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景色のつくりかた

インタビュー NO. 2:山﨑 慧

2022.10.08 10:00

ーまずは簡単な自己紹介をお願いします。


版画や版画の技術を用いて主に平面作品を制作しています。

銀河ではスペースの柿落としの展示を企画していただき、その際は折り紙を使った大型作品を

発表しました。


ー早速ですが山﨑さんは、ご自宅に美術作品を飾ってますか? 飾っている場合はどの様な形

かざられているのでしょうか?


私は今一人で団地のファミリー向けの一部屋にアトリエ兼自宅として住んでます。

玄関入って正面の壁に一つ、作品を額装してかけてます。


ー現在は団地にお住まいなのですね。玄関は、絵を飾るのに良い場所ですよね。 他にも飾っ

ている場所がありますか?


居間に入ると自作の棚があって、手が届きにくい高いところは全部飾り棚という感じにして、

行けなかったけど見たかった展覧会のチラシとか、むかし版画を教えている実習でおばちゃん

が描いたヤギの絵とか、一緒に展示する大杉祥子さんのハガキ(年賀状)をかけていて、基本

的にその棚には額装はせずに、気になっている、気に入っている紙ものを立てかけたりアクリ

ル板にテープで貼っています。


ー実習のおばちゃんのヤギの絵を飾っているところに、山﨑さんの人柄の暖かさを感じます。  

一緒に展示される作家さんと仲がいいのですね。個人的にはアクリル板がどの様に使われて  

いるか気になります。


賃貸で壁に穴が空けられず、テープを貼っても跡がのこってしまったり。飾っているというよ

りかは、自分が見られるように置いています。掲示板的な。

その二か所と、あとは、制作途中のドローイングを壁に貼ったりしているところもあるんです

けど、作品を常に置いている場所は二か所かなという感じです。


ーご自身のドローイングに関してお話が出ましたが、合わせまして次の質問です。 山﨑さん

は自分の作品が、どのように飾られる、または保管されるのか、想定して作品を作られます

か?


ぜんぜん基本的にしていなくて、してないですね。ははは。

ハガキ…たとえば年賀状とか、御礼状だとか、確実に誰かの手に渡ることが分かっている、

相手が見えているものに関しては、しばらく届いた人の身のまわりに置いてもらえたら良いな

と想像します。ハガキって硬くて立てかけておけるかなということもあるので。

自分がDMを集めるのが好きなので、今回のDMも、色んな素敵なハガキを額装した風に気軽

に立てかけて、どこかテーブルの端っこに飾れたらなと、自分もそんなのが欲しいなと思って

つくりました。


ーなるほど。今回のDMは山﨑さんがデザインされて、折りたたむとDMサイズの額縁とし

て使用出来るんですよね。お話しされていることと、近いものを感じますね。

それでは次の質問です。山﨑さんはインテリア として芸術作品を考えられますか?

また、絵が飾ってある空間とは、どんなものをイメージしますか?


考えられます。難しい質問だなと思いますが、個人的には、芸術作品というのは基本見られる

という機能しかもたないものかと思うのですが、その存在によって否応にも空間を変容させる

側面もあると思うので、どうしてもインテリア的な領域にも属してしまうのかと思っていま

す。私が好きな作品・作風は装飾的な要素も多いので、自分の作品もそういうふうに機能する

のは好ましいというか望んでいるところでもあります。


ーインテリアというワードに、割とポジティブな印象をもっているのでしょうか?


クソ野郎と思うこともあるんですが~~(笑)でも、それもきっとあるよねという。


ーあはは!なるほど(笑) 絵の性質上仕方がない要素というところでしょうか?


それを目指しはしないというか、結果的にそういう機能をもつことはいやではない。

自分の目指す作品の方向性の中に装飾性というものは含まれているので。ハイ。という感じです。


ーそうですよね。この質問、作家的には結構難しいというか・・・もっとみなさんに聞きたく

なる話題ですね。最後に、他に何かこの質問に対して考えていることはありますか?


父が設計士で、父が設計した家に生まれ育っていて、天井も壁もベニヤ、床のフローリングも

含めて360度木目模様のある空間で、変な空間だったんだなって今は思うんですけど、当時は

分かっていなくて、そこに絵を飾ったりもしていたんですけど、壁の個性が強くて。


ーご自身の育った住空間が少し特殊だったと大人になってから気づいたのですね。壁の個性ですか。


木目の模様も顔に見えたりするじゃないですか。

そういう空間で育ってそれが原風景としてあるので、絵が飾ってある空間といったときに、

すごいきれいな所謂ホワイトキューブとかインテリア雑誌に載っているような空間に憧れます

が、見え方が根本的に違う家で育ってしまったので、展示の癖とか絵を作るときの癖としてそ

れが表れて、きれいな空間では少しぎこちなくなる・緊張するイメージがあります。

銀河はホワイトキューブと民家のあいのこのような空間ですが、冒頭にも紹介した、以前に銀

河で発表した折り紙の作品は、壁一面を覆ってどうにか自分なりに白い壁と折り合いをつけよ

うとしていた気がして来ました(笑)


ーなるほど。堀岡さんへのインタビューも踏まえ、それぞれの作家さんの原風景や、作家

自身の生活空間が、作家自身が持つ作品を飾るイメージに影響があるように感じました。

ご回答ありがとうございました。

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山﨑 慧 YAMAZAKI Kei

1984 静岡生まれ
2014 東京芸術大学 大学院美術研究科絵画専攻版画研究領域 修了


個展

2017年 葉っぱをつくる(See Saw gallery)

2015年 景感(寺町美術館&gallery)

2010年 山﨑慧 個展(アートスタヂオ&ギャラリー スズロハコ)

Web Site : https://keiyamazaki.tumblr.com/