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紅く色づく季節

これからもよろしくね!

2022.09.29 06:25

【詳細】

比率:女2

現代・その他

時間:約10分


【あらすじ】

いつもの居酒屋で待ち合わせをして楽しく飲む那智と美咲。

大学時代の思い出話に花が咲きます。

やっぱり、一緒にいて安心できる友だちっていいよね。

これからもよろしくね!


*こちらは、『可愛い女の子に怒られたい!』の後日談です。

 こちらだけでもお使いいただけます。



【登場人物】

那智:(なち)

マイペースな女性。

美咲と環奈とは大学時代からの友だち。

美咲:(みさき)

   可愛いくてちょっと天然な女性。

   那智と環奈のことが大好き。



●居酒屋・夜

   一人で席に座って飲んでいる那智。

   少し急いだ様子で店に入って来る美咲。


那智:(入り口でキョロキョロする美咲を見つけて)あ、こっちこっち~

美咲:あ、那智!

那智:お疲れ様

美咲:お疲れ様~! ごめん、待たせちゃって!

那智:全然、大丈夫だよ。私もほんの少し前に来たところだから

美咲:本当に?

那智:本当

美咲:じゃあ、そのウーハイは一杯目?

那智:一杯目だよ

美咲:えぇ! 那智にしては珍しい! 今日は最初の一杯目はビールじゃないんだ?

那智:今日はビールって気分じゃなかったからね。美咲は? 何飲む?

美咲:う~ん……那智はこのあと何飲む?

那智:美咲に合わせるよ?

美咲:う~ん……悩む……

那智:(微笑んで)何と何で悩んでるの?

美咲:いや、夏らしくモヒートにするか、それとも白のサングリアにするか……

那智:そこで悩んでるの?

美咲:そこで悩んでるの

那智:その心は?

美咲:だって、那智と飲めるってことは最終的にワインに挑戦できるってことでしょ? だったら、下手にお酒のちゃんぽんしないで、大人しくワイン系にしとくか、それとも最初の一杯くらいは夏らしいのを飲んでもいいのか……

那智:なるほど。美咲、お酒飲めるようになりたいって言ってたもんね

美咲:うん! 那智も環奈も飲めるから、私も飲めるようになって仲間に入りたいなって!

那智:今のままでも十分に仲間じゃない

美咲:でも、やっぱり一緒のもの飲んで、「あ、これおいしいね!」とか「ちょっと、ハズレだったかな?」とか言い合いたいじゃん!

那智:なるほどね。美咲、ちなみに明日は?

美咲:おやすみでございます! 那智は?

那智:奇遇ですな。私もお休みでございます

美咲:やった! じゃあ、遅くまで一緒に飲んでいられるね!

那智:美咲が早々にダウンしなければね~

美咲:大丈夫! ゆっくり飲むから!

那智:そうしてくださいな。お酒は量を飲むものじゃないからね

美咲:味と食事と会話を楽しむためのもの、だよね?

那智:そうそう

美咲:じゃあ、モヒートにしようかな!

那智:おっけ~。じゃあ、パネルで頼んどくね

美咲:ありがとう! あ……

那智:ん?

美咲:那智も明日お休みなら、環奈も誘えばよかったね。三人でまたいっぱい話したかったのに!

那智:……あぁ……

美咲:この間は私が先に潰れちゃったからさ

那智:……うん……そうだね……

美咲:ん? 那智、どうしたの? なんだか遠い目してない?

那智:ううん、大丈夫だよ

美咲:そう?

那智:うん

美咲:あ、私、ポテトとエイヒレ食べたい!

那智:もちろん頼んだよ

美咲:流石、那智! 私のことわかってる~

那智:当然。もう何年の付き合いだと思ってるのよ?

美咲:う~ん……何年だっけ?

那智:えっと……何年だっけ?

美咲:那智も覚えてないんじゃん!

那智:嘘嘘、覚えてるよ。大学時代からだから、もう十年以上だね

美咲:だね~

那智:あの頃が懐かしいな~

美咲:ね?

