに受け継いでもらいたいという思いで材料を見つけてくると話してくれました
かなり長くなったのでこの辺りで終えますが、使い捨てのような建物でなくここまで長く使われてきた建物にはそれぞれ深い歴史が今も刻まれています