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Φ フィボナッチ数列 Φ

2018.03.01 07:12

http://www.geocities.jp/southcloud325/Bartok4.html  より

○フィボナッチの数列について…

F1=1

F2=1

Fn+2=Fn+Fn+1 (n≧1)

○ これがフィボナッチの数列ですが…具体的に書くと

1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55,89, 144, 233, 377, 610, 987, 1597…となります。

初項 1,第2項 1として,隣り合う項の和が次の項の値となるような数列をフィボナッチ数列という。

(1+1=2 1+2=3 2+3=5 3+5=8 …)

まずは、これが基本になります。これをどう生かすかという前に…フィボナッチの事について少々…

フィボナッチは、12世紀、イタリアのピサ市出身で父は貿易商を営んでいたと言われています。その環境のせいでしょうか、各地を旅行し数学の勉強をしています。特にアラビア数字に興味を抱いたらしく「算板の書」という本を出版しそこにフィボナッチ数列が出てきます。他にも、円周率…イタリア語の「ZERO」の語源を作った人であります。ちなみにフィボナッチとは、ボナッチの息子という意味らしいです。

○ このフィボナッチの数列は、自然界によくあることらしく最初の例はウサギ増え方だったみたいですが、よく例に挙がっているのは、木々の枝分かれです。その他にも巻き貝の成長なんかもあるみたいですがここでは木々の枝分かれを使って説明します。

○ 木の枝は、最初は2本になり次の年は、片方に栄養が偏り3本になる…(最初の年は1本、次の年は1本増える、その次の年は2本増える、その次の年は3本増える…)

○ ここで注目して欲しいことは…

5÷8=0.625 8÷13=0.61538… 13÷21=0.619047… と、先に述べた黄金分割、0.618…に数字が近いと言うことです。黄金分割が先か、フィボナッチの数列が先か、はたまた同時に目をつけたのかはわかりませんが、この2つはかなり密接な関係があると言えるのでそれはどちらでも良いように思えます。作曲という作業は、意外?と今でも数字を意識することが多いので、先に述べたこととダブルので詳しくは言いませんが地域性も大きいように思えます。

○ 楽曲構成力

作曲するときは、本能の赴くままに、曲を書くこともありますが、最初からおおよその構成を決めていることもあります。そのときに、このフィボナッチの数列を活用することによって、かなり強固の構成力を持っていると言っても良いと思います。それは、この数列を使ったからではなくて、色々考え、確固たる意志の元で書かれたからその力を持ったことを念のために付け加えておきます。確かに、今となっては本当にバルトークが意図的に強くこのような数列を用いたのかと聞かれたら私もはっきりと使っているとは言えません(笑)想像の域に出ないので…ただし、なんにせよ確固たる構成力を持って書かれていることは確かです。この数列が偶然はいってしまったとしても何か違った物で書かれていることでしょう。今もってわかることはこの数列なのかもしれない…他の物が見つからない…程度のことだと思います。

具体的にどう使われているのかというと…色々な曲に活用されていますが(と、言われています)有名どころの曲ですと「弦楽器・打楽器・チェレスタのための音楽・第一楽章」を使って一つ説明しようと思います。

全部で89小節あります。これを数列に当てはめると

1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55,89となります。

まず、前半を55、後半を34に分けることができます。

その前半部分も34と21に分けることができます。最初は静かにppから始まるのですが、35小節目から弱音器をはずします。

そして、55小節目が終わり、56小節目の始まりの合図として?ffになり打楽器が一発はいります。

後半部34小節も、後半部(56)から数えて21小節目まで引っぱり22小節目で弱音器を装着します。そこから一楽章の終わりまで数えて13小節です。数式で書くと?

(34+21)+(21+13)=89

上の数式と見比べてみてください。強引なこじつけと思われても仕方ないところもあるのですがびったりはまっています。

なおどうして、56小節目がクライマックスだとわかるのかというと、第一楽章は海(バルトーク曰く)の主題からなるフーガなのですが声部の入り方がちょっと変わっています。どう変わっているのかというとふつう声部の入りは属調か主調なのですが、ここでは先に述べた中心軸システムを使っています。そして、最初の調がAですので一番遠い調はesになります。このesに到達するのが56小節目です。

余談ですが、第2楽章も聞いていてすぐわかると思います。199小節目に何とも言えない爽快感があります。すごく単純な和音構成で半音移動しているのですが、リズムは強烈ですね。まさにバルトークです。ちなみにここでピアノに味付けをしている弦のピッチカートはバルトークピッチカートと言います。そしてこの199小節目…2楽章は520小節ですので…そういうことです。

 演奏をしなくてはいけないのならともかく聞くのにここまでの知識はいりません。でも、たまには家でCDを聞くときにポケットスコアーを片手に、ちょっとした発見をするのも楽しいかもしれません。バルトークの曲はそういった点、かなり楽しい?曲が多いかもしれませんね。

余談

数学と音楽はかなり近いところにあることを先に述べましたが、その中でもピタゴラスの関わりは大きいと思います。そしてピタゴラスと黄金分割も近い存在です。かつて「ピタゴラス教団」というものがありました、その教団の主張はこの世の中の物はすべて数で表せるという物でした。ピタゴラス教団のシンボルマークは…

こういった形です(ペンタグラム)。この中には黄金分割の比が入っています。よって、ペンタゴンにも、北海道の五稜郭にも採用?されているとおり美しい形だと思います。がしかし、ここに大きな落とし穴が…

 数によって表せるという教えと、相反する形だからです。黄金分割は、無理比であり無理数です。ユークリッドの互除法が永遠と続くわけですから…

 音楽も何かを表現したいという願望の元で作られることが多いのですが、そこには相反する物があると言うことを覚悟しておかなくてはいけません?なんて思ったみたりします。バルトークもアメリカに亡命する3年前~直前までに傑作と言われている曲が並び先に書いた手法?もよくマッチして調和がとれていると思います。アメリカ亡命をきっかけに手法に固着してしまうと、大事な部分が抜けてしまったわけではないと思うのですが…この時代の曲を超えるような物が出てきませんでしたねぇ

 かくいう私も、いまだに、このペンタグラムを構成に使っているのですけど…機会があったらまたそのときに…