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ケアマネ矢田光雄のひとり言

「守るべき自己を確立する」

2022.10.07 06:39

今回は前々回の続きだが、内容は思いつくままの羅列なので読む方はしんどいと思うがご容赦を。

後ろにある自陣のゴールポストの位置、枠の大きさを身体が覚えていない選手は試合ができない。同じように守るべき自己が認識できていないと他者との関係性が良好に維持できなくなる。点は入りっぱなし、オウンゴールすらある。てんで試合にならないのである。

人は成長の初期段階で(おそらく言葉の作用を感じ取る事ができる頃)自己と他者との切り分けが始まり、それ以降やってくるのは(主に言葉を介してだが)他者からの流入物である。それはすべて自己にとっては圧力であり、侵入物である。あらゆる事に対して受け身になる。大量の情報が洪水のように毎日襲ってくるのであるから。他者と自己の区分けが曖昧になった自己らしきものがやがて出来上がる。自己はいつも他者経由、他者の目を通した本来の自己から少しずれたものとして進行していく。結果他者依存度の強い自己が形成されるのである。

問題は初期段階で大量に流入する情報をいかに整理し、制御するかである。幼児にその能力はないので何らかの防壁が必要となる。それはおそらく母親を中心とした愛着関係であり、その総合体である家庭であろう。つまり幼子に自己が発生し、他者との境が出来た後、少しずつ他者との境界域を作り直接弱い自己(幼子)が強い他者にさらされないようにする役割を家庭が担うのである。

中2の段階で自分の将来を確定できた例の少女は守るに値する自己を家庭の保護の中で充分に確立した後、教室という他者を自分の力で評価することができた。それ故彼女はそこからの離脱を選び、社会で適応するためのスキルを磨くことに邁進する道を選択出来たのである。

このような人物が正しく他者(社会)を評価できるのである。社会において援助職を得た彼女は被援助者がどのように自己形成をし、社会との境界域を設定してきたのか、その内容を分析できる筈である。当然のことながら個と社会との良好な適合の方策(本来のケアプラン)をも提示できるのである。

令和4年10月7日