栄養について知ってほしい3つのポイント...①
はなおかIVFクリニック品川 花岡嘉奈子理事長と花岡正智院長のお話
2017年7月発行『i-wish ママになりたい 妊娠力を取り戻そう!』
はなおかIVFクリニック品川
花岡嘉奈子理事長
食事に関して、「従来の栄養指導は栄養のバランスを重視し、どの栄養素を何%摂ったらいいかという考え方が主流でした。これは間違ってはいませんが、正しいアプローチとはいえないのではと感じています」と花岡嘉奈子先生と正智先生は話します。今回は食事を中心に毎日の生活に取り入れやすい方法を教えてくださいました。
個々の努力が結果に影響する
■今回のテーマは、「妊娠力を取り戻そう! = 妊娠しやすいからだづくり」です。それに関して、先生からのアドバイスをお願いします。
私自身、以前は個人的な努力で妊娠に結びつくことはあまりないと考えていました。妊娠に深く関係する女性の年齢や卵の数は個人の努力では変えられませんからね。
しかし、不妊治療で体外受精の技術が確立された現在、それぞれの治療施設で結果にさほど違いはないと考えられます。そこで、この先どこでよりよい結果を出していくかを考えたときに「患者様自身の努力が必要になってくるのでは」と、考えが変化してきました。
現在の食生活を 否定するだけでは意味がない
■患者自身が努力できることとして、考えられるのは何でしょう?
食事のあり方と内容ですね。
栄養指導というと、よく「カップラーメンは食べちゃダメですよ」というように、現在の食生活を見直す形をイメージしがちですが、こうした栄養指導はほとんど意味がありません。
たとえば「コンビニ食を食べてはいけない」といっても、すでに私たちの生活とコンビニは切り離せないものになっていますよね!?
そんな状態なのにコンビニを否定したら、患者様はその時点でイヤになってしまうでしょう。実践できそうにない栄養指導で食生活を見直すなんて、そもそも無理な話です。
効果が実証されている栄養素を摂取する
■では、具体的に食事をどうしたらいいのでしょう?
1番目のポイントはすでに効果が実証されている栄養素に着目し、その栄養素が不足しているなら足していくことです。
効果が実証されている栄養素は何かとなると、まず、ビタミンDが挙げられます。ビタミンDは体外受精の成功率を上げるというエビデンスがあるのです。
次に鉄分。子宮内膜を厚くするときに必ず必要な成分です。女性は月経のたびに鉄分が大量に排出されるので、足してあげることが大切です。貧血がなければいいという話ではありません。フェリチンという貯蔵鉄の値をチェックすべきです。ただ、健康診断でフェリチンの数値を確認している病院はほとんどありません。
というのも、実はこのフェリチンはどれくらいで十分なのか、逆にどれくらいだと欠乏といえるのか、まだわかっていません。ただ、多くの女性は足りない状態だと予想されますので、当院では初診時にフェリチンを測定しています。すると、85%程度の方が50ng/ml未満です。
妊娠を目指すなら50ng/ml以上あってほしいと思っていますから、大半の方に必要だと感じて
います。