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北落師門

2023.12.28 11:16

https://www.yomiuri.co.jp/culture/book/raiten/20220926-OYT8T50057/【[著者来店]「句集 北落師門(ほくらくしもん)」黛まどかさん…還暦に 曲折50代の句】より

 「B面の夏」50句で角川俳句賞奨励賞を受賞し、鮮烈なデビューを果たしてから28年。女性だけを集めた句誌「月刊ヘップバーン」の刊行など、世の注目を集めてきた。既存の俳句結社に属さず、独自の作句活動、普及活動に努めてきたが、その人がこの7月、還暦を迎えたと聞き、驚きを覚えた。「自分ではあまりピンと来ないんですけどね。自然に受け入れています」と、静かにほほ笑む。

 50代の句を集めた『北落師門』を還暦の誕生日のその日に刊行、一つの区切りをつけた。「北落師門」とは、秋の南の空にひときわ輝く「みなみのうお座」の1等星を指す。別名「フォーマルハウト」。「私も群れて生きたくないので、嫌なことがあったときにはその星を見つめ、自分を励ましてきました」と語る。

 50代は様々な出来事があったという。伝統文化を一緒に盛り上げようと誓い合った歌舞伎俳優の坂東三津五郎の死、母の入院と手術、俳句の師でもあった父・黛 執しゅう の死……。そんな出来事の合間に、東日本大震災の被災地を巡り、四国遍路を自らの足で歩み、サハラ砂漠で満天の星を見つめ、沖縄の霊地を訪ねた。折々に詠んだ句を10年ぶりの第8句集として世に問う。

 父の死に臨んで詠んだ句。「澄みわたる山河を残し逝きにけり」。父の死という衝撃的な出来事に遭遇しても句にせざるを得ない俳人としての「業」を感じたという。

 師を失い、これからは一人で歩んでいく覚悟ができた。「還暦までは、俳句の型をしっかり自分の身体の中に入れようと決めていました。『守破離』という言葉がありますが、これからは型を守りつつも、殻を破る句を作っていこうと思います」。そして、父が達した自由自在な軽みのある「離」の心境を求め、これからも詠み続ける。(文学の森、1980円)塩崎淳一郎

Facebook黛まどかさん投稿記事

2020年10月22日 ·

昨日10月21日、敬愛する父が永眠しました。

実は、7月に別々の病院に入院していてずっと会えていなかった父と母を、8月初旬に築地の聖路加国際病院に転院させました。聖路加はコロナ禍でも家族の面会を許してくれる数少ない病院です。

私は都内のホテルに連泊し、病院へ毎日通い、2つの病室を忙しく行ったり来たりしました。今思えば宝のような「時間」でした。

9月の終わりに父の確定診断が出て、余命が短いことを突然告げられました。両親には病名も病状も伏せました。3ヶ月も入院生活が続き、しきりに家に帰りたがっていた父を、10月1日に自宅に搬送し、在宅で看取ることにしました。母も二日後に退院し、自宅で以前のように家族で過ごしました。ベッドを置いたリビングで、父は少量でしたが秋の味覚を楽しみ、家族で団欒し、俳句を精力的に詠み、私たち家族を支えて下さるご近所、親戚、友人、訪問医療や看護の方々への感謝を日々折々に口にしながら、3週間穏やかに過ごしました。

亡くなる日の昼間、母が退院してから初めて作った茶碗蒸しを2口食べ、妹が作ったバナナジュースを2匙飲み、私の原稿が掲載された日経新聞朝刊を見てくれ、笑顔で家族の記念写真を撮った後で、意識が落ちました。父が母の手料理を食べたのは4ヶ月ぶりで、それが最後の食事になりました。

そして深夜に母と妹、私の3人の腕の中で息を引き取りました。

父は繊細で洞察力があったので、多分自分の深刻な病状など解っていたはずです。でも家族を気遣い、最後まで気がつかないふりをして、何もかも飲み込んで、すべてを自分の心の中に収めて、旅立ったと思います。

父として、俳人として、心から尊敬していました。世界一の父でした。パパ、至らない娘でごめんなさい…そして、ありがとう。パパの娘で幸せでした。

https://www.books.or.jp/book-details/9784867370223 【句集 北落師門】より

内容紹介

2012年の『てっぺんの星』刊行より10年。その間著者は、東北大震災の復興の地をたびたび訪れ、京都からは「京都×俳句プロジェクト」として日本文化を発信、平和の句を募集するなど様々な活動を行ってきました。俳句総合誌「俳句界」では父・黛執氏と共に「親子響詠」として同じテーマで10句ずつ連載、また執氏没後も俳誌「春野」にて執氏の詠み遺した句と同じ季語の響詠句を連載しました。その親子響詠句を多く含む400句を、神田昇和氏による装丁とレイアウトでお届けします。

ひたすらに雪を重ねて村眠る

只見線滴る山にまぎれけり

ちちははに遅れて浴ぶる落花かな

けさ秋の空の青さを言ひ合へる

白鳥の帰りゆく地を思ひをり

著者略歴

著:黛 まどか

俳人。神奈川県生まれ。1994年、「B面の夏」50句で第40回角川俳句賞奨励賞。2002年、句集『京都の恋』で第2回山本健吉文学賞。2010年4月より1年間文化庁「文化交流使」として欧州で活動。スペインサンティアゴ巡礼道、韓国プサン~ソウル、四国遍路など踏破。2021年より京都×俳句プロジェクト「世界オンライン句会」を主宰。著書に、句集『B面の夏』『忘れ貝』『てっぺんの星』、紀行集『奇跡の四国遍路』、随筆『暮らしの中の二十四節気』など多数。

Facebook Taiki Shimizuさん投稿記事

もし余命が残り半年と宣告されたら、それでも出世したい、車が欲しいマイホームが欲しい、となるだろうか?

大事な人との時間がもっと欲しい大事な人の笑顔が見たいってなりませんか?

理屈や考え事に時間を費やすのではなく、経験したかった事に時間を使いませんか?

傷つかない道ばかりを選ぶのではなく、やりたい道を選ぶのではありませんか?

ネットや批判に心を奪われるよりも、今この瞬間を精一杯 味わうのではありませんか?

自分を守りながら会話するのではなく、二度と会えないと思って相手と話し、素直に気持ちを表すのではありませんか?

自分にとって死が身近ではなく、ずっと生きれると思ってるから不満が生まれるのではありませんか。

でもいずれは必ず旅立つ日は来るのだから、いつも最期の日のための思い出づくりだと考えて 心を込める。

出る杭は打たれるけど、出ないと悔いが残ってしまう できるだけ悔いを残さないように

自分のゴーストの囁きに従って 一瞬一瞬 心を込めていきたいですね