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Ai AF Zoom Nikkor 35-70mm F2.8s

2022.09.30 10:44

このAi AF ニッコール 35-70mm F2.8sはFマウントがAF化された頃の高級レンズである。

評判通りこの時代の名レンズである。


Ai AF ニッコールの 35-70mm F2.8は次の2種類ある(発売順)。

 ① Ai AF ニッコール 35-70mm F2.8s

 ③ Ai AF ニッコール 35-70mm F2.8D → レンズ構成に変更はなく、距離エンコーダが内蔵された。レンズのコーティングが変更されている。

冒頭の写真に写っているのは①である。

この記事の作例には②で撮影した写真も含まれる。


このレンズは35-70mmという地味なスペックのズームレンズであるが、自然と持ち出し率が高くなるレンズである。その理由は、

 第一に、コントラストが特に強調されることなく、自然なトーン(階調)がよく出る。中間調が豊富で暗部もしっかり描写される。

 第二に、解像が細かい(線が細い)ので素材や肌の表面のディテール描写に優れる。輪郭の強調によることなく、自然に輪郭が描き出される。

 第三に、アウトフォーカス部分へのボケがなだらかであり、合焦部分との関係が視覚的に良好である。

以上の性能によって、被写体像が浮き出るような三次元的な立体感が感じられる。


なお、開放絞りf2.8でも、細かく解像しているものの、わずかにソフトフォーカス気味になる。f3.5くらいから実用的にシャープになる。


Ai AF ニッコール 35-70mm F2.8sの良い点を挙げると次のとおり。

・ 上記のとおり自然な立体感のある描写性能。

・ 望遠端も含めて開放絞りがf2.8であり、室内など光量不足の場面でも使い勝手がよい。

・ 絞りf2.8ではわずかにソフトフォーカスになるが、ポートレートでは、肌が滑らかに描写され、よい雰囲気となる。

・ ニコンのf2.8通し標準ズームレンズの中ではコンパクトである。

・ 総金属製であり頑丈である。高級感も感じられる。


このレンズの留意点は次のとおり。

・ 中古品として流通しているレンズは、内部のレンズ(G9)にクモリが生じているものが多い。このクモリは、レンズを分解清掃してもとれない場合が多い。

・ フレアが生じやすく、逆光時に限らず、画面中に明暗差がある場面で、画面全体が低コントラストに写ることがしばしばある。撮影後にコントラスト調整が必要になる。


このレンズは、どのズーム域でも、f3.5の明るさから確実に撮ることができるレンズ。

人物のスナップ撮影など、ズーム範囲が狭くても構わない被写体の場合、非常に便利である。

また、少し絞れば細密な描写をするので風景写真にも向いている。 

ただしドラマチックな光線の場面で役に立たない時がある。



【スペック】 ※Dタイプ

レンズ構成: 12群15枚 (EDレンズ0枚、非球面レンズ0枚)

最小絞り: 22

最短撮影距離: 0.6m(0.28m:35mmマクロ時)

フィルターサイズ: 62mm

最大径×全長: 71.5mm×94.5mm

重量: 665g

フード: HB-1(別売)

希望小売価格(税別): ¥105,000 ※終売時点



作例1 焦点距離52mm、絞りf3.5

作例2 焦点距離58mm、絞りf8

作例3 焦点距離35mm、絞りf3.5

作例4 焦点距離44mm、絞りf5.6

※本記事の作例において、画面の一部、たとえば空などの部分に等間隔の縞模様が生じているが、これはJPEGファイルのデータサイズを小さくするため、圧縮率を上げていることが原因である。レンズやカメラの性能とは無関係である。