小泉純一郎元首相が『参院選二〇一九』で原発ゼロの野党結集か
【政治考察】 小泉純一郎(壬午)元首相の自身初の回顧録『決断のとき/集英社』が平成三十年二月十六日に発売された。ジョージ・W・ブッシュ(丙戌)元米統領の自著の日本語標題に同じだ。ブッシュと小泉は当時、共に行政府の長として在任していた。
今週には記者会見を行う。小泉は回顧録で政局の変わり目は参院選と言い切る。来年の新元号元年に参院選が待っている。小泉は国内の原発ゼロを本気で考えている。その為に数年掛けて、各地で講演を行ってきた。だが安倍政権は微塵も動かず、逆に原発を再稼働させる。一月十日には小泉サイドは「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」を起草して発表していた。小泉は来年の参院選で野党結集を狙っている模様。
<全てはゴール次第>
昨年の衆院選では与党と野党の得票数で、野党が勝ってしまった。自由・小沢一郎(壬午)が仕掛けてきた「オリーブの木」構想が実りかけたものの、小池百合子(壬辰)が破壊。政権交代の期待はもろくも崩れ去った。小泉元首相は諦めておらず、再度の野党結集で圧勝して原発ゼロへの道筋をつけたい考えだ。
問題はある。小泉は政権交代を狙うのか。原発ゼロの為だけに野党を結集するのであれば、各党は心良く思わないだろう。報道現在で野党の中で最も支持率がある立憲・枝野幸男(甲辰)、組織票がある共産・志位和夫(甲午)、与党寄りの維新・松井一郎(甲辰)、民進・大塚耕平(己亥)、希望・玉木雄一郎(乙酉)、社民・又市征治(甲申)と自由・小沢。
小泉の奇策は十八番
この七名を自民・小泉は納得させらるのか。来年の参院選で力が入るのは、風前の灯の社民・又市と痛烈な議席減をしてしまった共産・志位だろう。維新・松井は簡単に動かなそうだ。後は民進系の大塚、枝野と玉木。後二者は鍔迫り合いを未だに続けているので、どちらかが結集に同意しないか、力技で大塚がまとめるか。民進系がまとまっても、また前回と同じ様に共産について揉める。
だから自公政権は負けない。野党は理想論と政治信条論で選挙を闘う。本当に闘う体制を、そもそも作らないからだ。自公は創価学会という圧倒的組織票がある。野党側には共産しかいない。現状では共産を省いて自公には勝てない。政権を獲れなければ、その政治信条は机上の空論、絵空事でしかない。
小泉も原発ゼロを絵空事にしたくない。野党でも組むか。その本気度が次の記者会見で判明し、来年の参院選を占う。彼が動けば自民と公明が、それぞれ内部分裂する恐れさえもあるのだ。
記事:金剛正臣、撮影:岡本早百合