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旅のチカラ、旅のカケラ

こんな時間もこの街にはよく似合う

2009.03.13 14:45



久々にヤバイ…!?って思っちゃった。

すごい、スゴ過ぎるよ、クスコの街並み☆

絵本から抜け出した街? いやいや、

こっちが絵本の世界に吸い込まれたみたい。



昨夜の夜行バスでプーノからクスコへと移動した。

バスはセミカマを選択し、

所要時間8時間、運賃は25ソル(約750円)だった。


「そのバスは危ないから!」

そう、旅行代理店の人から忠告を受けていたので

カメラや新しいパソコンが入ったリュックを

大事に抱えて眠った。



そして早朝4時、早すぎる到着だった。

「早朝のクスコは首絞め強盗が多い」

これも事前に知らされていた危険情報。

夜明けまでターミナルで待つ覚悟でいたが、

バスが到着するなり客引きに囲まれた。

おっ、久々だな、このアジアな感じ(笑

とりあえず値段を聞いてみると嘘みたいに安いし、

こんな早朝から泊めてくれるのはありがたい。

一番安かった『カサデラ・アブデラ』に泊まることにした。



いやぁ、これが大正解!

こんな早朝にも関わらず手厚い歓迎で向かいいれてくれるし、

部屋(個室)も悪くない。

キッチンも付いてるし、インターネットもタダ同然の安料金。

今から寝たら2泊するようなものなのに、

たった10ソル(約300円)だよ!ありえねぇ~。

早速毛布に包まって、静かな朝の中で眠りについた。



クスコは太陽神を崇拝するインカ帝国の都として栄えた。

ケチュア語で「ヘソ」を意味するこの都市には、

インカ時代、世界の中心地とされていたそうだ。

ところが16世紀になるとスペイン人の征服がクスコにも及び、

インカ帝国は一瞬にして崩壊する。



征服者たちは太陽の象徴である黄金で彩られた神殿や宮殿を破壊。

インカが築いた礎石の上にスペイン風の教会を建設していった。

そのため、この街にはインカ時代の精巧な石組みと、

コロニアルな建築物が融合した独特な雰囲気が漂っている。



最近は遺跡よりも旧市街歩きが好きだ。

まるで遺跡のように古い街並み、

そこに人が住んでいるのだからワクワクせずにはいられない。

悠久の歴史が今なお生きていて、

少しずつその姿を変えている。

石畳の道に靴音を響かせながら、

細い路地の先に夢を膨らませ歩いた。



「カミソリ1枚通さない」

そんなフレーズで知られるインカの強固な石組み。

カミソリ1枚どころか、一枚岩にしか見えない壁が続いていた。

スゴイ、スゴイ。

歴史の中にいる!遠い、遠い昔の世界。

目を閉じれば、そのまま中世へとトリップできそうだった。



突然だが、好きな旧市街ベスト3を考えてみた。

この旅で訪れた国は43。

いったいいくつの旧市街を歩いただろう?


第三位

「オールドサナア」(イエメン)


そこはアラビアンナイトの世界。

独自のイエメン建築の美しさと、

マッチ箱のような家々が建ち並ぶ街並みは忘れられない。


第二位

「エルサレム」(イスラエル)


キリスト教、イスラム教、ユダヤ教。

それぞれの聖地が隣り合った複雑な街。

あのイエスが十字架を背負って歩いた

ビアドロローサ(悲しみの道)も残されている。


そして第一位にここクスコを挙げたい。



すり鉢のような街を見渡したいと思い、

高みを目指して歩いた。

素朴な日干しレンガの屋根、

曲がり角1つ過ぎる度に胸を躍らす街の表情、

街中に細く伸びる階段は大好きな尾道(広島県)を思い出させる。

何度もため息をこぼしながら街並みに見惚れた。

高台から街を見渡したとき、

今自分がどこにいるのかを忘れてしまうくらいに圧倒された。



そして、無情の雨が突然空から落ちてきた。

街を濡らし、人々の足を速める。

通りのカフェに逃げ込み、

温かいレモネードを飲みながら、雨があがるのを待った。



雨を待つ、こんな時間もこの街にはよく似合う。

時間がゆっくりと流れているからだろう。