生物の八つの具体的な特徴と四つの生物の定義との対応関係
http://information-station.xyz/5775.html より
生物を特徴づける具体的な要素としては、「細胞」「エネルギーの生産と利用」「DNA」「子孫を生み出す」「体内環境を一定に保つ」「刺激に対する反応」「進化」「成長」といった八つの具体的な特徴を列挙していくことができます。
そして、これらの八つ程度の具体的な特徴をより生物学的に抽象化された概念へとまとめ直すと、一般的には、概ね、次の四つの要件によって生物を定義づけることができると考えられることになります。
その生物の四つの定義とは、
①(自己と外界との)明瞭な境界
②(エネルギーと物質の)代謝
③(分裂や有性生殖による)自己複製
④恒常性(ホメオスタシス)を維持する力
という四つの定義です。
生物の八つの具体的な特徴と四つの生物の定義との対応関係
冒頭で述べたように、「明瞭な境界」「代謝」「自己複製」「恒常性」という四つの要件をすべて備えていることが、現代の生物学において、ある程度一般的であると考えられる生命・生物の定義ということになるのですが、それでは、前回取り上げた、生物を特徴づける八つの具体的な要素と、上記のより一般的で抽象的な生物の四つの定義は具体的にどのような対応関係にあり、こうした生物の八つの具体的な特徴は、どのような形で、今回取り上げた生物の四つの定義の内へと還元されていくと考えられることになるのでしょうか?
細胞という概念自体の生物の三つの定義への分割
まず、生物を具体的に特徴づける最初の要素として挙げられている「細胞から構成されている」という特徴についてですが、細胞というのは、動物の場合は細胞膜、植物の場合は細胞壁によって、自分の内部と外部の境界が明確に仕切られていて、そうした明瞭な境界をもつ細胞の主たる機能は、外部から栄養素を取り入れたうえで、そこからエネルギーを生産し、新たな細胞を作り出すために必要な物質を合成するという物質的な新陳代謝とエネルギーの代謝にあると考えられることになります。
また、細胞のもう一つの重要な機能として、適切な時期が来ると、それまでに自らの内部に蓄えた物質とエネルギーを利用して、細胞分裂を行うことによって、自ら新しい細胞を作り出すという機能が挙げられることになりますが、
この細胞分裂による新たな細胞の再生産の機能とは、すなわち、生物の第三の定義である自己増殖の機能そのものであると考えられることになります。
そして、以上のように、「細胞から構成されている」という生物の具体的な特徴は、「明瞭な境界」「代謝」「自己複製」という上記の生物の第一から第三の定義のそれぞれに分割していく形で還元することができると考えられることになるのです。
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残りの七つの生物の特徴の四つの生物の定義への還元次に、「エネルギーの生産と利用」という生物の特徴については、これは、生物の第二の定義である「(エネルギーと物質の)代謝」という定義をより分かりやすい一般的な言葉で言い換えた表現ということになります。
そして、次に、「DNAを持っている」と「子孫を生む」という二つの具体的な特徴についてですが、
DNA(デオキシリボ核酸)とは、細胞が分裂によって新たな細胞を再生産していく際に必要となる細胞の設計図が書き込まれている部分の物質的構造のことを指す言葉であり、
「子孫を生む」とは、生物学においては、生殖による自己複製そのもののことを指す概念ということになるので、
「DNAを持っている」「子孫を生む」という二つの生物の特徴は、両者とも、「自己複製」という上記の生物の第三の定義に還元することができます。
また、次の「体内環境を一定に保つ力」という生物の特徴については、
上記の生物の第四の定義である「恒常性」という言葉が持つ意味は、生物の内部環境を一定の状態に保ちつづけようとする性質という意味になるので、
「体内環境を一定に保つ力」という生物の特徴は、「恒常性」という生物の第四の定義を分かりやすく言い換えた表現ということになります。
そして、次の「刺激に対する反応」という生物の特徴については、
寒くなれば体毛を逆立てたり身震いをしたりする反応を見せることによって体温の低下を防ぎ、暑くなれば今度は毛穴を開いたり汗をかいたりする反応によって体温の上昇を防ぐというように、
外界からの刺激に対する生体反応は、基本的には、体内の一定の状態や秩序、すなわち、恒常性を維持するために生じる反応であると考えられることになります。
したがって、「刺激に対する反応」という生物の特徴は「恒常性」という生物の第四の定義に還元することがでると考えられることになります。
そして最後に、「進化」と「成長」という時間的な観点から捉えた生物の具体的な特徴についてですが、前者の「進化」という概念とは、生殖によって生物の個体の再生産が繰り返されていく際に、生存競争によってより環境に適応した有利な性質を持った個体が生き残っていくことによって生じる生物の種族全体における遺伝的性質の変化のことを示す概念ということになるので、それは、「自己複製」という生物の第三の定義に基づいて説明される生物の特徴であると考えられることになります。
そして、後者の「成長」という概念については、生物の比較的若い個体において、活発にエネルギー生産や体内に必要な物質の合成が進んでいき、細胞レベルにおいては、どんどん細胞分裂が進んで行くことによって、細胞自体の数が増え、体全体がより大きく育っていく現象のこと指す概念ということになるので、それは、「代謝」と「自己複製」という生物の第二から第三の定義に分割して還元することができる概念であると考えられることになるのです。
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そして、こうした生物を特徴づける具体的な八つの特徴と、より一般的で抽象的な生物の四つの定義との関係についてまとめると、それは以下のような対応関係として示すことができます。
「細胞」=「明瞭な境界」「代謝」「自己複製」
「エネルギーの生産と利用」=「代謝」
「DNA」と「子孫を生み出す」=「自己複製」
「体内環境を一定に保つ力」と「刺激に対する反応」=「恒常性」
「進化」=「自己複製」
「成長」=「代謝」「自己複製」
そして、以上のような形で、
生物を特徴づける八つの具体的な特徴のすべては、
「明瞭な境界」「代謝」「自己複製」「恒常性」という、より一般的で抽象的な生物の四つの定義へと分割して還元していくことが可能となると考えられることになるのです。