2/初午と稲荷ずし・かのえさるの日と庚申…
初午(はつうま)とは:二月初めての午の日を初午と言い稲荷社大祭である。イナリは、イネ・ナリの意味であり農業の神として全国に勧請(かんじょう)され、信仰が広がっている。総本山と言うべきものは伏見の稲荷大社で、商売繁盛・招福・厄除け・子授けなどオールマイティの神である。個人家・会社などの守り神としても勧請することが多く、祠や朱塗り鳥居もよく目にする。初午は稲荷講が、赤の幟を掲げ赤飯・油揚げを供え、稲荷ずし (関西は「信太(しのだ)」と称し△形:謡曲泉州信太山稲荷に由来)を作り食して祝う。近くでは義経と静香御前ゆかりの郡山洞泉寺町「源九郎稲荷社」は名刹。中嶋の「源九郎餅」は郷土菓子。
大和では厄除け初午参りと称して小泉の松尾山松尾寺が蟻の行列の如く詣で客で賑わい、二の午・三の午の日も祭日とし多く参拝客を集めたのも遠い昔のこととなった。平成30(2018)年は2/7が初午であった。
初庚申(はつこうしん)とは:新年初めての庚申(かのえさる)の日を初庚申と言い、大和一國一宇庚申[総道場本山](小泉庚申堂=金輪院)大祭である。かつては門前市が開かれ、露天が軒を連ねる程のにぎわいを呈したと言う。
大和の各村々庚申信仰も青面金剛佛・石造物・堂の意味も忘れ去られつつあるが、「奈良町」の庚申堂のみが観光地内に取り込まれた観がある。片桐小泉藩に庇護された金輪院であるが、現在は無住寺となり天台宗橘寺高内住職が法要に出張され、身代わり猿(飛騨地方土産のサルボボ原型)が恵与される。ちなみに平成29年の庚申縁日は2/8初庚申・4/8二の庚申・6/7三の庚申・8/6四の庚申・10/5五の庚申・12/4終庚申であった。平成30年庚申縁日は1/28初庚申・3/29二の庚申・5/28三の庚申・7/27四の庚申・9/25五の庚申・11/24終庚申。
庚申信仰(こうしんしんこう):60年・60日毎に巡って来る庚申の時に特殊な禁忌を要求する道教から発した信仰。庚申の夜に三尸(さんし)の蟲が睡眠中の身體から抜け出て天に昇り、天帝にその人の罪穢れを報告するから生命を奪われ、祟りやすい恐ろしい神とされる。したがってこの夜は婚姻を結ぶことを忌とし、結社の講は寝ずに徹夜して諸善を行うのが修行と考えられた。中世後期には「庚申待供養=申待」の石塔を建てたりして、猿の信仰(三猿)へと結び付いた。近世には腕六本の「青面金剛」を碑に刻み60年毎に建てられてきた。また手足を縛った綿入れ赤布の猿形をした身代わり猿を家族分作り、家屋の玄関に吊るす民俗行事となっている。
(freelance鵤書林2 いっこう記)