「恋する惑星」(映画感想)
1994年作品。公開当時は観ていなくて、実はウォン・カーウァイ作品は今回初めてでした。
年代的にはどっぷり嵌ってもおかしくないのですが、何故か本編を見る機会はありませんでした。「恋する惑星」というタイトルに魅かれた記憶があるし、大ヒットしてたので、ポスターはよく見てたんですけど。
それから「花様年華」も!予告編があまりに美しくて、当時それで満足してしまった感じ。
今年はその「花様年華」制作20周年だそうで、ウォン・カーウァイ監督の5作品がリバイバル上映されています。
「恋する惑星」は何というか…映像も音楽も当時の最先端を行ってたんだろうなあ、という大変におしゃれな作りで、当時の香港に全く触れたことがないのに、妙にノスタルジックな気持ちになりました。
これは多分音楽と、それから、ヒットしてた時の渋谷あたりの風景を思い出すからだと思います。
まったく関係ないと思われる(深読みすれば関係なくもないんだけど)2つのお話が、伏線も回収もなく並んでいるといった感じのストーリーで、正直、所々「???」という気持ちで筋を追っていたんですが、終わってみると強烈に記憶に残る…そんな作品でした。
2つ目のお話の、フェイ・ウォンが小鹿のような細さと可愛さで、彼女の姿が映っているだけで満足!
トニー・レオンと、それから1つ目の主人公の金城武も素晴らしくて、警察官なのに2人ともちょっと抜けてるというか…どちらの話も、男女の関係性が村上春樹っぽくてニヤニヤしました。
香港の雑多な市場や、場末のじっとりした感じと、恋愛模様のもどかしさや切なさがすごく自然に溶け合ってて、それが、90年代!って感じの音と映像で描かれてて。
公開時に観たらハマっただろうなあ!
キャストは皆みごとに美しいのですが、彼らがいる場所が今一つすっきりしていない。部屋のインテリアも可愛いっちゃ可愛いんだけど、ボロボロの雑巾とそれを絞る時の濁った水が敢えてアップになったりして、そういう描写って妙にパワーを感じるんですよね。つるんとキレイじゃないところが凄く良かったです。
ポケベルとか、留守電の小さなカセットテープとか、それから円盤(CD)のディスプレイが動くジュークボックスっていうの?あれどこかで見たぞ!バブルの残像が残るバーみたいなとこで!
いちいち映るものが懐かしいのでした。