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癒し

2022.10.01 06:14

Facebook山地 弘純さん投稿記事 【告知】高野山心の相談員オンライン研修会の参加者募集!!

 昨年度の高野山心の相談員オンライン研修会について、ニュースレターに寄稿させていただきました。

 今年も行われるオンライン研修も非常に充実しているので、ぜひ大勢が参加していただけたらと思います。

 どなたでも心のことに興味がある方は顔見せも挨拶もせずに受講できますので、学びの初心者も上級者もなくぜひお気軽にどうぞ。

 ☆  ☆  ☆

『心の相談員オンライン研修会のアウトプット』

   (11期生 山地弘純)

 コロナ禍により生活スタイルは一変した。外に出て発散してきたことができにくくなり、内側に向き合うことを迫られている人も多いだろう。

 僕自身も家族と向き合う時間は増えているが、それがストレスにならずに過ごせているところには、実はこの心の相談員による学びの存在が大きい。

 思い起こせば十年ほど前、夫婦関係に悩み、心が穏やかざる時があった。

 あの頃は相手の価値観を認めることができないのに、自身の価値観を相手に認めさせようと躍起になっていた。

 自分の中にある物差しを基準にした正しさで相手を裁いていた。

 自分は変わりたくないのに、相手に変わることを求めていた。

 そんなお互いを縛り合うような言い合いの中から、少しづつでも弛め合う聴き合いができるようになっていったのは、きっとこの学びがあったからだ。

 お互いに変わることを求めずありのままを認め合おうと話した時から、逆に関係は一気に望む方向へと変化したような気がする。

 もちろん今でも喧嘩はするけれど、二人の摩擦から生まれた問いの答えは、二人の真ん中にあると知っている。

 妻が今でもしみじみと言うのだ。「あなたが心の相談員に行ってくれて本当によかった」と。

 このようなことがあって、心の相談員ネットワークは僕にとって特別な思い入れを感じる場所となっている。

 さて、コロナ禍による喪失ばかりがピックアップされやすいが、逆にその恩恵もある。

 まさにこの心の相談員のオンライン研修会もその一つであろう。

 素晴らしいクオリティーの講習を一年間に五本、しかも会員ならば無料で受講することができるのだから何と贅沢なことか。

 そしてその全ての講習が僕にとってタイムリーなものだったからたまらない。

 簡単ではあるがアウトプットさせていただこう。

 野呂靖先生からは自死の捉え方を学び、仏教が自殺を否定も肯定もしていなかったことや、時代の中で僧侶の主張が変わっていったことなどから固定観念を弛めてもらった。

 なにより、古きを大切にしながらも新しい生き方の指針を作っていくことが大切なのだというスタンスが僕の心に響いた。

 その翌日に僕自身が自死された方の葬儀を依頼されたことには、なにかの不思議な巡り合わせのようにも感じた。

 今後も教えていただいたように仏教という立場で相手に語ることなく、私の言葉で話し、そして「言う」よりもただ「聴く」ということの大切さを胸にもち、これからも関わることができたらと思っている。

 渡辺啓先生からは森づくりについてのお話。環境が自らを作っているのだからこそ、自らが環境を作ることが必要なのだと教えていただいた。

 森づくりと心の相談が何の関係があるのだと思う方もあったかもしれないが、心と環境は表裏一体であることを皆が理解できたと思う。

 自伐型林業という存在を知ることができたことも嬉しい。

 僕もたまたま近年自分達でできる皮むき間伐の「きらめ樹」という活動に関わらせていただいていて、お寺の裏山に分け入り、子供たちや女性たちも含めた仲間で楽しくワイワイと杉や桧の皮を剥き、立ち枯れさせては伐採している。

 草も生えない暗い人工の森に光が入り、明るく森は蘇っていく姿を見ながら大地や樹に触れるのはとても気持ちよく、自分もこの大生命の循環の中に身が溶けてしまうような気がする。

 人の心が森から分離してしまいがちな昨今、このお話を心の相談員の場でしていただけたことは本当にありがたかったと思う。

 山添正先生からはフィリピン戦跡をオンライン旅行させていただくような時間を過ごさせていただいた。

 隣寺の住職の祖父がモンテンルパの父・加賀尾秀忍師なのでお名前だけは知ってはいたが、初めて何をされた方か知ることができた。

 戦犯受刑者の苦しみの道を共に歩く心強き存在と、そこで大きな役目を果たした音楽の力に、熱いものが僕の体中を駆け巡った。

 今まさに戦争が起きているが、勝つ方にも負ける方にも人の心はあって、それはどちらもケアされるべきものなのだとわかる。

 山添先生の講義はいつもどこか哀愁を帯びていて、なんだか切ない。

 昨年の団塊の世代のお話もとてもよかった。

 柏木哲夫先生からは改めてケアの原点に立ち返らせていただいた。

 緩和ケアの原点を「支える」から「寄り添う」に変えたという言葉は強く心に残っている。

 上から目線をなくし、とことん対等な目線を追求する姿勢が大切なのだ。

 また、「寄り添う人に求められる人間力の十か条」について、僕は先生へ「人間力を高めるにはどのような方法があるか」という質問をしたのだが、「一つ自分に欠けているものを選んで意識的に訓練する。それを日常の中で積み重ねるしかない」という、実に明解かつ腑に落ちるお答えをいただけた。

 このお言葉を宝物に、僕はやはり「聴く」訓練をもっともっと積み重ねていきたいと思う。

 森崎雅好先生からは自死遺族へのケアについて学んだ。

 その盛りだくさんの内容は、途中から消化しきれないほどのお腹いっぱい状態になったため、しっかりと何度も資料を読み返してみようと思う。

 印象深いのは、やはり先生の怒りの源である屈辱的体験を話してくださったことだ。

 それを聴きながら僕の中にある屈辱的な体験も蘇った。

 そうか、僕はそこで主体性を奪われたままだったから、それを取り戻そうと怒っていたんだなと非常によく理解できた。

 自死遺族へも、その他の心の相談でも、その人が身心のコントロール感を取り戻し、主体性を取り戻すまで寄り添うことなのだということを、しっかりとこの胸に刻みつけようと思う。

 以上、5名の先生方には素晴らしき知識と経験をシェアしていただき、心より感謝している。

 それを我々はしっかりと受け取って、やっぱりこの世界を共に生きる人たちとみんなで「生きててよかった」を分かち合いたい。

 ☆  ☆  ☆

【2022年度のオンライン研修会の詳細ついてはこちら】

https://kouyasan-kokoronet.jimdofree.com/%E3%82%AA%E3%83.../

■第1回 11 月4日(金)19 時~21 時

「1.グリーフやグリーフケアとは?自死の現状・自死遺族への関わり

2.両親との死別を経験して~自死遺族として哀しみとともに生きるということ~」

(講師 高山絵美先生)

■第2回 12 月2日(金)19 時~21 時

「異文化体験から考える日本人の宗教性」(講師 山添正先生)

■第3回 1月 16 日(月)19 時~21 時

「認知症とスピリチュアルケアを考える」(講師 玉置妙憂先生)

■第4回 2月 24 日(金)19 時~21 時

「わたしからはじまる ~悲しみを物語るということ~」(講師 入江杏先生)

■第5回 3月 14 日(火)19 時~21 時

「人はなぜ依存症になるのか~その理解と支援の基本」(講師 松本俊彦先生)