Lens Series E 75-150mm F3.5
”レンズシリーズE”は、Aiニッコールのsシリーズと同時期に販売されていた廉価版のラインナップである。このシリーズのレンズにはエンジニアリングプラスチックが多用されており、軽量に仕上がっている。
この75-150mm F3.5は私のお気に入りのレンズである。そのズーム範囲ゆえに用途が限られており、必ずしも持ち出す頻度は多くないが、シャープで階調表現に優れる描写力と、単焦点なみのコンパクトさが優れている。
ニコンレンズシリーズE 75-150mm F3.5の良い点を挙げると次のとおり。
・ 望遠系のズームレンズで、開放F3.5としては画期的に小さく軽い。
・ フォーカシングスクリーン上でピントの山が掴みやすく、MF操作が楽しい。
・ 円筒状の端正な外観が、さまざまなカメラによく似合う。
このレンズを使っていて気になる点は次の通り。
・ このレンズは、いわゆる直進式ズームレンズであり、ズームリングとピントリングが一体化した構造であるが、ズームリング(兼ピントリング)の前後の動きが軽すぎる個体が多い(「スカスカ」などと表現される)。そのためにズームレンジの中間領域を使うことに困難がある。中間領域において、ピント合わせのためにリングを回すと、同時にズームの位置が変わってしまう。ただし慣れの問題であり、撮影できないほどではない。
このレンズは携帯性に優れる中望遠ズームレンズを探しているカメラマンに向いている。
描写性能に関しては「単焦点並み」と言われるが実感としてそのとおりである。このレンズの構成で、そのまま最新のレンズとして販売しても大丈夫ではないかと思うほどである。
人物を撮ると自然な階調とボケを伴い立体的に写しとることができる。開放絞りF3.5から十分実用になるので室内での撮影にも使うことができる。
中古市場では豊富に流通しており、非常に安く入手できるが、実際に使ってみる価値のあるレンズである。
【スペック】
レンズ構成: 9群12枚
最小絞り: 32
最短撮影距離: 1m
フィルターサイズ: 52mm
最大径×全長: 65mm×117mm(全長125mm)
重量: 520g
フード: HN-21
希望小売価格(税別): ¥54000
[参考] ニッコール千夜一夜物語 第四十二夜
https://www.nikon-image.com/enjoy/life/historynikkor/0042/index.html
作例1 焦点距離150mm、絞りf3.5