やり手のサロン(カット専門店)は客単価ではない。『分単価』を重視している
客単価UPでは勝てない時代が来た
できるサロンは客単価よりも『分単価』を上げている!
理美容室において、従来客単価というものは売上基盤を作る上で大変重要なものでした。
そのため、客単価を上げるためにパーマ、トリートメント、店販商材の提案など、お客様にお金をたくさん落としていただく工夫が美容院の方針として多く見られました。
しかし、その一方で残業廃止やスタッフの待遇改善など、サロン側が人材に対して考慮しなくてはいけない場面は昔よりはるかに多くなっています。
そうなると以前より人件費の重みが増し、1人のお客様でいくら売上を作れるかということよりも、1人のスタッフが時間内にいくら売上を作れるかということが大切になってきます。
スタッフの売上については、客単価よりも時給換算した場合の効率が重要になってきます。
今まであいまいだった『分単価』を見直す時期が来たのです。
分単価の頂点はカット専門店だ
人件費の重みに気づいた理美容室は分単価を意識し始めています。
そのもっとも分かりやすい例が1000円カットでおなじみのカット専門店のQBハウスです。
2019年2月に1000円から1200円に値上げをし、2023年4月には1350円にたので今は1350円カットですが、1000円カットの走りであり、10分1000円のカット専門店という他者との差別化で格安カットのブームに火をつけた美容院です。
QBハウスは、カットのみの潔いオペレーションです。
ヒアリングやマッサージの時間といった付加価値どころか、カラー、パーマ、シェービング、シャンプー&ブローといった理美容院では当たり前のサービスも全て排除しています。
オペレーションをシンプルに削ぎ落すことでミニマムなセット面回転を実現。
まさに分単価に重きを置いた良い例です。
もちろん、短時間で回転させなくてはいけないので、スタッフの質は非常に大事になってきます。
また、シャンプー&ブローの代わりにエアウォッシャーを導入したり、カットの際に使い捨てのネックペーパーを首に巻くことで、シャンプーなしでもお客様が気持ちよく帰宅できる工夫もされています。
そのため、1997年の立ち上げ以来右肩上がりに成長を続け、2018年には東証一部上場を果たしています。今年2月の200円値上げの影響に注目が集まっていましたが、客足は衰えず、株価も安定しています。
カット専門店は短時間・高単価を考えた際に、非常に効率が良いシステムです。
1000円で髪が切れると考えるとすごく安い!というイメージがわくと思いますが、実は60分で換算すると6000円もします。
6000円のカットって決して安くはない金額です。
下手したら、普通の美容院の方が安いケースもあります。
分単価に重きを置き、余計なものをそぎ落とす企業努力で他社との差別化に成功したのがカット専門店です!