那智:初めて会った頃はお互いに敬語だったし

美咲:確かに! あれだよね、初めて会話したの新入生のガイダンスの時だよね? 大教室で自由席で、私がどうしようって思ってたら那智から声かけてくれてさ

那智:そうそう。なんか不安そうにキョロキョロしてる子がいるな~って思って声かけたんだよね

美咲:あの時は本当に助かったよ~。私、人見知りだから、本当に不安でさ~

那智:それで、その後、講義でよく顔を合わせるようになってさ

美咲:あぁ、山下教授の講義ね。あれは眠かったな~

那智:ね~

美咲:でも、うかつに寝れなかったよね

那智:こらこら、そもそも講義は寝るもんじゃないでしょ

美咲:えぇ? そういう那智だって寝ないように必死にブラックコーヒーとか、ばれないようにガムとか噛んでたじゃん!

那智:(苦笑して)あの講義はね~。テストがレポートならいいんだけど……

美咲:ちゃんと教科書があるのにテスト問題はほぼほぼ教授の雑談から出されるっていう

那智:理不尽だったよね~

美咲:私はあれで人生に教科書は意味がないってことを学んだよ

那智:教科書はあくまで基礎知識の教本だからね

美咲:ね~。だから、私、いっつもテスト前に那智と環奈にノート見せてって泣きついてたよね~

那智:あぁ、そんなこともあったね

美咲:本当、二人がいなかったら私、あの講義の単位落としてたよ!

那智:まぁ、あれはほとんど環奈のおかげだけどね

美咲:ね! まさか教授の雑談の大事な所、ピンポイントで全部書き留めてあるなんて……しかも、見やすかったし

那智:あれは感動だったよね

注文したものが運ばれてくる。

美咲:(店員に)あ、モヒート私です! ありがとうございます!

那智:よし、じゃあ、改めて乾杯しようか?

美咲:うん! じゃあ、せーの!

那智:乾杯!

美咲:乾杯! ん、おいし~

那智:お、チョイスは正解だった?

美咲:うん! 正解! お通しもおいしい、最高!

那智:ならよかった

美咲:うん! でも、そっか~

那智:ん?

美咲:あのときからもう十年以上か~

那智:そう考えると感慨深いよね

美咲:そうだね。ねぇ、那智

那智:何?

美咲:いろいろとありがとうね

那智:どうしたの?

美咲:何かいろいろ思い出したら、お礼を言いたくなったの!

那智:そっか

美咲:そう。だから、ありがとう

那智:私からも

美咲:え?

那智:ずっと友だちでいてくれてありがとう。これからもよろしくね

美咲:……那智……

那智:ほらほら、泣きそうにならないの

美咲:だって~

那智:もう、美咲は本当に素直だよね

美咲:え?

那智:嬉しいことは嬉しい。悲しいことは悲しいってきちんと表に出せるのっていいことだと思う

美咲:……那智

那智:まぁ、その反面、優しすぎるから心配なんだけどね

美咲:え?

那智:なんでもかんでも自分で背負い込む所があるからさ

美咲:……うっ……

那智:これからは、そういうのもっと遠慮せずに言ってよね

美咲:……努力します……

那智:そうしてください。って言ってもなかなか言ってくれないのはわかってるから、これからも定期的にご飯行こう

美咲:うん! 那智も何かあったら言ってね!

那智:もちろん、困ったときはちゃんと美咲のこと頼らせてもらうよ

美咲:うん! ……あぁ~!

那智:ど、どうした?

美咲:懐かしい話してたら、環奈にも会いたくなってきたよ~

那智:あぁ

美咲:う~ん……環奈とも語りたい!

那智:じゃあ、環奈も呼んじゃう?

美咲:え?

那智:環奈、今日職場の先輩たちとご飯だって言ってたからすぐには無理だけど、確か明日は休みだって言ってたし

美咲:お?

那智:いい時間になったらうちに集合して、ゆっくり女子会でもしようか

美咲:本当に?

那智:うん。ちょっと、環奈に連絡入れてみる

美咲:やった! 那智の家での宅飲みとか久しぶりだね!

那智:だね。あ、だから、あんまりここで飲んで潰れないようにね!

美咲:そうだね! お水飲みながら、ゆっくり飲むことにする

那智:そうしてくださいな

美咲:ねぇねぇ、那智!

那智:ん?

美咲:改めて、これからもよろしくね!

那智:うん



―幕―



2021.08.09 ボイコネにて投稿

2022.09.29 加筆修正・HP投稿

お借りしている画像サイト様:フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)

Special Thanks:なちゅん様、みけれこ様