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防犯ブザーを持とう 逸美編

2018.03.02 12:24

 防犯ブザーをもらったあと、俺はそれをバッグに付けるようにしていた。

 現在、バッグを背負って歩いていると、どうも後ろからつけられている気配がする。

 しかし振り返っても誰もいない。

 人ごみに紛れて見つけられそうになかった。

「どうしたんだい?」

 今日は凪に付き添ってショッピングに来ていたのだ。

 俺は正直に言った。

「いや、実はさっきから誰かにつけられている気がして」

「ぼくってそんなに人気のある少年だったのか」

「それは違うと思うけど」

 実際、凪目当てなのかどうかもわからないけど、いざストーキングや尾行をされていると怖いものだ。

「ファンだろうか。いくらぼくが魅力的だからといって、ストーカーはいけないな。天誅が必要だ」

「なに言ってんだよ」

 また歩き出すと、やはり何者かにストーキングされている気配がある。

 それも徐々に距離が近づいてきている。

 ガサッと、木が揺れる音がした。

 すぐ後ろだ。

「いまだ!」

 そう言って、凪が俺の防犯ブザーに手をかけ音を鳴らした。

 ビィィィィー!!

 すると、その茂み(木の後ろ)から逸美ちゃんが飛び出した。

「開くん、大丈夫!?」

「おまえかー!」

 思わず大声でつっこんでしまった。

「え、逸美さんってぼくのファンだったの?」

「違うわ!」

 今度は凪にもつっこみを入れた。

「開くん、なにがあったの?」

「いや、逸美ちゃんのことストーカーだと思って凪がブザーを鳴らしちゃったんだよ」

「あらっ! やだ~」

 嫌なのはこっちだ。

「まあ、結果的には間違ってなかったけどね」

 と、凪が腕を組んでうなずく。

「いいから行くぞ!」

 そして急いで防犯ブザーを止めて、俺は凪を引っ張って、逸美ちゃんは恥ずかしさのあまり顔を隠して、その場から逃げ去ったのだった。