咳の漢方:麦門冬湯
薬剤師ライターのみきです。
今回の漢方は咳の漢方、麦門冬湯を解説します。
麦門冬湯は『バクモンドウトウ』と読み、咳の症状がある場合に利用することが多い漢方薬です。
かぜなどでよく残ってしまうのが咳。
『熱も身体のだるさも治まったのに咳だけが残ってしまって・・・』
『夜になると咳が出て止まらないんです』
と、薬局を訪れる人も少なくありません。
咳にも色々なタイプの咳があるのですが、乾いた咳に使われるのが今回解説する漢方薬、麦門冬湯です。
構成している生薬
麦門冬湯は6種類の生薬で構成されています。
①麦門冬(バクモンドウ)
ユリ科のジャノヒゲの根の膨大部を乾燥したもの
五気:寒 五味:甘微苦
②半夏(ハンゲ)
サトイモ科の植物でカラスビシャクという植物の球茎の皮を取り除いて乾燥したもの。
五気:温 五味:辛
③大棗(タイソウ)
クロウメモドキ科ナツメの果実を乾燥したもの
五気:温 五味:甘
④甘草(カンゾウ)
マメ科の植物でカンゾウ属植物の根茎を乾燥したもの。
五気:平 五味:甘
⑤人参(ニンジン)
ウコギ科のチョウセンニンジンの根を乾燥したもの
五気:温 五味:甘、苦
⑥粳米(コウベイ)
イネ科のイネ種子を乾燥したものです。うるち米の玄米にあたります。
どんな人に向いてる?
慢性の炎症や消耗性の疾患のために胃液が少なくなった結果、気道の粘液も乾燥気味になり、外部からの刺激を受けやすくなっている状態の時に使われる漢方薬です。
比較的ほっそりしている人や高齢者、妊婦さんに適したものです。
麦門冬には胃や肺を潤して、咳をしずめていく効果があり、半夏にはのどに詰まった痰を取り除く作用があります。
咳と言っているのに、胃の状態の改善も含んでいるのは、
この漢方薬が『病は肺にあるが、その源は胃である』という考えが元になっているためです。
したがって、胃が正常に潤えば自然と肺や気道も潤ってくるという考えです。
他にも効果がある?
麦門冬湯には咳を鎮める効果の他にかすれ声や気管支喘息、気管支炎の症状を緩和する効果もあります。
かすれた声が出るのは口やのどが乾燥しているのが原因なので、潤すことで症状を改善していきます。
但し、黄色の痰が出るような咳にはこの麦門冬湯は効果を発揮することができません。
そんな場合は同じ咳の症状に使う『麻杏甘石湯』という漢方薬が使われます。
これは次回に解説していきます。