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粋なカエサル

「子供の楽園」日本が失ったもの①

2018.03.04 00:19

  1877年(明治10年)6月、ひとりのアメリカ人動物学者が来日した。彼は横浜から新橋へ向かう途中、大森駅を過ぎてからすぐの崖に貝殻が積み重なっているのを列車の窓から発見した。そして政府の許可を得た上9月に発掘調査を行った。大森貝塚である。発見したのはエドワード・シルヴェスター・モース。東京大学のお雇い教授を2年務め、日本の人類学、考古学の基礎をつくったが、彼は日本の庶民の暮らしや心根に魅せられ、『日本その日その日』(原題:Japan Day by Day)でいまだ江戸の暮らしが連綿と続いていた庶民の日常を克明に記した。その中で日本の子どもについてこう書いている。

「 いろいろな事柄の中で外国人の筆者たちが一人残らず一致することがある。それは日本が子供たちの天国だということである。この国の子供たちは親切に取り扱われるばかりでなく、他のいずれの国の子供たちよりも多くの自由を持ち、その自由を濫用することはより少なく、気持ちのよい経験の、より多くの変化を持っている。」

「私は日本が子供の天国であることをくりかえさざるを得ない。世界中で日本ほど、子供が親切に取り扱われ、そして子供のために深い注意が払われる国はない。ニコニコしている所から判断すると、子供達は朝から晩まで幸福であるらしい」

 2000年に約476万人だった訪日外国人旅行者数は、2017年には約2869万人にまで急増し た。彼らの目に、今の日本の子どもたち、親子関係、家族はどう映っているのだろうか。 日本人から生きる力が急速に衰弱しつつあるように感じるのは杞憂だろうか?日本人の生 きるエネルギーの源だった何が失われつつあるのか?何を復活、再生、再構築していく必要 があるのか?またどうやって?残りの人生でこの課題に取り組んでいきたい。

(鈴木春信「洗濯 物干し」 )

(喜多川歌麿「針仕事」)

(歌川豊国「王子稲荷初午」) 

(歌川国芳「山海名産尽 紀州鯨」) 

(エドワード・S・モース)

(「大森貝塚碑」 品川区)