中国企業で働くことになったら
MGI(マッキンゼー・グローバル・インスティチュート)がまとめた、中国企業で働くことになった場合に知っておくべき4つの傾向です。一般的な欧米(と日本)の会社とは大きく異なる考え方が面白いです。なお、ここでは主に民間企業に当てはまるものです。
1. トップは”非現実的”な目標を設定する。
欧米企業の幹部は前年の実績等を参考に、翌年の目標を立てるのが通常ですが(例えば前年比10%の売上アップ)、中国企業のトップは売上は前年の2倍、数年後にはFortune500入りするといった非常にアグレッシブな目標を立てる傾向にあります。
これほど高い目標を達成するには従来のやり方の延長線上では難しいため、社員は今までの枠組みにとらわれず考えることになります。たとえ目標が完全には達成できなくても、初めから”現実的”な目標を設定するよりも良い結果が出るとあります。
このやり方は多額の投資が必要になる等リスクもあり、必ずしも成功するわけではないものの、実際にうまくいったケースがあり、これが成功している企業のサクセスストーリーとなっています。
2. 成功している中国の起業家は現在の本業とは関係のない分野を含めて、新しいビジネスに新規参入できると考えており、しかも十分に競争できると考える。
欧米では企業の多角化は、本業とのシナジーがらあるか等を重視し、全く経験のない分野に新規参入することには懐疑的です。
一方で中国では成功している企業は、”エコシステム”を作るとして、積極的に多角化に踏み出します。IT企業のテンセントやアリババは金融に、不動産の万達はエンターテイメントやメディアに、保険の平安はベンチャーキャピタルに進出していることが例として挙がっています。
3. 昇進は椅子取りゲームならぬ「梯子取りゲーム」
欧米企業でも転職は一般的ですが、中国ではより頻繁に昇進を求めて個人やチームが会社を変わると。また、多くの企業で、新しい仕事やポジションが毎月作られているとあります。給料も転職前と比べて2倍に上がるようなことも珍しくなく、とにかく動いて昇進・昇給を勝ち取ると。
4. 市場シェアの拡大が何より重要
中国では市場シェアの拡大拡大が重視され、このため多額の投資が必要になるとあります。相当の投資とリスクを伴うのですが、シェア争いをしている間は、成功とまではいなくても失敗はしない、また中国においてシェア争いをしないと投資家や他の起業家などからも相手にされなくなるという考えがあるようです。
ちなみに筆者は日系メーカーで、インフラ関連の仕事に従事しているため、日頃接する相手はほぼ国営企業ですが、上記の4つの傾向とは異なる面も多々あります。これは別途ご紹介したいと思います。