Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

旅のチカラ、旅のカケラ

スローライフ、はじめました

2009.03.01 12:45



イースター島の宿『ミニノア』は

小さな格差社会である。


運よくというか、贅沢をして個室を取ったため

1泊の料金は15000ペソ(約2500円)と、

テント客の実に3倍の料金である。

でも、その差は歴然だった。

キッチンはキレイだし、食器や調理器具が充実。



ちなみにテント組は、

番号が書かれた皿を各自3枚ずつ支給され、

競争の激しいキッチンで切磋琢磨している。

シャワーはホットシャワー(テント組は水シャワー)だし、

共有スペースも屋内(テント組は外)。



一番大きな違いは電気が自由に使えること。

テント組は深夜0時になると消灯なうえに、

コンセントを使用するのに

1日2000ペソ(約300円)徴収される。

ナミビアで出合ったタカさん夫妻も、個室暮らしを見て

「げっ、暮らしのレベルが違う…」と驚いていた。

こんな孤島にも“格差”の波は押し寄せているのだ。



さて、今日はレンタバイクで島を一周するつもりだ。

スローな島時間に流され、気がつけばすでに正午!

いくら日が長いとは言え、いい加減出かけなければ…。

セントロと呼ばれる町の中心までは長い、長い一本道。

日陰を選び、道行く馬や昼寝中の犬を追い越して歩いた。


「ノ、ノ(ないよ、ない)」


えぇ、遅かったか…。

昨日見つけた一番安いレンタバイクはすべて出払っていた。

この店は1日16ドルで、他の店は20ドル。

日本にいるときの400円差なら大して気にならなかったが、

この旅では100円=1000円くらいの金銭感覚だから

今日はあきらめておとなしく宿に帰ろう。



土産店を覗きながら、とぼとぼと元来た道を引き返した。

宿に着くと同時に大粒の雨が落ちてきた。

雨は嫌いだが、バイクを借りなくてラッキー。

軒下のベンチに腰掛けて

大慌てでテントを守る人たちを眺めていた。


「カズさん、マグロ要ります?」

タカさん夫妻が声をかけてきた。

ここイースター島ではマグロが水揚げされ、

市場で丸ごと1匹買うことができる。

1匹あたり7~10㎏あり、値段は1㎏あたり約500円。

当然ひとりじゃ食べきれないので、何人か仲間を集い、

シェアするのが日本人バックパッカー。

皆、このマグロに期待し、

醤油とワサビを持ってイースター島に渡っている。



そうそう、この島は日本人だらけで、

今いる宿にも常時10人は日本人旅行者がいるし、

島全体で言えば100人近い数字になる。

こんなにも遠い島なのに、日本人ってモアイ好きなんだね。

島の人からしたら、

モアイよりも不思議な存在なんじゃないかな?



市場にマグロを調達に行っている間、

ベッドに横になり、降ったり止んだりする雨音を聞いていた。

ときおり強い風が抜けて椰子の葉がざわめく。

雨の匂いと、潮の香りが混ざり合った午後は、

穏やかな時間に身を任せた。

そしていつしか眠りについた…。


目が覚めると、暑さが和らぎ雨も上がっていた。

雲の切れ間から光のカーテンが垂れ、

心地良いような、淋しいような気分にさせた。


「マグロ、今はシーズンじゃないそうで、

入荷は難しいそうです…」



残念ながらマグロにはありつけなかった。

「で、甲太郎で海鮮丼食べて来ちゃいました♪」

え、マジで!?

いくら、いくらよ?

『甲太郎』とは、イースター島にある日本食レストランで、

ラーメンや定食、寿司が食べられる。

中でもおススメは「海鮮丼」で、

お値段なんと7500ペソ(約1400円)…。

うーん、高いけどソソられる!


To Be or Not To Be

行くべきか、行かざるべきか…それが問題だ。


やっぱ無理だよなぁ、でも最終日にお金が余ってたら(期待)

格差社会の下克上か!?

くぅ、海鮮丼食べたいよー。

テントにして、その浮いたお金で美味しいものを食べる

という選択肢もあったな…。



最近はめっきり料理に目覚め、

毎日のように自炊をしていて、しかも楽しい。

料理の知識はないが、向いてなくはないようだ。

自慢ではないがかなり手際がいいと思うし。

そこで今夜はカレーを作ることにした。

海鮮丼に負けず劣らずの魅惑のメニュー♪



商店でじゃがいもと玉ねぎを買い、

ニンジンと肉は散々迷った挙句に断念した。

キッチンにピューラーがあったので

じゃがいもの皮も楽勝!

玉ねぎと一緒に炒めてからルーと一緒に鍋に放り込んだ。

ご飯もうまく炊き上がった。


「今夜は何作るんすか?」

来たな(ニヤリ)

海鮮丼のお返しとばかりにカレー自慢をし、

モアイのように胸を張った。どうだ(笑



カレーはすこぶる旨かった。

たっぷり2合半を完食し、

その夜はなかなか寝付けないほどお腹が張った。

でも幸せ。



イースター島で過ごすスローライフは、

旅の終わりを感じさせた。

もう、これ以上の感動には出会えない気がする。

心のベスト10、第1位にこの島を挙げたい。