No:14 ことん。
2018.03.02 22:25
長い時間をかけて店内を回っていたお客様が
嬉しそうに器を会計に持ってきてくれた瞬間は
やはり器屋冥利に尽きる瞬間だ。
両の手に包まれていた器は手のぬくもりで暖かいのだ。
思うに[生きている]ということは温もりがあるということだ
手で温められた器はその刹那
ひな鳥のようなほのかな温もりの宿った生命のようだ。
長く使い継がれていくということは
この温もりのバトンを絶やさず繋いでいくことに他ならない。
だから僕らはひとつひとつ手にとって器を選ぶ。
その行為が温もりを繋ぐものだと信じて日々器を磨き
ことん。
とやさしく棚に並べる。