栄養について知ってほしい3つのポイント...②
はなおかIVFクリニック品川 花岡嘉奈子理事長と花岡正智院長のお話
2017年7月発行『i-wish ママになりたい 妊娠力を取り戻そう!』
はなおかIVFクリニック品川
花岡正智院長
食事で摂取できない分はサプリメントを利用する
■では、ビタミンDや鉄分が豊富な食材を摂取していけばいいのでしょうか?
食材でビタミンDや鉄分を十分に摂取するのは難しいので、サプリメントを利用するといいでしょう。
妊娠との関わりが深いとわかっているのでビタミンDのサプリメントは人工授精に入った方にはお勧めするようにしています。鉄については先にお話ししたように、大半の方が不足している状態です。
ほかにビタミンCやビタミンE、レスベラトロールなども挙げられます。これらの栄養素は酸化防止に効果的です。老いる、劣化する、腐るといった現象はいわば酸化なので、酸化防止に効果のあるこれらの栄養素を摂取するのも有効でしょう。
また、コエンザイムQ10や亜鉛、DHEA、L-アルギニンなど必要に応じて摂り入れるといいですね。
亜鉛は男性向けといわれますが、女性にもいいですよ。
日中、元気に活動できるようになるメラトニンもお勧めです。もともと時差ボケやうつの薬として使われていましたが、生活リズムを整えてくれます。
実践しやすい簡単な方法を取り入れる
■食事について他にお勧めはありますか?
2番目のポイントですが、現状の食生活を考慮し、実践しやすい方法を取り入れることです。冒頭で少し触れましたが、カップラーメンを頻繁に食べる方に対して「からだに悪いからやめなさい」といったところで、生活を変えられるでしょうか。それよりもカップラーメンにはどんな栄養素が足りないかを考えて、足りない栄養素を補う方向に変えたほうがいい。
コンビニの食材を全否定するよりも、どうせコンビニに行くなら何を選んだらいいのかという考え方にシフトすべきでしょう。たとえばチーズ、枝豆、からあげなどは悪くはありませんからね。こういうことを知っていれば明日から実践できるでしょう。
どうしても甘いものが食べたいときに、大福とシュークリームのどちらを買えばいいのかとなったら、グルコースの塊の大福を選ぶより高脂肪のシュークリームを選んだほうがいい。甘いものは一切食べないなんて窮屈なことをしたら絶対に続かないでしょう?
栄養学も日々進歩していますから、昔の常識が今は通用しないことも珍しくありません。
思い込みに注意!時代遅れになっているかも
■思い込みで間違った食事制限をしていることもあるのですね?
そうですね。カロリーコントロールが重視された時期もありますが、カロリーコントロールと肥満は必ずしもリンクしていません。
また、一時期、敵視されたコレステロールですが、これを制限すると悪影響があることも最近わかってきました。
実はコレステロールは先に触れたビタミンDをつくるときに使われます。また女性ホルモンのエストロゲンをつくるときも使われるのです。ですから、ひと昔前に推奨されたコレステロール制限や脂肪制限をする栄養指導は時代遅れになっているのです。お腹がすいているのに食べるのを我慢するのが栄養コントロールではありませんからね。
むしろ、最近問題になっているのが若い女性の低栄養です。こんなにいろいろなものが流通して手に入りやすい世の中なのに低栄養になっているのです。