楽器別指導法2回目(東京音大吹奏楽アカデミー)
東京音大吹奏楽アカデミー専攻の授業に、吹奏楽で使用される各楽器について詳しく知る1年生履修の「楽器別指導法」というのがあります。先日、2週に渡ってトランペットの回でした。
1回目については別の記事に書きましたのでよろしければそちらもご覧ください。
2回目は「実際に音を出してみよう」ということで時間がある限り音を出してみました。
今年度の1年生は15名中トランペットは2名。多分トランペットを吹いたことが一度もない人が何人もいたと思うのですが、ほぼ全員音を出すことができました。
いつも僕がレッスンなどで解説している音の出る原理、セッティング、呼吸、音域変化についてなどを簡易的に解説していったわけですが、この授業の最も大切なことは、指導者として吹奏楽に関わった時、自分の専門以外の楽器にもアドバイスできるスキルを持つことです。
ですので、一番伝えたかったのは「身体的特徴別の指導方法(伝え方と実践の仕方)」でした。についてもしっかり解説しました。
例えば、歯と唇のサイズや位置関係は人によってだいぶ違います。舌と口腔の大きさのバランスも人それぞれだし、それによって起こる日常の発音も人ぞれぞれ。唇の厚さも当然違います。
未だ本気で言っている人がいると思いますが、「唇の厚い人はトランペットに向いていない」とか、肺活量で楽器を決めたり、そういった根拠のない都市伝説をこの世から抹消したいのです。
「トランペットやってみたい!」と思う人に、「あなたは向いていない」と一蹴する残酷さが部活動にあってはならないのです。
実際、唇の厚い人だってセッティングを理解すれば音は出せるし、肺活量なんて全然関係ありません(一息でどれだけ長く吹けるか、の指標でしかない)。そもそも肺活量とか言う人は「楽器に息を入れる」発想を持っているわけですから、そこからして間違っているのです。
そんな話も踏まえつつ、楽しく学びのある時間になるよう頑張ってみました。
そして授業の最後は、極めて簡単に書いた「ハトと少年」を使ってアンサンブル体験もしてみました。何だか不思議な和音にはなりましたが、体験できればそれで十分です。
ということで、楽しく授業を終えることができました。秋学期(後期)は金管楽器が続きます。ぜひ多くの学びを手に入れてほしいと思います。
↓かなりのページ数がある資料も、実際に指導する時に使えるよう、しっかりと作っています。
荻原明(おぎわらあきら)